一般建設業から特定建設業へ変更する際のポイントとは? 江東区・那覇市の建設業者様向け解説

建設業の許可制度には「一般建設業」と「特定建設業」の2種類があり、事業規模や工事の受注形態によって使い分ける必要があります。今回は、一般建設業の許可を取得している事業者様が、特定建設業に変更する際の実務的な注意点や、必要書類、準備の進め方について詳しくご紹介します。

目次

1.一般建設業と特定建設業の違いとは?

まず最初に、両者の違いについて簡単に整理しましょう。

  • 一般建設業は、主に下請工事や比較的小規模な元請工事を行う際に取得する許可です。下請契約金額が4,000万円(建築一式工事は6,000万円)未満の工事を元請けとして請け負うことができます。
  • 特定建設業は、1件の下請契約が4,000万円(建築一式工事は6,000万円)以上となる工事を元請けとして発注する際に必要です。つまり、大規模な元請工事を継続的に行う場合には、特定建設業の許可が必要になります。

元請中心の営業展開を目指す企業にとって、いずれは特定建設業許可の取得が避けて通れないステップとなる場合も多いでしょう。

2.特定建設業許可取得のための2大要件

特定建設業の許可申請では、専任技術者財産的基礎という2つの重要な要件を満たす必要があります。

専任技術者の要件(技術力)

専任技術者は、以下のいずれかの条件を満たす必要があります。

  • 対象業種に関して、1級施工管理技士等の国家資格を持っていること
  • 高度な実務経験を有し、かつ適切な管理能力を証明できること(10年以上の実務経験など)

この要件は、技術者をすでに雇用しているか、または新たに該当者を採用することによってクリアできます。

財産的基礎の要件(経営の安定性)

特定建設業を申請するには、直前期の財務内容に基づいて、次の財務条件のいずれかを満たしている必要があります。

  • 資本金が2,000万円以上であり、かつ
  • 自己資本が4,000万円以上
  • 経営状況が健全で、欠損の累積が著しくないこと

この条件は、会社の決算内容に直接影響されるため、決算の組み方を顧問税理士と連携して計画的に行うことが極めて重要です。

財務要件を満たすための対策例

  • 増資(第三者割当増資・自己資金による増資)
  • 資産の見直し(減価償却資産の整理など)
  • 決算時の利益確保(経費計上の精査)

これらの対策を講じるには、最低でも半年〜1年の準備期間が必要となる場合もあります。

3.実際の申請手続きの流れ

特定建設業への変更は、「変更届」ではなく新規申請の扱いになります。ただし、すでに一般建設業許可を取得している業者の場合、提出する書類の一部は省略可能です。

主な提出書類一覧(新規許可申請と同等)

書類名備考
建設業許可申請書一式指定様式に従って作成
登記簿謄本(履歴事項全部証明書)発行後3ヶ月以内のもの
財務諸表(貸借対照表、損益計算書等)直前期の決算書類
納税証明書(法人税)税務署発行の様式その3の3
専任技術者証明書類資格証明書または実務経験証明等
役員等の身元証明・欠格要件確認書類誓約書・登記されていないことの証明書 等

※地域によって、追加書類が求められる場合もありますので、事前に提出先自治体へ確認が必要です。

4.提出先と審査期間

  • 提出先:本店所在地を所管する都道府県庁
  • 審査機関:各都道府県の建設業許可担当課
  • 標準処理期間:おおむね30〜45日(書類不備がなければ)

江東区の事業者様は東京都庁、那覇市の事業者様は沖縄県庁が提出先になります。

5.よくあるご相談と注意点

Q. 一般建設業と特定建設業の併願は可能ですか?

はい、同一業種内での併願はできませんが、業種が異なる場合には一般と特定を使い分けることも可能です。

Q. 特定建設業を取得した後、やはり工事規模が小さい場合はどうする?

特定建設業を取得したからといって、大規模工事しか受注できないということはなく、これまで通り小規模工事も対応可能です。

Q. 財務的な条件が厳しくて今すぐ取得できない場合は?

数年スパンでの準備が現実的です。まずは自社の決算内容を把握し、増資や利益計上の見通しを立てることから始めましょう。

まとめ

特定建設業許可は、一般建設業許可に比べてハードルが高くなりますが、それだけに元請としての信頼性や営業展開の幅が広がります。申請には事前準備が欠かせず、財務面や技術者の配置といったポイントを計画的に整えていくことが重要です。

東京都江東区や沖縄県那覇市で事業を展開されている建設業者様で、「そろそろ大規模工事を受注したい」「元請主体に切り替えたい」とお考えの方は、特定建設業許可の取得をぜひ一つの選択肢としてご検討ください。

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