近年、建設業界において高度な専門技術が求められる機械器具設置工事の需要が高まっています。この工事は、機械器具を組み立てて建築物や工作物に取り付ける作業が含まれ、正確で高度な技術が必要です。そのため、500万円以上の工事を請け負うためには「機械器具設置工事業」の建設業許可が必要です。本記事では、許可が必要なケース、申請時の注意点、専任技術者の要件や実務経験の証明方法について詳しく説明していきます。
機械器具設置工事業の建設業許可が必要なケース
機械器具設置工事業の許可は、500万円(税込)以上の工事を請け負う場合に必須です。工事費用には機械器具の本体価格も含まれ、この金額を超える工事では許可がないと施工ができません。また、元請業者として下請業者に対し合計4,000万円以上の発注を行う場合、特定建設業許可も必要となるため注意が必要です。
主な工事例
機械器具設置工事には、以下のような多様な工事内容が含まれます。
- プラント設備工事
- 運搬機器設置工事
- 昇降機設置工事
- 内燃力発電設備工事
- 集塵機器設置工事
- 揚排水機器設置工事
- 立体駐車設備工事
これらの工事では、機械器具を単に運搬するだけでなく、組立や固定、調整といった工程も伴うため、高度な技術が求められます。
機械器具設置工事の判定基準
「機械器具設置工事」に該当するかどうかの判定ポイントは、単に器具を搬入して固定するだけでなく、組み立てや調整を行うかにあります。例えば、ただの運搬や配置であれば「とび・土工工事」に分類される場合もあるため、注意が必要です。
機械器具設置工事業に求められる資格と専任技術者
建設業許可を取得するには、各営業所に専任技術者を配置する必要があります。機械器具設置工事の専任技術者として認められるためには、以下の資格が必要です。
- 技術士(機械・総合技術監理)
- 監理技術者(機械器具設置)
専任技術者の実務経験
専任技術者の要件は資格だけではなく、10年以上の実務経験がある場合にも満たすことが可能です。さらに、建築学、電気工学、機械工学に関する学科を卒業した場合、実務経験年数の要件が短縮されます。高校卒業なら5年、大学卒業なら3年の実務経験があれば専任技術者として認定される可能性があります。
機械器具設置工事の実務経験の証明方法
実務経験を証明するには、経験を積んだ企業が許可を取得していたかどうかが重要です。許可あり企業での経験、許可なし企業での経験それぞれにおいて、必要な書類が異なります。
許可あり企業での実務経験
- 被保険者記録照会回答票(年金事務所で発行)
- 建設業許可通知書の写し
- 実務経験証明書
- 健康保険被保険者証の写し
許可なし企業での実務経験
- 被保険者記録照会回答票
- 工事請負契約書
- 専任技術者証明書
- 実務経験証明書
実務経験の証明が厳格なため、証明する書類が揃わない場合、申請が認められないこともあるため十分な準備が必要です。
機械器具設置工事に関する建設業許可申請の手順
1. 必要書類の準備
申請には、下記の書類が必要です。
- 建設業許可申請書類
- 被保険者記録照会回答票
- 卒業証明書(専任技術者として認められる指定学科卒業の場合)
- 健康保険被保険者証の写し
2. 専門知識の証明
機械器具設置工事に関する専任技術者の資格や実務経験を証明できる書類を準備します。実務経験証明書には、具体的な工事内容や経験年数を詳細に記載する必要があります。
3. 申請先の確認と相談
申請時に疑問点があれば、事前に申請先の審査庁で確認や相談を行うと、申請がスムーズに進みます。
許可取得後の更新手続きについて
建設業許可は5年ごとに更新が必要です。更新申請を怠ると、許可が抹消され、再申請が必要になるため、期限内に手続きを行いましょう。更新時にも過去5年間の実務経験を示す書類が必要となります。
沖縄・那覇市や東京・江東区での許可申請のポイント
申請は各地域の都道府県の窓口で行います。例えば沖縄県では那覇市の県庁、東京都では江東区を管轄する都庁の建設業窓口で受け付けています。それぞれの地域で求められる書類や審査基準が若干異なる場合があるため、申請前に該当する自治体へ確認することが大切です。
まとめ
機械器具設置工事業の建設業許可を取得するためには、専門知識と実務経験が求められ、その証明には多くの書類が必要です。特に、実務経験の証明が難しく、専任技術者の認定には高度な審査が行われます。しかし、500万円以上の工事を請け負うためには必須の許可であり、今後の事業の発展のためにも欠かせない資格です。
機械器具設置工事業の建設業許可について理解を深め、適切な手続きを進めてください。