
建設業許可を取得した後、「やった!これでまとまった工事も請けられる!」と思う一方で、実はその先にも多数のルールと提出義務があります。今回は、許可取得後に必要な 主な提出書類と更新手続き について、東京都江東区および沖縄県那覇市にお住まいの建設業者の方々へ向け、実務的な視点でわかりやすく解説します。
1.許可取得後に避けて通れない3大ルール
① 決算変更届(毎事業年度終了後)
毎事業年度が終わったら、遅滞なく(通常60日以内)「決算変更届」を提出する必要があります。これは建設業法で義務付けられたもので、提出がない場合は更新できず許可が失効するリスクがあります。
② 更新申請(5年ごと)
許可の有効期間は5年間しかありません。期限内(通常3か月前)に更新申請を行わないと許可が失効します。特に決算変更届の提出漏れは更新不可につながるため、必ずスケジュール管理が大切です。
③ 変更届(各種変更後30日以内)
以下のような事項に変更があったら、30日以内に「変更届」の提出が必要です:
- 専任技術者・経営業務管理責任者の変更
- 営業所の移転・新設・廃止
- 法人形態の変更(合併・解散など)
- 財務基盤が著しく変化した場合(資本金の減少など)
これらの変更を放置すると、最悪の場合、許可の取消対象となりかねません。
2.① 決算変更届の詳細と実務
提出期限・提出先
- 提出期限:事業年度終了日から60日以内
- 提出先:
- 知事許可の場合:都道府県の建設業担当課(江東区なら東京都・沖縄県なら県庁)
- 大臣許可の場合:国土交通省の地方整備局など
必要書類一覧
書類名 | 内容 |
決算変更届様式 | 収益・支出・貸借対照表等の記載 |
決算書一式 | 貸借対照表・損益計算書等(直近年度) |
施工状況報告書 | 当年度に受注した工事名や金額の一覧 |
履歴事項全部証明書 | 法人の場合、最新のもの |
身分証明書 | 代表者または申請者の身分を証明 |
誓約書 | 偽りの記載がないことを誓約 |
注意点
- 決算書と施工状況にズレがあると、審査で指摘される可能性大
- 赤字でも届け出は必要。虚偽申告は厳罰対象
- 書類提出後、状況により窓口から補正依頼がある
3.② 更新申請の準備と流れ
申請タイミング
- 期限の3か月前から受け付けが可能
- 60日以内に審査期間が設定されており、提出・現地調査・面談が含まれることも
必要書類
- 本人確認書類(運転免許証など)
- 履歴事項全部証明書または戸籍附票
- 決算変更届の受付証
- 専任技術者・経営業務責任者の確認書類
- 更新申請書および誓約書
- 営業所の現況を示す証拠(写真・地図・設備状況など)
注意点
- 決算変更届が提出されていないと更新できない
- 軽微な業種追加等は同時申請可能
- 審査官から面談の連絡が来るケースあり
4.③ 変更届の対象と対応プロセス
対象となる主な変更
- 専任技術者や経営責任者が異動した場合
- 営業所の住所変更・廃止・新設
- 代表者が変更(交代、法人化など)
- 財務状況の大幅な悪化(資本金の著しい減少など)
提出期限は30日以内
変更事項が生じた後、30日以内に変更届を提出しなければなりません。届出が遅れることで、虚偽申告と見なされる可能性があり、処分の対象となることもあります。
5.審査でよくあるチェック項目
- 決算変更届や変更届の漏れ・遅れ
- 決算書の内容と施工実績の不一致
- 専任技術者が常勤でない、または資格要件が欠けている
- 市民税・法人税の滞納がある
- 虚偽申告(許可証の記載と実際の状況が異なる等)
6.定期報告義務をスムーズに進める方法
年間スケジュールの活用
タイミング | 内容 |
毎年3月末頃 | 決算変更届準備 |
毎年4~5月 | 決算変更届提出 |
取得から3ヶ月前 | 更新申請迎え |
年間随時 | 変更届が必要な事項が起きたら対応 |
専門家との連携
行政書士・税理士と連携し、決算・助成・納税チェックを事前に整理することで、指摘されることなく手続きを終えることが可能です。
7.万一の未提出・遅延時の対応
- 営業停止や許可取消の可能性あり
- 裁量で再申請や追補提出を認められるケースもある
- その際、迅速に書類を整備し説明責任を果たすことが重要
8.まとめ 継続的な許可維持こそが経営の安定につながる
建設業許可を持つことはスタート地点であり、その後も定期報告・更新・変更手続きをきちんとこなすことが、建設業者としての信頼性と事業継続の安心につながります。
- 決算変更届:毎年度報告
- 更新申請:5年ごと確実に
- 変更届:変更発生から30日以内
これらの義務を果たし続けることで、公共案件や民間取引相手にも「安心して任せられる会社」という評価を得られ、将来の成長に向けた重要なステップとなります。
ご不明な点や手続きサポートが必要な場合は、地域に精通した専門家へお気軽にご相談ください。