遺産分割協議書の作成を誰に依頼すべきか?専門家選びのポイント

遺産分割協議書は、遺言書がない場合に相続人全員が話し合いで遺産の分割方法を決めた際、その内容を正式な書面にまとめたものです。これにより、後々のトラブルを防ぎ、各種相続手続きをスムーズに進めることができます。しかし、相続には専門的な知識が必要な場合も多く、専門家の協力が必要になることもあります。本記事では、沖縄県那覇市と東京都江東区の皆様を対象に、遺産分割協議書を作成する際に適した専門家の選び方や、状況別の対応方法について解説します。

遺産分割協議書とは?

遺産分割協議書とは、相続人全員が遺産の分割について合意した内容を証明する文書です。この書類は、相続税申告や不動産登記などの手続きで提出が求められる場合があります。
民法第907条によると、相続人間で合意が得られた場合に限り遺産分割協議を行うことができます。その合意を文書化したものが「遺産分割協議書」です。

遺産分割協議書が必要になるケース

以下のような場合、遺産分割協議書が必要になることが多いです。

  • 相続税申告:「配偶者の税額軽減」「小規模宅地等の特例」などの適用を受ける場合
  • 不動産の相続登記:特定の不動産を特定の相続人が相続する場合
  • 金融機関での手続き:預貯金や有価証券の解約、名義変更が必要な場合

専門家選びのポイント

遺産分割協議書の作成は相続人自身で行うことも可能ですが、相続財産が複雑だったり相続人間で意見が割れたりしている場合は、専門家に依頼するのが賢明です。依頼できる専門家には以下の種類があり、それぞれの役割が異なります。

1. 弁護士

弁護士は相続に関する法的トラブルの解決を得意としています。遺産分割協議書の作成に加え、相続人間の交渉や代理も可能です。以下のようなケースでの依頼が適しています。

  • 相続人間で意見がまとまらない場合
  • 特定の相続人が寄与分や特別受益を主張している場合
  • 法的トラブルが訴訟に発展しそうな場合

2. 税理士

税理士は相続税の計算や申告の専門家です。税務署に提出するための遺産分割協議書の作成を依頼できます。以下のような場合に適しています。

  • 遺産が多額で、相続税申告が必要な場合
  • 不動産が複数あり評価が複雑な場合
  • 節税対策や税負担を軽減するためのアドバイスが必要な場合

3. 司法書士

司法書士は不動産登記の専門家です。相続財産に不動産が含まれる場合、相続登記(名義変更)の手続きが必要です。以下のような場合に適しています。

  • 不動産の名義変更を行いたい場合
  • 遺産分割協議書の作成と不動産登記をまとめて依頼したい場合

4. 行政書士

行政書士は、遺産分割協議書の作成を専門に行う士業者です。交渉や税務、登記業務はできませんが、比較的低コストで書類作成を依頼できます。以下のような場合に適しています。

  • 相続人間で合意が得られている場合
  • 遺産分割協議書の作成だけを依頼したい場合
  • 相続税の申告や登記は別途自分で手続きを行う場合

5. 信託銀行

信託銀行は、相続手続き全般をワンストップで相談できる窓口です。専門家を紹介してくれるほか、資産管理や運用も含めたサービスを提供します。以下のような場合に適しています。

  • 相続全般を一括で任せたい場合
  • 遺産管理や資産運用も含めて相談したい場合

遺産分割協議書の作成手順

  1. 相続人の調査 被相続人の戸籍謄本を取り寄せ、全相続人を特定します。
  2. 相続財産の調査 不動産、預貯金、有価証券などの財産を一覧化します。
  3. 遺産分割協議の開催 相続人全員が集まり、分割方法を協議します。
  4. 遺産分割協議書の作成 合意内容を基に文書を作成し、相続人全員が署名・押印します。

遺産分割協議書がないと困ること

遺産分割協議書がない場合、以下の手続きができません。

  • 不動産登記:法務局で名義変更を行う際に提出が必要
  • 相続税の特例申請:「配偶者の税額軽減」や「小規模宅地等の特例」を利用する際に必要
  • 金融機関での手続き:預貯金の払い戻しや名義変更

那覇市・江東区の皆様へ

相続手続きは複雑なことも多く、適切な専門家のサポートが必要な場合があります。当事務所では、遺産分割協議書の作成から相続手続き全般のご相談まで対応しております。ぜひお気軽にお問い合わせください。

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