
建設業許可を取得するためには、行政庁に対して正式な「許可申請書類」を提出する必要があります。しかし実際にこの申請書を準備してみると、「何から始めたらいいのかわからない」「何を集める必要があるのか不明」という声が多く聞かれます。
本記事では、東京都江東区・沖縄県那覇市で新たに建設業許可の取得を検討している方に向けて、申請書作成に必要な資料の種類と収集のポイントを詳しく解説します。事前準備をしっかり行うことで、スムーズな申請につながります。
1.建設業許可申請書の全体構造
建設業許可申請書は、単体の「申請書1枚」ではなく、複数の書類で構成されるセットです。これらの書類は大きく2種類に分けられます。
- 全国共通の様式に基づく申請書(いわゆる「様式第○号」など)
- 添付資料(証明書類や確認資料など)
提出先によって、細かい記載内容や提出部数に違いがあることがありますが、基本的な構成は全国で共通しています。
2.必要な申請書類の一覧(主な構成)
以下は「一般建設業の新規許可申請」の標準的な書類一覧です。※特定建設業や更新申請などでは一部異なります。
(1)申請様式(全国統一フォーマット)
様式番号 | 書類名 |
様式第1号 | 建設業許可申請書(表紙) |
様式第2号 | 工事経歴書(新規の場合は記載不要) |
様式第3号 | 直前3年の各事業年度における工事施工金額(同上) |
様式第4号 | 使用人数 |
様式第6号 | 誓約書 |
様式第7号 | 役員等の一覧表 |
これらは行政庁が指定した書式に基づき記載する必要があります。
(2)添付書類(証明資料)
こちらが最も労力のかかる部分です。以下、代表的なものを紹介します。
a.経営業務の管理責任者に関する証明書類
- 登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
- 旧勤務先からの在籍証明書や役職歴の証明
- 確定申告書控(個人事業主としての経営経験を証明)
特に退職済み企業から証明を取る場合、時間がかかるので最優先で取り掛かるべき項目です。
b.専任技術者に関する証明書類
- 国家資格の合格証書や免状
- 実務経験証明書(様式あり)
- 卒業証明書・履修証明書(学歴要件の場合)
- 社会保険の加入履歴(実務期間の証明)
指定学科の卒業証明や、実務経験の年数確認が煩雑なので、内容と一致するかよく確認しましょう。
c.法人の基本資料
- 登記簿謄本
- 定款(法人の場合)
- 役員の住民票・身分証コピー(運転免許証など)
- 法人税の納税証明書(その1とその2)
税務署で取得する納税証明書のうち、どちらが必要かは管轄行政庁で確認してください。
d.財産的基礎に関する証明資料
- 直近の決算書(貸借対照表・損益計算書)
- 資金調達能力の証明(融資証明書・預金残高証明書など)
純資産が基準に届かない場合は、預金口座残高証明書や借入可能証明書を添付する必要があります。
e.営業所の所在確認資料
- 事務所の賃貸借契約書
- 建物の登記事項証明書
- 現地写真(建物の外観、表札、事務所内など)
- 電話番号確認(NTTなどの請求書)
営業所の「実在性」「常勤性」を証明する目的で、多くの書類と写真が求められます。
3.申請準備のスケジュール感
申請書類の準備は、一朝一夕には完了しません。以下のようなステップで進めていくのが現実的です。
時期 | 作業内容 |
1か月前 | 必要書類のリストアップ、証明書の取り寄せ(卒業証明書、登記簿謄本など) |
3週間前 | 経営・技術の証明資料の精査、実務経験の裏付け確認 |
2週間前 | 全体の申請書類作成(様式記載)、営業所写真の撮影 |
1週間前 | 書類の整合性チェック・誤記修正 |
提出前日 | 必要部数のコピー作成、ホチキス・製本処理、申請手数料の確認 |
4.よくあるトラブルと対処法
(1)証明書が揃わない
→ 代替資料で対応できる場合があります。証拠性の高い資料(工事請負契約書、工事日報、注文書など)を複数用意すると良いでしょう。
(2)実務経験期間が不足していた
→ 指定学科卒業歴がある職員の有無を再確認し、必要年数が短縮されるパターンがないか見直します。
(3)営業所の「実在性」が疑われた
→ 外観写真、表札や看板、事務所レイアウトの写真などで「本当に稼働している拠点であること」を証明する工夫が必要です。
5.まとめ~資料の収集と準備は許可取得の第一歩
建設業許可申請は、単に申請書を提出すればよいというものではなく、過去の実績や組織体制を客観的に証明するための書類を揃える作業が必要です。行政庁も「実体のない申請」を排除するため、非常に厳格に審査を行います。
したがって、書類の精度がそのまま「審査の通過率」に直結することになります。
東京都江東区や沖縄県那覇市で建設業許可の申請をお考えの方は、早めに準備を開始し、抜け漏れのない資料収集を心がけましょう。なお、各都道府県によって取扱いの細部が異なるため、申請先の建設業許可窓口への事前確認も忘れずに行ってください。