株式会社の解散手続きについて、流れとポイント、かかる費用は

株式会社の解散手続きは、法人としての活動を終了し、法人格を消滅させるための重要な手続きです。解散にはさまざまな理由があり、経営方針の転換や事業の終了、合併や売却などが考えられます。ここでは、株式会社の解散手続きの具体的な流れとポイント、かかる費用について詳しく解説します。

目次

株主総会での解散決議

株式会社は株主総会で解散することを決議することができます。この解散決議は特別決議と呼ばれる厳格な決議が必要とされ、議決権を有する株主の過半数が出席し、出席した株主の有する議決権の3分の2以上の賛成をもって可決されます。

ポイント: 株主総会の招集通知は法定期間内に送付する必要があります。解散理由や今後の手続きを株主に十分説明し、理解を得ることが重要です。特別決議は、通常の決議よりも高いハードルが設定されているため、事前に十分な調整が求められます。

解散、清算人就任の登記

株主総会の決議により解散したときは、本店の所在地で2週間以内に解散の登記をしなければなりません。登記すべき事項は「解散の旨、その事由及び年月日」となります。また、解散の登記と同時に、清算人及び代表清算人の就任の登記を行います。

ポイント: 解散登記は迅速に行うことが求められます。解散後の不正取引を防ぐためにも、法務局への登記手続きを怠らないようにしましょう。解散登記が完了するまで会社は正式には解散したことにならないため、注意が必要です。

清算人の選任と業務

一般的に解散時の取締役及び代表取締役がそのまま清算会社の清算人、代表清算人に就任します。清算人の主な業務は以下の通りです:

  1. 財産目録と貸借対照表の作成・承認: 清算人は就任後、会社の財産を調査し、財産目録及び貸借対照表を作成します。そして、これらの書類は清算会社における株主総会において承認を得る必要があります。
  2. 債権者保護手続き: 清算人は、「官報公告」において会社債権者に対して解散することを知らせ、2ヶ月間以上の決められた期間内に申し出るよう求めます。また、会社が把握している債権者に対しては「個別に催告」をします。
  3. 解散事業年度の確定申告書の提出: 清算会社は解散した日から2ヶ月以内に、事業年度開始日から解散日までの法人税確定申告を税務署に対して行います。
  4. 資産の現金化、債務弁済、残余財産の確定・分配: 清算人は、売掛金や未収入金などの会社の債権を回収し、買掛金や借入金など会社の債務を支払います。また、棚卸資産や固定資産など資産価値のあるものは現金化します。そして、すべての資産・負債を清算した後に残る残余財産を株主に分配します。

ポイント: 清算人は重要な役割を担うため、信頼性の高い人物を選任することが重要です。また、清算手続きは法的な規制が厳しいため、適切な手続きを踏むことが求められます。

清算確定申告書の提出と決算報告書の作成・承認

残余財産が確定すれば、1ヶ月以内に税務署に清算確定申告を行います。ここで、所得があれば納税します。清算人は一連の清算事務が完了すれば、速やかに決算報告書を作成し、株主総会を開催して決算状況を報告し、その承認を受けます。

ポイント: 清算確定申告は、解散事業年度の確定申告とは別に行う必要があります。事務処理の重複を避けるためにも、手続きのスケジュールを十分に確認しましょう。

清算結了登記

株主総会で清算の承認を受けてから2週間以内に、法務局に清算結了の登記申請を行います。これにより、会社は正式に消滅します。

ポイント: 清算結了登記を行うことで、会社の法人格が消滅し、全ての法的義務から解放されます。手続きを遅延させないよう、準備を整えておくことが重要です。

各機関に対する解散の届出

清算結了登記が完了すれば、最後に税務署など各種機関へ解散の届出をする必要があります。この届出には一般的に「異動届出書」や「登記事項証明書」など解散したことを証する書類が必要になります。

ポイント: 届出先は、「税務署」、「都道府県税事務所」、「市区町村役場」、「社会保険事務所」、「労働基準監督署」などの公的機関です。添付書類は各機関によって異なるので、各機関のウェブサイト等で確認するようにしてください。

かかる費用

株式会社の解散手続きには、以下の費用がかかります:

  1. 解散登記費用: 解散登記の際に、登録免許税として3万円が必要です。
  2. 清算人の報酬: 清算人に外部の専門家を起用する場合、その報酬が必要です。報酬額は、会社の規模や清算業務の複雑さに応じて異なります。
  3. 法的手続きの費用: 弁護士や税理士などの専門家に依頼する場合、その費用も発生します。
  4. その他の費用: 債務の弁済や財産の処分に伴う手数料など、個々のケースによって異なる費用が発生することがあります。

ポイント: 事前に費用を見積もり、適切な予算を確保することが重要です。特に、清算人の報酬や法的手続きの費用は高額になることがあるため、慎重に計画を立てることが求められます。

まとめ

株式会社の解散手続きは、法的に規定された厳格な手続きを踏む必要があります。解散を決議する株主総会から、解散登記、清算手続き、清算結了登記までの流れを理解し、適切に対応することが求められます。また、解散手続きには費用がかかるため、事前に十分な計画を立てることが重要です。これらのポイントを押さえることで、円滑な解散手続きを進めることができるでしょう。

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