ドローン飛行許可を取らずに飛ばすリスクとは?コンプライアンス時代における正しい申請の重要性

昨今、ドローンの利活用が進み、撮影・測量・点検・物流など、様々な業務においてドローンが活躍するようになりました。特に江東区や那覇市のような都市部や観光地では、自治体や企業からの依頼でドローンを用いる機会も多く見られます。

一方で、適切な飛行許可を取得していない状態でのドローン運用は、業務リスクが極めて高いという現実があります。本記事では、「なぜドローン飛行において許可取得が重要なのか」「許可を取らなかった場合の具体的なリスク」「企業として守るべきコンプライアンス体制」について、行政書士の視点から詳しく解説します。


目次

1. 許可を取らずに飛行した場合、どうなるのか?

まず最初に押さえておきたいのが、航空法に基づくドローンの飛行ルールです。人口集中地区(DID)や空港周辺、夜間飛行、高度150m以上、目視外飛行、人や建物からの距離が30m未満になるような飛行など、一定の条件下での飛行は国土交通大臣の「飛行許可・承認」が必要です。

もしこれらに該当する飛行を無許可で行えば、以下のような法的リスクが発生します。

  • 最大50万円の罰金(航空法第157条の4)
  • 業務上の契約解除・業務失注
  • 損害賠償請求のリスク(民事責任)
  • 企業の信用失墜、再発注の停止

単なる「罰金」だけで済まないのが、現代のコンプライアンス社会におけるドローン業務の特徴です。


2. 現場では「許可書」だけでは足りない時代に

近年、放送局や行政関連事業、大手ゼネコン、広告代理店などでは、ドローン飛行許可を案件ごとに厳しくチェックする傾向が強まっています。

実務上では以下の3点が求められることが多いです。

  1. 国土交通省の飛行許可・承認書
  2. 申請時に提出した飛行計画書・申請書
  3. 飛行マニュアル(標準マニュアルも可)

つまり、ただ許可書を持っているだけではなく、「どのような申請をして、どのような体制で飛ばすかを事前に示せること」が非常に重要となってきているのです。


3. コンプライアンス軽視は「契約解除」の引き金にも

特に注目すべきリスクは、「契約寸前まで進んでいた案件の失注」や「既に締結していた契約の解除」が実際に発生している点です。

たとえば…

  • ドローン撮影の業務委託で、直前になって飛行許可がないことが判明し、契約解除
  • 民間企業の施設点検で、申請不備により依頼先から信頼を失い再発注がストップ
  • 公共案件で、無許可飛行が発覚し、業務停止や再入札からの排除対象に

このようなトラブルは、わずかな確認不足や書類不備、許可漏れが引き起こすものです。ドローン業務がコンプライアンスの対象として扱われる以上、「安全管理体制と法令順守」はビジネスの土台と言っても過言ではありません。


4. 許可取得を怠ると損害賠償の責任も…

さらに深刻なのが、万が一事故や損害を発生させた場合です。無許可飛行の状態で事故が起きると、以下のような複合的リスクが現実となります。

  • 航空法違反による行政罰(罰金)
  • 保険の適用外(無許可飛行が原因で保険が無効になるケースも)
  • 対人・対物の損害賠償責任(数百万円〜数千万円規模)

特に観光地や都市部では、近隣住民や通行人に対する安全配慮義務が求められるため、許可取得が事業者の「責任回避の盾」になるとも言えます。


5. 適切な申請体制を整えれば「信頼」も「案件」も得られる

逆に、しっかりと許可を取り、申請書・マニュアルを整備した上でドローンを運用できれば、クライアントからの信頼を獲得できます。

特に以下のような企業・事業者では、許可取得による「受注の増加」が現実に起きています。

  • 撮影会社(テレビ局・CM制作・ブライダル等)
  • 建設関連(外壁点検、構造物点検、測量業務)
  • 不動産業(物件紹介・周辺景観撮影)
  • 地方自治体のPRや防災業務の受託業者

「うちはしっかりと法令順守している」という姿勢は、発注者にとっての大きな判断材料です。


6. 適切な申請を行うためには

ドローン飛行許可の申請には、国土交通省のDIPS(ドローン情報基盤システム)を用いたオンライン手続きが基本です。しかし、初めての方にとっては以下のような壁が存在します。

  • 許可が必要な飛行条件の特定が難しい
  • 飛行マニュアルの作成に専門的知識が必要
  • 継続申請(年間包括申請)と個別申請の違いが分かりづらい
  • 書類の記載ミスや飛行ルール誤解による差し戻しリスク

こうした点から、専門家(行政書士)に相談・依頼することで、手続きの精度とスピードを確保するのが、結果的にもっとも安全かつ効率的な選択肢といえるでしょう。


まとめ ルールを守る者が信頼を得る時代へ

ドローンの運用は「自由な空の活用」と引き換えに、高度なルール順守と安全管理が求められる時代へと突入しています。

特に江東区や那覇市のような、観光・商業・都市開発が進む地域では、ドローンに対する視線も厳しく、「無許可飛行=信用喪失」という現実があることをぜひ意識してください。

そして、しっかりと飛行許可を取得し、コンプライアンス体制を整えることが、ドローンビジネスの第一歩です。適切な運用を続けることで、クライアントからの信頼を得て、持続可能な事業成長につなげましょう。

目次