大工工事業の建設業許可を取得するために知っておくべきポイント

今回は大工工事業の建設業許可について、特に沖縄県那覇市と東京都江東区でお仕事をされている方々を対象に、わかりやすくご説明します。大工工事業の許可は、工事規模が大きくなるときに必須であり、適切な許可を取得することで信頼性や事業の拡大につながります。この記事では、大工工事業の工事内容、許可が必要な請負金額、要件や専任技術者について詳しく解説します。

1. 大工工事業とは

建設業許可は、工事の請負規模や種類に応じて必要となる許可です。主に「一式工事業」(建築工事業や土木工事業などの複合工事)と「専門工事業」(27種類の工事に分類)に分かれており、大工工事業は専門工事の一つです。

大工工事業においては、木材を使用して建築物を作る工事や、木製の設備を取り付ける工事が含まれます。以下のように木材を加工し建物の基礎を築く作業は「大工工事業」に該当します。

例として、木造の家の土台づくり、型枠の設置、壁や屋根の木材構造の組み立てなどがあり、これらは大工工事として分類されます。

2. 大工工事業における許可要件と金額の基準

大工工事業では、500万円以上の工事を請け負う場合には建設業許可が必要です。また、元請け業者として大工工事を請け負い、下請業者に総額で4,000万円以上を発注する場合には、特定建設業許可を取得しなければなりません。

この許可要件は、規模の大きな工事を行う際のリスクや施工管理の技術力を保証するもので、発注元や元請け業者に対しての信頼性を示す証明でもあります。工事金額が500万円未満の場合には、許可不要で仕事を行うことができますが、大工工事業において事業拡大や安定した受注を目指すならば、許可取得が有利になります。

3. 大工工事業における具体的な工事内容

建設業許可申請の手引きにおいて、大工工事は次のように定義されています:

  • 木材の加工や取付けにより工作物を築造する工事
  • 工作物に木製の設備を取付ける工事

具体的な工事には、以下のようなものが含まれます。

  • 大工工事:住宅やビルの土台や柱の設置
  • 型枠工事:コンクリートを流し込む型を木材で組み立てる
  • 造作工事:室内の壁や天井の木材を加工し設置する

木材や木製設備などを用いて工作物を作る工事が大工工事に該当し、木材を使わず石膏ボードやタイルなどを使う内装仕上工事と区別されています。

4. 専門工事業の大工工事と他工事の違い

「大工工事業」と「建具工事業」
大工工事業に似た業種に「建具工事業」がありますが、これは木製のドアやサッシの取り付け工事を行うもので、木材の土台を作る大工工事とは異なります。間違いやすいですが、ドアの設置は「建具工事業」に分類されるため、注意が必要です。

「大工工事業」と「内装仕上工事業」
また、「大工工事業」と「内装仕上工事業」も異なります。大工工事業では木材を使って建物の基礎部分や柱を組み立てるのが主な仕事である一方、内装仕上工事業はその基礎を仕上げる工程、たとえば壁紙や床材の貼り付け、クロスの施工などを行います。

5. 建築工事業と大工工事業の誤解

よくある誤解として「建築工事業(建築一式工事)の許可があれば、大工工事も金額制限なく請け負える」と思われがちですが、これは誤りです。建築工事業の許可があれば金額に関係なく「建築一式工事」を請け負うことができますが、専門工事業である大工工事を主な目的とする場合には、大工工事業の許可が別途必要です。建築工事業の許可のみでは500万円以上の大工工事を行うことはできません。

6. 大工工事業の専任技術者の要件

建設業許可を取得するためには、各業種ごとに専任技術者を配置することが求められます。専任技術者とは、工事の技術を担保するための技術者で、企業が常に在籍させる必要があります。

【専任技術者の資格一覧】

大工工事業の専任技術者になれる資格は以下の通りです。

  • 一級建築士
  • 二級建築士
  • 木造建築士
  • 一級建築施工管理技士
  • 二級建築施工管理技士(仕上げ)
  • 一級技能士(建築大工・型枠施工)
  • 二級技能士(建築大工・型枠施工)【3年以上の実務経験が必要】
  • 監理技術者資格者(大工)

特定建設業許可を取得する場合は、一級資格者または監理技術者資格者のみが専任技術者として認められます。

【実務経験による専任技術者の要件充足】

資格がなくても、10年以上の大工工事実務経験があれば専任技術者になることが可能です。また、大工工事に関連する学科(建築学や都市工学など)を卒業した場合、一定年数の経験を要件とする短縮措置もあります。

7. 大工工事の実務経験を証明するための書類

大工工事業の専任技術者になるための実務経験は、書類で証明できるかが重要です。経験を積んだ企業が許可を持っていた場合とそうでない場合で必要な書類が異なります。

【許可がある企業での経験】

  • 被保険者記録照会回答票(年金記録)
  • 建設業許可通知書の写し
  • 専任技術者証明書
  • 実務経験証明書

【許可がない企業での経験】

  • 被保険者記録照会回答票
  • 工事請負契約書や請求書
  • 専任技術者証明書
  • 実務経験証明書

【書類の入手と準備】

各書類の取得方法として、年金記録は年金事務所で発行されます。また、企業の建設業許可の有効性は自治体で確認できます。工事請負契約書がない場合は、注文書や入金の記録も有効な証拠として使えます。

8. 専任技術者証明書・実務経験証明書

大工工事の専任技術者の要件を満たすためには、「専任技術者証明書」や「実務経験証明書」を作成し、経験内容を証明します。書類の形式や記載内容は自治体によって異なる場合があるため、提出先の自治体に確認することが重要です。

9. まとめ

大工工事業の建設業許可取得は、規模の大きな工事を行うために不可欠です。許可要件を満たすためには、専任技術者を確保し、実務経験や資格を証明する書類をしっかりと整えましょう。大工工事に関する理解を深め、正しい手続きを踏むことで事業を安定させることができます。

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