
建設業許可を申請する際、必ず確認される要件の一つに「営業所の実在性」があります。
営業所は、単に登記簿に住所を記載すれば良いというものではなく、建設業を営むにふさわしい設備を備え、かつ使用権限が明確であることを証明しなければなりません。
この記事では、東京都江東区や沖縄県那覇市で建設業許可を検討されている事業者の方々に向けて、営業所の確認資料について詳しく解説いたします。
1. 営業所の確認が必要な理由
建設業の許可制度では、実態のない「ペーパーカンパニー」や、倉庫や自宅の一角を無理やり事務所と称しているようなケースを排除するため、営業所の要件を厳格に定めています。
営業所として認められるためには、以下の条件を満たす必要があります。
- 建設業に必要な打合せ・契約業務を行える環境があること
- 机、電話、コピー機などの最低限の事務設備を備えていること
- 継続的に人が常駐して業務を行っていること
- 使用権限(所有権または賃貸借契約など)が明確であること
これらを証明するために、営業所の確認資料を提出する必要があります。
2. 営業所の使用権限を証明する資料
2-1. 自社所有の場合
営業所が自社所有の建物である場合は、**建物の登記簿謄本(全部事項証明書)**を提出します。
登記簿に会社名義が記載されていれば、当然ながら使用権限は会社にあることが確認できます。
2-2. 賃貸物件の場合
営業所が賃貸物件である場合は、事務所の賃貸借契約書の写しを提出します。
このとき特に注意すべき点は以下の通りです。
- 契約書の使用目的が「事務所」となっているか
「居宅」「倉庫」などの用途になっている場合は、そのままでは営業所として認められません。大家さんに用途変更の承諾書をもらうか、契約をし直す必要があります。 - 契約期間が有効であるか
契約期間が満了している場合、通常は自動更新条項があるケースが多いですが、その場合は「賃料の支払い実績(通帳コピーや領収書)」を添付して実際に継続使用していることを証明する必要があります。 - 名義人の確認
契約名義が会社名義ではなく代表者個人名義になっている場合、営業所として認められないことがあります。会社の登記簿上の本店や支店として利用する以上、会社名義の契約が望ましいです。
3. 写真資料の提出
営業所の実在性を証明するため、営業所の写真を提出することが求められます。
3-1. 撮影が必要な写真の例
- 外観写真:建物全体が分かる写真
- 入口写真:会社の看板や表札が確認できるもの
- 内観写真:机、椅子、電話、コピー機など事務所設備が分かる写真
- エントランスや郵便受けの写真:ビルの一室を借りている場合は、会社名が掲示されていることが分かる写真
3-2. 写真撮影の注意点
- 個人宅を事務所として兼用している場合は、生活空間と分離したスペースであることを示す必要があります。
- 看板や社名表示がなければ「実体のない事務所」と疑われるため、必ず掲示するようにしましょう。
- 打合せスペースや来客用の椅子なども写しておくとスムーズです。
4. よくあるトラブルと注意点
4-1. 自宅兼事務所の場合
自宅の一室を事務所として使う場合、生活スペースと事務スペースが明確に区別されていることを示す必要があります。
例えば、リビングに机を置いただけでは営業所として認められない可能性があります。
4-2. 倉庫のみを借りている場合
資材置き場や倉庫を借りているだけでは営業所とは認められません。事務作業を行えるスペースを別途用意する必要があります。
4-3. バーチャルオフィスやレンタルオフィス
電話秘書サービスや住所貸しのみのバーチャルオフィスは、営業所として認められません。
ただし、有人受付・専用スペースのあるレンタルオフィスの場合は、都道府県によっては認められるケースもあります。事前に相談が必須です。
5. 東京都江東区と沖縄県那覇市での傾向
江東区の場合
東京都では、営業所の実態調査が厳格に行われています。特に江東区は中小建設業者が多く、ペーパーカンパニー対策として写真や契約書の不備に厳しく対応される傾向があります。
そのため、事務所の整備や写真資料の準備は入念に行いましょう。
那覇市の場合
沖縄県庁も営業所の確認には厳格ですが、観光業やリゾート関連工事の需要により、新規参入の事業者が多いため相談窓口が比較的柔軟に対応してくれます。
ただし、共同住宅の一室を事務所として申請するケースも多いため、用途確認(居宅か事務所か)について特に注意が必要です。
6. 営業所資料準備の実務フロー
- 営業所の使用形態を確認(自社所有か賃貸か)
- 必要な資料を収集(登記簿謄本や賃貸借契約書、賃料支払い証明)
- 営業所内外の写真を撮影
- 社名表示(看板・表札)を設置
- 申請窓口へ事前相談(特に用途制限が不明な場合)
まとめ
建設業許可申請において営業所の実在性を証明することは、許可取得の大前提となります。
- 自社所有の場合は登記簿謄本
- 賃貸の場合は賃貸借契約書+賃料支払い実績
- 写真資料(外観・内観・看板など)
を適切に揃えることで、スムーズに審査を通過できます。
東京都江東区や沖縄県那覇市で申請を検討している事業者の方は、事務所整備を早めに進め、必要な資料を確実に揃えることが成功のポイントです。
建設業許可申請に特化した行政書士見山事務所までお気軽にご相談下さい。