建設業許可申請における「商号変更・資本金変更・営業所所在地・役員構成」等の変更手続きとは

建設業許可を取得した後も、事業運営の過程で会社の体制や経営状況に変化が生じることは少なくありません。商号(会社名)の変更、資本金の増減、営業所の移転、役員構成の変更などがこれにあたります。
こうした変更は、建設業法上の「変更届出義務」に該当します。届出を怠ると、行政庁からの指導や監査の対象となる可能性があるため、正確かつ期限内の対応が求められます。

この記事では、東京都江東区および沖縄県那覇市で建設業を営む方々に向けて、変更届の具体的な手続きや注意点を、実務的な観点から詳しく解説していきます。

目次

1. 変更届が必要となる主なケース

建設業許可を取得した後、次のような変更が発生した場合には、変更後30日以内に変更届を提出しなければなりません。

  1. 商号(会社名)の変更
  2. 資本金の変更(増資・減資)
  3. 営業所の所在地の変更
  4. 役員構成の変更(取締役の就任・退任・交代など)
  5. 定款の変更に伴う本店所在地変更や事業目的の追加 など

これらはいずれも登記事項であるため、変更があった際には登記簿謄本(履歴事項全部証明書)を最新のものに差し替え、変更届に添付して提出する必要があります。

2. 商号(会社名)を変更した場合

商号変更は、会社のブランディングや事業拡大に伴い行われることがありますが、建設業許可上も重要な変更にあたります。

商号を変更した場合、まずは法務局での登記手続きを済ませ、登記簿謄本を取得します。その後、建設業許可の変更届を提出します。
提出期限は、登記が完了した日から30日以内です。

変更届には、次のような書類が必要です。

  • 登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
  • 商号変更後の印鑑証明書(法人の場合)
  • 変更届出書(様式第22号の2)

また、商号を変更したことで印章(会社印)や請求書等の書式も変わるため、公共工事の入札参加資格など、他の行政手続きもあわせて変更しておく必要があります。東京都や沖縄県の自治体入札システムでは、商号変更が未反映のままでは入札に参加できない場合もあります。

3. 資本金を変更した場合

資本金の変更は、財務基盤の強化や融資条件の改善などを目的に行われることが多く、建設業許可においても慎重な手続きが必要です。

特に注意が必要なのは、「特定建設業」許可を受けている場合です。特定建設業では、資本金が一定額(2,000万円以上)なければ許可要件を満たさなくなってしまうため、減資を行う際には十分な検討が必要です。

変更届には以下の書類を添付します。

  • 登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
  • 貸借対照表などの財務資料(場合により)
  • 変更届出書

資本金の増資の場合、増資決議の議事録や払込証明書など、増資の事実を証明する書類の提出を求められることもあります。

江東区内の事業者では、特に中小建設業者が法人税や社会保険負担を考慮して資本構成を見直すケースが多く見られます。
一方、那覇市では、地元建設業協会や沖縄総合事務局の補助金申請などと連動して資本金を増やす事例も多く、タイミングの調整が重要です。

4. 営業所の所在地を変更した場合

営業所を移転した場合は、建設業許可上の「営業所所在地変更」として、30日以内の届出が必要です。
移転先の営業所が常勤職員を配置し、実際に建設業の実務を行える環境であることが前提となります。

届出には次のような書類が必要です。

  • 履歴事項全部証明書(本店所在地が変わる場合)
  • 新営業所の写真(外観・入口・事務スペースなど)
  • 賃貸借契約書の写し(賃貸の場合)
  • 電話番号やFAX番号のわかる資料(名刺・請求書など)

営業所の実在性が確認できないと、変更届が受理されない場合があります。
特に東京都江東区では、テナントビル内に営業所を構えるケースが多く、看板や表札の設置状況の写真が求められます。
一方、沖縄県那覇市では、住宅兼事務所のケースも多いため、建設業専用スペースであることを明示できるように写真を撮影しておくことが重要です。

5. 役員構成を変更した場合

取締役や監査役の就任・退任があった場合も、変更届の提出が必要です。
建設業許可では、「経営業務の管理責任者」や「専任技術者」の要件に直結するため、特に慎重な対応が求められます。

届出書には次の資料を添付します。

  • 履歴事項全部証明書
  • 新任取締役の身元証明書(本籍地の市区町村が発行)
  • 登記されていないことの証明書(法務局発行)
  • 新旧役員の一覧表

もし経営業務の管理責任者や専任技術者に変更が伴う場合は、それぞれの変更届(別様式)も同時に提出する必要があります。

東京都では、書類の不備や証明書の発行日が古いことによる差し戻しが多く発生しています。証明書類は発行から3か月以内のものを使用するのが原則です。
那覇市でも同様の取り扱いですが、島内の法務局・市役所間での郵送発行には時間がかかるため、余裕を持って準備しましょう。

6. 変更届の提出先と手続きの流れ

一般的な流れは次の通りです。

  1. 登記変更や移転手続きを完了
  2. 各種証明書を取得(登記簿、身元証明書など)
  3. 変更届書を作成(様式第22号の2)
  4. 添付書類を整えて提出
  5. 行政庁で受理・確認(不備があれば補正)

提出は郵送でも可能ですが、確認が必要な場合は窓口持参が安心です。
変更事項が複数ある場合でも、1件ごとに添付書類を明確に分けることがポイントです。

7. よくあるトラブルと注意点

  • 期限(30日以内)を過ぎると指導の対象となる
  • 登記を先に行わないと届出が受理されない
  • 営業所写真の撮り忘れで差し戻し
  • 役員の身元証明書が旧住所のまま

また、変更届を怠ったまま次回の「決算変更届」や「更新申請」を行うと、行政庁から過去の変更経緯をすべて説明するよう求められ、結果的に大幅な時間を要することもあります。

8. まとめ 変更手続きは「早めの準備」が鍵

商号や資本金、営業所所在地、役員構成などの変更は、会社の経営上よくあることですが、建設業許可上は慎重な手続きが求められます。
変更内容によっては、経営業務の管理責任者や専任技術者の要件に影響を与えることもあり、事前の確認と届出期限の厳守が不可欠です。

東京都江東区や沖縄県那覇市の事業者の方は、登記や行政届出をスムーズに行うため、早い段階で行政書士など専門家に相談し、必要書類を整えておくことをおすすめします。
変更届の対応を怠らず、法令遵守を徹底することが、安定した建設業経営の第一歩です。

建設業許可申請に精通した行政書士見山事務所までお気軽にご相談下さい。

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