工事経歴書の書き方と注意点についての徹底解説 沖縄県那覇市と東京都江東区の方へ

工事経歴書は建設業許可を維持するために必要な重要書類の一つであり、過去に行った工事実績を正確に記載することで、企業の実力を適切に示すことができます。しかし、記載内容に不備があると行政手続きがスムーズに進まない場合があるため、正確で詳細な記載が求められます。本記事では、工事経歴書の基本的な書き方や、特に注意すべきポイントについて、沖縄県那覇市や東京都江東区で建設業に携わる方に向けて詳しく解説します。

1. 工事経歴書とは

工事経歴書は、建設業者が過去に実施した工事の経歴を一覧形式で記載する書類で、建設業許可の更新や経営事項審査(経審)に提出が求められる重要な書類です。この書類は、主に工事の発注者や工期、工事内容、請負金額などが記載されます。特に公共工事の発注機関などは、企業の信頼性や適格性を確認するために、この工事経歴書を審査の重要な基準としています。

工事経歴書には、建設業法や国土交通省のガイドラインに基づいた細かい記載ルールが存在し、正確に記載することで許可の更新手続きや経審がスムーズに進むため、書き方や注意点について理解しておくことが大切です。

2. 工事経歴書の基本的な書き方と注意点

工事経歴書の作成にあたっては、以下の図に沿って各項目を記載していくことが求められます。特に、次の点に注意しながら作成を進めていきましょう。

(1) 略号や表記について

  • 略号の使用:工事経歴書の項目においては、記載スペースが限られているため、(内)などの略号を使用しても問題ありません。ただし、略号を使用する際は統一することが重要です。

(2) 該当項目への「〇」記入

  • 該当項目の特定:指定された該当項目については、〇印を使用して特定します。曖昧な記載を避け、分かりやすく表記するように心がけましょう。

(3) 発注者が個人である場合の表記

  • 個人情報保護への配慮:元請工事の発注者が個人の場合、その人物を特定できる表記は避け、「A」などの仮名で表記することが推奨されています。これはプライバシー保護のための対応ですので、注意が必要です。

(4) JV(共同企業体)における記載

  • 共同受注の場合:JV(共同企業体)として工事を受注した場合は、経歴書には「JV」と記載します。この場合、契約書や工事カルテで出資比率などの詳細を確認することが必要です。

(5) 注文者が個人のケース

  • 工事名の記載:注文者が個人である場合も同様に、個人情報が特定されないよう「A邸」などの表記を用いることが推奨されています。

(6) 配置技術者の記載

  • 技術者の変更があった場合:工事の途中で配置技術者が変更になった場合、変更後の技術者だけでなく、全ての技術者名を記載するようにします。これは責任範囲を明確にするためです。

(7) 施工方法の特定

  • 施工方法の表示:指定された施工方法については〇印で囲んで特定します。この際、選択した施工方法が誤解を生まないよう明確に表示します。

(8) 未成工事の記載

  • 未完成工事の表記:未成工事(工事が完了していないもの)は、完成予定年月を明記します。また、完成工事とは段を分けて記載することがルールとなっています。

(9) 工事進行基準の適用

  • 工事進行基準の採用:工事進行基準を採用している場合、経歴書には二段書きで記載します。基準に基づく正確な記載が求められますので、記載例を参考にして間違いのないよう記載してください。

(10) 各ページの合計の記載

  • ページごとの合計:記載した工事の請負金額の合計を各ページごとにまとめて記載します。

(11) 年度内に施工した全件数と請負金額の記載

  • 年度ごとの合計額:当該年度内に施工された工事の件数と請負金額の合計額を、工事経歴書の最終ページに記載します。

3. コリンズとは?公共工事データベースの活用について

工事経歴書を作成する際には、公共工事の実績を確認するためのデータベース「コリンズ」を活用することが推奨されます。コリンズは、企業が受注した公共工事の内容を登録し、発注機関が確認できるようにした工事・業務実績情報のデータベースです。

コリンズの目的と役割

  • 公平な評価の実現:公共工事の入札・契約手続きにおいて、適切な建設業者を選定するための透明性や公平性、競争性を高めることが目的です。
  • 活用方法:登録された工事データは、発注機関だけでなく、建設業者が自社の実績を示す資料としても使用することができます。

国土交通省のWebサイトでコリンズ・テクリスセンターに関する詳細な情報が公開されているため、確認しながら記載することが望ましいです。

4. 経営事項審査を受ける場合と受けない場合の工事経歴書の違い

工事経歴書は、経営事項審査(経審)を受ける場合と受けない場合で記載ルールが異なります。以下にそれぞれのルールを解説します。

経営事項審査を受ける場合

  1. 元請工事の記載:直近の決算期における元請工事の中で、請負金額の大きい順に「元請工事の請負金額全体の70%に達するまで」記載します。
  2. 元請・下請工事の記載:上記で記載しなかった工事について、元請工事と下請工事を含め、決算期に完成した工事を請負金額の大きい順に「全体の70%に達するまで」記載します。
  3. 建設業許可を必要としない工事:経審対象外の工事も含めて合計10件に達した場合、以降の工事については記載不要となります。

経営事項審査を受けない場合

  1. 直近決算期の工事記載:決算期にかかる完成工事について、請負金額の大きい順に10件記載します。
  2. 未成工事の記載:主要な未成工事についても、請負金額の大きい順に記載する必要があります。

5. 工事経歴書作成のためのポイントとコツ

工事経歴書は、多くの書類の中でも非常に詳細な情報を必要とするため、作成には手間がかかります。しかし、記載ミスや不備があると手続きが遅れるため、正確な情報をもとに適切に記載することが重要です。

まとめ

  • 各項目の記載要件を理解し、正確に記入する
  • 経営事項審査の受審状況に応じて記載ルールを守る
  • プライバシー保護や公共データベースの活用などの最新情報にも対応する

沖縄県那覇市や東京都江東区で建設業に携わる事業者の皆様は、工事経歴書を正確に作成し、建設業許可の維持や円滑な経審を目指していきましょう。

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