鋼構造物工事業許可取得のためのポイントと、具体的な手続きを徹底解説

鋼構造物工事は、鋼材を加工・組立てして建造物を形成する建設工事の一つで、鉄骨工事や橋梁工事、鉄塔工事、貯蔵用タンクの設置工事など、多岐にわたる分野を含みます。この工事を請け負うにあたり、500万円以上の案件については「鋼構造物工事業」の建設業許可が必要となります。この記事では、許可取得のための具体的なポイントと、注意すべき実務経験証明や資格要件について詳しく解説していきます。

1. 鋼構造物工事業の許可が必要なケース

鋼構造物工事業は、27種類ある専門工事業の一つです。以下のような条件に該当する場合、鋼構造物工事業の許可が必要となります。

  • 500万円以上の鋼構造物工事を請け負う場合
  • 元請業者として鋼構造物工事を請け負い、下請業者に4,000万円以上発注する場合
    特に特定建設業許可が必要になります。

具体例と区分
代表的な鋼構造物工事には以下のものがあります。

  • 鉄骨工事
  • 橋梁工事
  • 鉄塔工事
  • 石油・ガス貯蔵用タンクの設置工事
  • 屋外広告工事
  • 水門や閘門等の門扉設置工事

また、とび土工コンクリート工事業の中にも鉄骨組立工事が含まれますが、ここでの鉄骨工事とは、鉄骨の製作・加工から組立てまでを一貫して行う作業を指し、既に加工済みの鉄骨を現場で組み立てる工事とは異なります。

2. 一式工事許可と鋼構造物工事業許可の違い

建築一式工事や土木一式工事の建設業許可を持っているからといって、鋼構造物工事も金額制限なく請け負えるわけではありません。一式工事の許可は、あくまで一式工事にのみ適用されるため、例えば鉄骨の加工や組立工事を行う場合には別途「鋼構造物工事業」の許可が必要です。

3. 鋼構造物工事業の専任技術者要件

建設業許可を取得するには、業種ごとに一定の資格または実務経験を持つ専任技術者を営業所に配置する必要があります。鋼構造物工事業の専任技術者になるための資格要件は以下の通りです。

資格で要件を満たす場合

  • 一級建築士
  • 一級土木施工管理技士
  • 二級土木施工管理技士(土木)
  • 一級建築施工管理技士
  • 二級建築施工管理技士(躯体)
  • 技術士
  • 技能士
  • 監理技術者資格者
  • 登録基幹技能者

注意:技能士資格の場合、「鉄工(製罐作業または鋼構造物鉄工)」の検定に限られ、二級の場合は合格後3年以上の実務経験が必要です。

特定建設業許可の場合

特定建設業許可においては、上記のうち「一級建築士」「一級土木施工管理技士」「技術士」「監理技術者資格者」のいずれかの資格が必要です。

実務経験で専任技術者になる場合

資格を持っていない場合でも、鋼構造物工事に関する10年以上の実務経験があれば専任技術者になることが可能です。また、建築学・機械工学・土木工学に関する学科を高校・大学で修了した場合、必要な経験年数が5年または3年に短縮されます。

4. 実務経験証明方法

鋼構造物工事業の専任技術者要件を実務経験で満たす場合には、実際の経験を裏付ける証明が求められます。証明方法は、経験を積んだ企業が建設業許可を受けているかどうかで異なります。

許可あり企業での経験の場合

  • 被保険者記録照会回答票:在職期間中の年金記録
  • 建設業許可通知書の写し:企業が許可を受けていた期間の証明
  • 専任技術者証明書:申請書類として、様式第八号の専任技術者証明書
  • 実務経験証明書:様式第九号の実務経験証明書で、具体的な工事経験の詳細を記載
  • 指定学科の卒業証明書:学歴要件による経験年数の短縮が必要な場合
  • 健康保険被保険者証の写し:現在の常勤を証明

5. 実務経験証明書の詳細と書類の取得

経験証明は、担当工事内容を具体的に記載することが求められます。また、企業の許可状況によって証明に必要な書類が異なります。各書類について簡単に説明します。

  • 被保険者記録照会回答票:過去の年金加入状況を確認できる書類で、年金事務所にて即日発行が可能。
  • 建設業許可通知書の写し:企業の許可有効期間を証明し、経験期間中の許可状況を確認する重要書類です。
  • 工事請負契約書等:許可なし企業における経験の場合、500万円以下の工事実績については、契約書、注文書、請求書等を通年分用意する必要があります。

6. 卒業証明書と健康保険証の写しについて

卒業証明書:指定学科を卒業したことにより経験年数短縮を受ける場合、原本が必要です。健康保険証の写しは、申請する企業で現在常勤であることを証明します。状況に応じて、標準報酬決定通知書や法人税確定申告書等の追加書類が必要になるケースもあります。

まとめ

建設業許可申請には専門知識が必要であり、特に鋼構造物工事業の申請には資格、実務経験、書類の取り揃えが重要です。事前に必要書類を確認し、不足のないように準備しましょう。沖縄県那覇市や東京都江東区の建設業者の皆様がスムーズに許可を取得し、さらなる事業発展にお役立ていただければ幸いです。

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