不法滞在とは?那覇市・江東区の住民が知っておきたい基礎知識、種類と背景について

日本における「不法滞在」とは、外国人が適切な許可なく国内に滞在している状態を指します。沖縄県那覇市や東京都江東区のような地域では、国際交流が盛んな一方で、外国人の不法滞在問題が懸念されています。

ただし、「不法滞在」と一口に言っても、その状況に至った経緯や事情はさまざまであり、大きく3つのパターンに分類されます。本記事では、それぞれのパターンについて詳しく解説するとともに、不法滞在の背景や現状について考察します。

不法滞在の3つのパターン

1. 不法入国者

不法入国者とは、有効なパスポートやビザを持たずに日本に入国・滞在している外国人を指します。この状態には以下のケースが含まれます:

  • パスポート未取得または有効期限切れ
    例: 母国で発行手続きが困難なため、パスポートが用意できなかった場合。
  • 他人のパスポートを使用
    他人名義のパスポートを借用または購入して使用するケースです。
  • 偽造・変造パスポートの使用
    偽造されたパスポートや、写真や記載事項を不正に改ざんされた変造パスポートを使う行為も含まれます。

不法入国は、そもそも入国審査を通過していない状態です。そのため、日本国内での在留資格を持たず、発覚すれば即時に退去強制手続きの対象となります。

2. 不法上陸者

不法上陸者とは、入国審査官からの上陸許可を受けないまま日本に上陸した外国人のことです。上陸許可は、日本への入国に際して必ず必要とされる審査ですが、この審査を通らずに上陸した場合、不法上陸となります。

具体的な不法上陸者のケース

  • 上陸許可の条件未達
    パスポートや在留資格が有効でない場合、または入国目的や滞在期間に問題がある場合。
  • 特例上陸許可の未取得
    船舶や航空機で訪れる乗客・乗員に対する特例上陸許可(寄港地上陸許可、乗員上陸許可など)を受けずに上陸する場合。

不法上陸者は比較的少なく、主に港湾や空港などの管理体制が厳しいエリアで発生します。那覇港や羽田空港周辺では特に警戒が強化されています。

3. 不法残留者

不法残留者とは、有効な在留資格で入国したものの、その期間を過ぎても滞在を続ける外国人のことです。

このケースが最も多く、全体の不法滞在者の中で圧倒的な割合を占めています。不法残留者が増加する主な理由は以下の通りです。

  • 観光ビザでの入国後の残留
    比較的取得が簡単な観光ビザを利用して入国し、そのまま滞在を続けるケース。観光ビザでは通常、就労が認められていませんが、仕事を求めて不法に滞在することがあります。
  • 更新手続きの未実施
    在留資格の期限が切れているにもかかわらず、更新や変更申請を行わない場合も不法残留に該当します。

不法残留者の特徴は、もともと合法的に入国しているため、パスポートや在留カードを所持している点です。ただし、在留カードには「在留資格なし」と記載されることになります。

不法滞在に至る背景

不法滞在の背景には、さまざまな社会的・経済的要因があります。

1. 母国での困難な状況

多くの不法滞在者は、母国での貧困や政治的混乱、戦争、迫害などから逃れるために日本を目指します。その過程で不法な手段を使わざるを得ない状況に追い込まれる場合もあります。

2. 日本での労働環境への期待

日本は比較的高い賃金や安定した労働環境が期待できるため、不法に滞在してでも働きたいと考える外国人が少なくありません。特に観光ビザで入国した後、不法に労働を行うケースが顕著です。

3. 手続きの複雑さ

日本の在留資格やビザの手続きは非常に厳格で、要件を満たすことが難しい場合があります。その結果、更新や変更を断念し、不法残留に陥るケースがあります。

不法滞在問題と地域社会

那覇市や江東区のような地域では、多国籍な住民が増えつつあり、不法滞在問題も社会的な課題となっています。

那覇市の場合

沖縄は観光地として国際的に有名であり、多くの外国人観光客が訪れます。そのため、観光ビザで入国後、不法に残留するケースが散見されます。また、沖縄の基地問題や国際交流の活発化に伴い、外国人労働者の増加も影響しています。

江東区の場合

江東区は東京都内でも国際的な労働力需要が高いエリアであり、建設業や物流業界を中心に外国人労働者が多く働いています。このため、不法滞在の外国人が就労を目的に集まる傾向があります。

行政書士が果たす役割

行政書士は、不法滞在問題の解決に向けて重要な役割を果たしています。

  1. 適切な在留資格取得のサポート
    外国人が不法滞在者になる前に、適切な在留資格を取得できるよう支援します。特に、ビザの更新や変更手続きについては、専門的な知識が必要です。
  2. 特定活動許可などの申請支援
    不法滞在者であっても、正規の在留資格を得るための特定活動許可や在留特別許可の申請をサポートします。
  3. 地域住民への啓発活動
    地域住民や企業に対し、外国人の適切な雇用や不法滞在の防止策について情報提供を行います。

まとめ

不法滞在には「不法入国者」「不法上陸者」「不法残留者」という3つのパターンがあり、特に不法残留者が多いのが現状です。その背景には、母国での困難な状況や日本での労働環境への期待など、さまざまな要因があります。

那覇市や江東区においても、不法滞在問題は社会的な課題の一つです。しかし、行政書士による適切な支援があれば、正規の在留資格を取得する道が開ける可能性があります。不法滞在の問題解決に向け、地域社会全体での理解と協力が求められます。

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