意外と知られていない?法的効力をきちんと持つための遺言の書き方とその内容について

遺言は、故人の最終的な意思を示す重要な文書です。しかし、法的効力を持たない遺言は、故人の意思を正確に実行することができません。この記事では、法的効力を持つ遺言の書き方とその内容について、基本的なポイントを確認します。

法的効力を持つ遺言書の書き方

遺言書が法的効力を持つためには、民法に規定された要件を満たす必要があります。具体的には、以下の点が重要です。

  1. 遺言書を書く能力があること 遺言書を書くためには、書いた当時に遺言の能力があることが求められます。民法において、遺言の能力がないとされる者は、以下の通りです:
    • 満15歳未満の未成年者:民法では、遺言書を書くためには満15歳以上でなければならないとされています。したがって、15歳未満の者が作成した遺言書は法的効力を持ちません。
    • 精神障害者:遺言の内容を理解し、自らの意思で記述できる能力が必要です。精神的な障害により意思能力が不十分な場合、その遺言書は無効とされることがあります。
    • 被相続人の代理人:遺言書を作成する際には、被相続人自身が書かなければなりません。代理人が書いた遺言書は法的効力を持ちません。
  2. 民法で指定された事項かどうか 遺言書内で指定できる事項については、民法で定められています。民法に基づかない事項は法的効力を持ちません。指定できる事項とその範囲について以下に詳しく説明します。
    • 遺言執行者の指定:遺言書において、遺言執行者を指定することができます。遺言執行者は、遺言内容の実行を監督する役割を担います。相続財産の分配方法:遺言書において、相続財産の分配方法を明確に指定することができます。具体的な分配の割合や財産の内容について記載することができます。胎児の認知:胎児が生まれる前に認知する旨を遺言書に記載することができます。これは胎児が生まれた後に相続権を持つことを保証するためです。未成年後見人の指定:未成年者が相続する場合に、その後見人を指定することができます。未成年者の財産管理や生活のための後見人を遺言で決めることが可能です。相続人の排除:特定の相続人を相続から除外する旨を遺言書で記載することができます。ただし、排除する理由が法律で認められている必要があります。
    指摘できない事項には以下のものがあります。
    • 相続人の生活について:相続人の生活に関する具体的な指示(例:生活費の支援など)は遺言書では指定できません。
    • 養子縁組の事項:遺言書で養子縁組を指定することはできません。養子縁組は別途手続きが必要です。
    • 遺体の解剖や臓器提供:遺体の解剖や臓器提供については、遺言書で指定することはできません。これらについては生前に意思表示をする必要があります。
  3. 遺言書の書式と形式 遺言書の形式についても、民法により規定されています。以下は代表的な遺言書の形式です:
    • 自筆証書遺言:自筆証書遺言は、遺言者が自ら手書きで作成し、日付と署名をする形式です。全て自筆で書かれたものでなければなりません。公正証書遺言:公証人の前で作成する遺言書で、公証人が証人となり、公正証書として認められます。証人は2人以上必要です。秘密証書遺言:自筆で書かれた遺言書を封印し、証人の前でその封印の上に署名する形式です。内容は秘密にされたまま公証人によって証明されます。
    遺言書の書式についての詳細は、以下のリンク先にある記事もご参照ください。遺言の作成について – 行政書士見山事務所
  4. 遺言書の保管と取り扱い 遺言書を作成した後は、その保管方法にも注意が必要です。自筆証書遺言の場合、保管方法が不適切であれば、遺言書が見つからない可能性があります。公正証書遺言の場合は、公証役場で保管されるため、安心です。遺言書が発見されなかったり、内容が無効とされると、故人の意思が実行されない可能性があります。信頼できる場所に保管し、遺言書の存在や保管場所について家族や信頼できる人に伝えておくことが重要です。

終わりに

法的効力を持つ遺言書は、故人の意思を確実に実行するための重要な手段です。遺言書を作成する際には、民法で定められた要件を満たすことが必須です。遺言書を書く能力や、記載できる内容、形式について正しく理解し、適切に作成することが求められます。

遺言書の作成に関して不安がある場合や、具体的なアドバイスが必要な場合は、専門家に相談することをお勧めします。当事務所では、お客様の思いに寄り添った遺言書の作成を心がけておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。

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