相続人を調査するために一番最初にすること、除籍謄本の収集について

相続手続きにおいて最初に直面する重要なステップは、相続人を確定することです。これは単なる手続きの一環ではなく、相続財産の分割やその後の法的な進行において不可欠なプロセスです。相続人全員が明確に特定されなければ、遺産分割協議書が無効になる可能性があり、さらなる紛争や手続きの遅れを招く恐れがあります。そのため、相続人を正確に特定することが、相続手続き全体の基盤となります。

相続人を特定するために必要な除籍謄本

被相続人が亡くなった場合、相続人を確定するためには、被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍を集める必要があります。これを可能にするのが「除籍謄本」です。除籍謄本とは、戸籍に記載されていた全員が婚姻や死亡、または転籍などにより戸籍から外れた後に作成される戸籍の写しです。これを集めることで、被相続人の家族構成や婚姻歴、子供の有無などが明らかになり、相続人を正確に特定することができます。

除籍謄本の収集方法

除籍謄本を収集するためには、まず被相続人が最後に本籍地としていた市区町村役場に問い合わせることが第一歩です。ここで、被相続人の死亡が記載された最新の戸籍を取得します。この戸籍には、被相続人が婚姻や転籍などによって過去にどの戸籍に属していたかが記載されています。その情報を基に、さらに過去の戸籍を追いかけていくことになります。

例えば、被相続人が昭和15年生まれで、死亡事項が記載されている戸籍に「昭和35年4月1日に○○市の○○の戸籍より入籍」と記載されていた場合、この戸籍は昭和35年の婚姻により作成されたものだと推測できます。この情報を基に、昭和35年以前の戸籍を追いかけるために、その婚姻前の戸籍を取り寄せる必要があります。このようにして、戸籍を時系列に沿って遡り、最終的に被相続人の出生時の戸籍にまで辿り着くことで、すべての相続人を特定していくのです。

複数の戸籍を収集する際の注意点

除籍謄本を集める際には、いくつかの注意点があります。まず、戸籍は個人のプライバシーに関わる情報を含んでいるため、取得には正当な理由が必要です。相続人調査という目的を明確にして申請することが重要です。また、戸籍の形式や記載内容は時代によって異なるため、戸籍の読み解きに一定の知識が求められます。特に古い戸籍には手書きのものが多く、解読が難しい場合もあります。

さらに、戸籍を取り寄せる自治体が遠方にある場合、郵送での請求が可能ですが、その際には申請書類の記入漏れや必要書類の不備に注意が必要です。不備があると、取り寄せに時間がかかり、相続手続き全体のスケジュールが遅れてしまう可能性があります。

相続人調査をスムーズに進めるためのアドバイス

相続人調査をスムーズに進めるためには、まず被相続人の生前の情報を整理することが大切です。被相続人の生まれた年、婚姻した年、転籍した年など、重要なイベントの時期を把握しておくことで、戸籍を効率的に収集することができます。また、相続人が複数いる場合や、相続人の中に行方不明者がいる場合は、さらに調査が複雑になるため、専門家のアドバイスを受けることが望ましいでしょう。

相続人調査は、相続手続きの中で最も重要なステップの一つです。除籍謄本の収集をしっかりと行い、全ての相続人を正確に特定することで、後々のトラブルを未然に防ぐことができます。特に、相続人の中に疎遠になっている親族がいる場合や、過去の戸籍の情報が不明確な場合には、調査が困難になることもあります。そのような場合には、専門家に依頼することで、スムーズに手続きを進めることができます。

まとめ

相続人調査は、相続手続きを円滑に進めるための基盤です。被相続人の出生から死亡までの除籍謄本を集めることで、相続人を正確に特定し、相続財産の分割を円満に進めることが可能となります。相続手続きは、法的な知識や書類の収集に時間がかかることが多いため、早めに準備を始めることが重要です。

もし、戸籍の収集や相続人調査に不安がある場合は、お近くの行政書士に相談することをお勧めします。専門家のサポートを受けることで、相続手続きがスムーズに進み、安心して相続を完了させることができるでしょう。

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