父に隠し子がいたことを父が亡くなった後に知った場合の相続手続きについて

父に隠し子がいたことを、父が亡くなった後に気が付いた時に相続手続きはどのようになるのでしょうか。

ここでは、被相続人である父と相続人である長男と隠し子の二人がいるケースとします。ちなみに父は生前に隠し子と交流はなく、長男は父の死後に戸籍を取得して隠し子の存在を知りました。そして隠し子は父の死を知りません。

父の遺産相続は、隠し子に連絡しないと相続手続きを進めることはできないのでしょうか。

それについては、父が生前手続きをどのようにしていたかで変わってきます。3つのケースを見ていきます。

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➀ 遺言を書いていない場合

遺言がない場合には、相続人全員で遺産分割協議を経なくてはなりません。長男は隠し子に父の死を知らせて遺産分割協議をしなくてはならず、勝手に財産を処分することができません。

② 自筆証書遺言を残していた場合

自筆証書遺言は、家庭裁判所の検認が必要となりますので父の死を隠し子に知らせる必要があります。ということは、検認手続き後1年間は遺留分減殺請求される可能性があります。

③ 公正証書遺言を残していた場合

公正証書遺言は検認が不要ですので、父の死を隠し子に知らさずに相続手続きを進めることができます。また遺留分減殺請求権は、父の死から10年を経過すると権利が消滅するので、隠し子が父の死を10年間知る事がなければ長男は遺留分減殺請求されることがなくなります。

よって、長男に全財産を相続されたいのであれば公正証書遺言を作成しておいた方がよいと言えます。

(ただし公正証書遺言があっても隠し子が父の死を知れば遺留分減殺請求する可能性は残されています)

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