解体工事業の登録と建設業許可との違いは、どこで判断すればよいのか

解体工事業は、建物や構築物を取り壊すための工事を指します。日本では、解体工事を行う事業者に対して、建設工事に関する資材の再資源化などに関する法律(通称「建設リサイクル法」)に基づき、特定の登録や許可が求められます。しかし、解体工事業の登録と建設業許可には明確な違いがあります。この記事では、その違いについて詳しく解説し、どのように判断すればよいのかを探ります。

解体工事業の登録と建設業許可の違い

解体工事業と建設業許可の違いは、主に以下のポイントで判断されます。

  1. 請負金額による違い
  2. 登録と許可の取得方法
  3. 業種の変更について
1. 請負金額による違い

解体工事業の登録と建設業許可の大きな違いは、工事の請負金額によって決まります。

  • 請負金額が500万円以下の場合: この場合は、解体工事業の「登録」だけで業務を行うことができます。登録は比較的簡単な手続きで、都道府県知事への申請によって行います。登録を受けることで、解体工事業を営むための基本的な要件が満たされます。
  • 請負金額が500万円以上の場合: この場合は、建設業法に基づく「建設業許可」が必要です。建設業許可は、業種によって細かく分類されており、解体工事業の場合は「解体工事業」としての許可を取得しなければなりません。建設業許可を得るためには、より厳格な審査が行われるため、要件を満たす必要があります。
2. 登録と許可の取得方法
  • 解体工事業の登録: 解体工事業の登録は、都道府県知事に対して申請します。登録の申請には、事業者の基本情報や適切な管理体制、技術者の資格などが必要です。登録手続きは、建設業許可に比べて比較的簡便であり、手続きも迅速に行われる傾向があります。
  • 建設業許可の取得: 建設業許可は、国土交通省または都道府県知事に対して申請します。許可を取得するためには、事業者の財務状況、技術者の資格、実績、業務管理体制など、より詳細な情報を提供しなければなりません。建設業許可は、解体工事業に限らず、幅広い業種に適用されるため、審査も厳格です。
3. 業種の変更について
  • 令和3年3月以降の規定: 以前は、「とび・土木工事業」の業種で解体工事を行うことができましたが、令和3年3月からは、「解体工事業」という独立した業種が新設されました。現在では、解体工事を行うには「解体工事業」としての建設業許可を取得しなければなりません。これは、解体工事に特有の技術や管理が求められるためです。

実務における判断基準

解体工事業を営むにあたって、どの登録または許可が必要かは、以下の点で判断します。

  1. 請負金額の確認: 請負金額が500万円以下か500万円以上かを確認します。500万円以下であれば解体工事業の登録のみで済みますが、500万円以上の場合は建設業許可が必要です。
  2. 業務の規模と内容: 解体工事業の規模や内容に応じて、適切な登録または許可を取得することが求められます。業務が大規模であったり、多数の工事を行う場合は、建設業許可を取得することで、より広範囲な業務をカバーすることができます。
  3. 法改正や規制の確認: 法令や規制の改正に伴い、登録や許可の要件が変更されることがあります。最新の情報を常に確認し、適切な手続きを行うことが重要です。

結論

解体工事業の登録と建設業許可には、請負金額や業務内容に応じた違いがあります。500万円以下の請負金額であれば、解体工事業の登録が必要ですが、500万円以上であれば建設業許可が必要となります。また、令和3年3月からは解体工事業専用の業種が新設され、適切な許可が求められます。これらの違いを理解し、適切な手続きを行うことで、円滑な業務運営が可能となります。

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