遺産の評価額を算定する基準時はいつなのか、またその留意点について

遺産の評価額を算定する基準となる時は、分割時に現存する対象財産を各相続人の具体的相続分に応じて分配する性格上、分割時を基準とします。

したがって、遺産を現物分割して法定相続分による過不足を代償金で調整する必要が生じたような場合、相続人の一部が一度全遺産を取得して他の相続人へ代償金を支払うようになるので、当然に遺産の分割時の評価が必要となります。

加えて特別受益・寄与分が問題となる事案では、相続開始時の評価額に基づき具体的な相続分の計算をすることになるので、相続開始時の評価も求められることになります(遺産分割時と相続開始時の2つの時点での評価が必要。ただし当事者全員が相続開始時の評価と遺産分割時の評価が同一との合意があれば、1つの時点の評価額の合意があれば足りるとされています)。

ただし、評価においても合意の見込みを探ることになりますから、まずは評価額の合意の基礎となる資料を準備する必要があります。

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