近年、日本の労働市場における外国人労働者の重要性が増しており、そのための制度も充実してきています。その中でも「特定技能外国人」は、特定の産業分野での技能を持つ外国人労働者として、日本での労働を支援する重要な在留資格です。この記事では、特定技能外国人の概要と、彼らを支援するための「登録支援機関」について詳しく解説します。
1. 特定技能外国人とは
特定技能制度は、外国人が日本で一定の技能を持って働くことを可能にするために設けられた在留資格の制度です。特定技能には、1号と2号の二種類が存在します。
1.1 特定技能1号
特定技能1号は、以下の12分野において相当程度の知識や経験を必要とする業務に従事する外国人のための在留資格です。これらの分野での専門的な技能を持つ外国人が対象となります。
- 介護
- ビルクリーニング業
- 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業
- 建設業
- 造船・船用工業
- 自動車整備業
- 航空
- 宿泊業
- 農業
- 漁業
- 飲食料品製造業
- 外食業
特定技能1号の外国人は、一定の技能試験や日本語能力試験に合格しなければなりません。日本での勤務期間は最長5年であり、家族の帯同は認められていません。
1.2 特定技能2号
特定技能2号は、特定技能1号よりもさらに高度な技能を必要とする業務に従事する外国人のための在留資格です。特定技能2号は以下の2分野に限定されます。
- 建設業
- 造船・船用工業
特定技能2号は、より長期間の在留が可能であり、家族の帯同も認められています。また、特定技能2号に該当する外国人は、技能検定に合格する必要があります。
2. 登録支援機関について
特定技能外国人の受け入れにおいて、特定技能所属機関(雇用する企業など)が自ら支援体制を整えられない場合、外部の支援機関に支援業務を委託することができます。この外部機関が「登録支援機関」と呼ばれます。登録支援機関は、特定技能外国人の職業生活や日常生活の支援を行う役割を担っています。
2.1 登録支援機関の役割
登録支援機関は、以下のような支援を行います。
- 住居の手配:特定技能外国人が住むための住宅の確保や、入居手続きのサポート。
- 生活支援:日本での生活に必要な情報提供や、日本語の習得支援。
- 職場環境の整備:職場での問題解決や、労働条件に関するアドバイス。
- 法令遵守のサポート:労働法やビザ関連の法令遵守についての助言。
登録支援機関は、特定技能所属機関からの委託を受け、特定技能外国人が日本での生活をスムーズに送るためのサポートを行います。
2.2 登録支援機関の登録要件
登録支援機関として登録されるためには、以下の条件を満たす必要があります。
- 適切な機関であること:支援機関自体が適切に機能することが求められます。
- 支援体制の整備:外国人支援の体制が整っていることが必要です。以下の要件が求められます。
- 支援責任者および担当者の選任:支援責任者と1名以上の支援担当者を選任していること。
- 実績の証明:過去2年以内に中長期在留者の受け入れ実績があること、または外国人に関する相談業務の経験があること。
- 行方不明者の発生がないこと:1年以内に特定技能外国人または技能実習生の行方不明者を発生させていないこと。
- 支援費用の取り扱い:支援費用を外国人本人に負担させないこと。
- 法令遵守:過去5年以内に出入国または労働に関する法令違反をしていないこと。
2.3 登録支援機関の登録手続き
登録支援機関として登録するためには、必要な書類を整え、所定の手続きを経て登録申請を行います。登録に関して不明点がある場合には、専門の行政書士に相談することが推奨されます。
3. 登録支援機関の役割と重要性
登録支援機関は、特定技能外国人が日本で円滑に生活し、労働できる環境を整えるために非常に重要な役割を果たしています。彼らの支援により、外国人労働者が日本の社会に適応し、企業の期待に応えることが可能になります。また、登録支援機関の適切な支援が、特定技能外国人の労働環境の向上や、企業の人材確保にも寄与します。
4. まとめ
特定技能外国人制度は、日本の労働市場における外国人の受け入れを促進し、必要な人材を確保するための重要な制度です。この制度を支えるために、登録支援機関が果たす役割は非常に大きく、適切な支援が求められます。登録支援機関としての登録には厳格な要件があり、これを満たすことで初めて外国人労働者への支援が行えるようになります。特定技能外国人を受け入れる企業や団体は、登録支援機関との連携を深め、外国人労働者の生活と仕事のサポートを適切に行うことが求められます。