ドローン飛行許可申請の基準とは?審査ポイントをわかりやすく解説

最近では、空撮や測量、点検、農業など、さまざまな分野で活躍の場を広げているドローン。趣味として楽しむ方もいれば、業務で本格的に使用するケースも増えています。
しかし、一定の条件下でドローンを飛行させるには、国土交通省の飛行許可・承認が必要です。

本記事では、江東区及び那覇市の方へ向けてドローン飛行許可の取得にあたり審査される3つの視点を中心に、許可取得の具体的な基準について、行政書士の視点からわかりやすく解説します。


目次

1.ドローンの飛行に許可が必要となるケースとは?

まず大前提として、以下のような状況でドローンを飛行させる場合には、国土交通省への許可または承認が必要です。

  • 人口集中地区(DID)で飛行する場合
  • 夜間に飛行させる場合
  • 目視外飛行を行う場合(操縦者が直接見えない位置で飛ばす)
  • 人や物から30m未満の距離で飛行させる場合
  • イベント上空で飛行させる場合
  • 危険物輸送や物件投下を行う場合

上記に該当する飛行を行う場合は、事前に許可・承認申請を行い、許可を受ける必要があります


2.許可取得の審査基準は3つの視点で判断される

飛行許可の審査では、以下の3つの観点から総合的に審査されます

機体の性能・機能

使用するドローンの機能や安全性が審査されます。

特に、以下のような機能が備わっているかが重要です

  • GPSによる位置制御
  • フェールセーフ機能(通信が途絶えたとき自動帰還または着陸)
  • ホバリング安定性
  • 高度制限・飛行制限の設定

【審査がスムーズになる“ホームページ掲載機”とは?】

中国のドローン大手メーカー「DJI」の機体は、国土交通省が定める「資料の一部を省略できる無人航空機(通称:ホームページ掲載機)」に該当するものが多く、機体の性能に関する詳細な資料の提出が不要になる場合があります。

国交省ホームページでは、ホームページ掲載機のリストが定期的に更新されていますので、申請前には以下をチェックしましょう。

  • 使用する機体がリストに載っているか
  • 型番が正確に一致しているか
  • 機能・仕様が変更されていないか

特に新しく購入したドローンや新機種を使用する場合は、リストに掲載されているかを確認することが重要です。


操縦者の知識・技能・飛行経験

飛行許可を得るには、操縦者に以下のような知識と技能が求められます。

【必要な知識の一例】

  • 航空法に関する知識
  • ドローンの構造、安全管理に関する理解
  • 飛行空域や気象条件に関する知識
  • 緊急時の対応方法

【必要な技能・経験の一例】

  • 安定した離着陸ができる
  • GPSやジャイロを使った飛行ができる
  • 緊急時のマニュアル操作ができる
  • 10時間以上の飛行実績がある(※目安)

特に、許可申請時には操縦経験を証明する飛行ログ飛行訓練の記録書類を提出することになります。フライトログアプリやノートなどで、定期的に飛行記録をつけておくことが重要です。


安全を確保する体制・運用ルール

最後に、ドローンの飛行中に万が一の事故が起きないよう、安全管理体制が整備されているかどうかも重要な審査ポイントです。

【具体的なチェックポイント】

  • 飛行前点検やバッテリーチェックを行うマニュアルがあるか
  • フライトごとに気象・空域のチェックを行っているか
  • 補助者を配置して安全な周囲確認ができる体制か
  • 緊急時の手順書や避難誘導計画があるか
  • 保険(賠償責任保険)への加入状況

個人事業主や小規模事業者の方であっても、安全管理マニュアルの整備は必須です。国交省が公開している「標準マニュアル」をベースに、自社の業務や使用目的に応じてカスタマイズすることが望ましいです。


3.許可申請の方法は?個別申請と包括申請

ドローンの飛行許可には主に以下の2つの方法があります。

個別申請

  • 飛行日時、場所、内容が明確な場合
  • イベント撮影やスポット業務に対応

包括申請

  • 年間を通じて複数回飛行させる業者向け
  • 対象エリアや条件をある程度網羅的にカバー

業務で定期的にドローンを使用する方や空撮事業者などには包括申請がおすすめですが、より厳密な安全体制が求められます。


まとめ 許可取得には準備と記録がカギ

ドローン飛行許可を取得するためには、ドローン本体の性能、操縦者の技術、安全対策の体制という3つの柱を意識して準備を進めることが重要です。

特に、江東区や那覇市のような人口集中地区で飛行を検討している場合には、早めの準備と申請スケジュールの確保が重要です。

チェックポイント一覧:

  • 機体はホームページ掲載機か?
  • 飛行経験10時間以上を証明できるか?
  • 飛行マニュアルや点検体制があるか?
  • 飛行ログを日々記録しているか?
  • 賠償責任保険に加入しているか?

許可取得は決して難しすぎるものではありませんが、申請書類の不備や記録不足による不許可も少なくないのが現実です。


今後、ドローン活用がますます広がっていく中で、安全に、そして法令に基づいて正しく運用することがますます求められます。
行政書士として、申請サポートや運用マニュアルの整備のお手伝いも行っていますので、必要な方は適切な専門家にご相談ください。

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