ドローン飛行許可に必要な「安全体制」とは?飛行マニュアルの内容とその役割

近年、空撮や測量、点検業務など多様な分野で活躍の場を広げているドローン(無人航空機)。東京都江東区や沖縄県那覇市でも、都市部での空撮や観光地での映像制作などを目的に、ドローンを導入する事業者や個人が増えてきました。

しかし、ドローンを飛ばすには、単に機体を手に入れるだけでは不十分です。国土交通省への「飛行許可申請」が必要となるケースが多く、その際には「安全確保の体制」が極めて重要な要素として問われます。

この記事では、特に「飛行マニュアル」を中心に、安全体制の内容やその考え方について、行政書士の視点から詳しく解説していきます。


目次

そもそも飛行マニュアルとは?

ドローンの飛行許可・承認申請を行う際には、「どのような体制で安全を確保するか」を明記した文書、つまり「飛行マニュアル」を提出する必要があります。

このマニュアルには、例えば次のような事項を記載します。

  • 飛行前の点検方法
  • 飛行後の点検手順
  • 異常が発生した際の対応方法
  • 操縦者の資格・技量の確保方法
  • 補助者の配置・役割
  • 離着陸場所の安全確保策
  • 気象条件の確認方法
  • 目視外飛行・夜間飛行時の注意点

要するに、「安全な飛行のために何をどう準備し、何をどう実施するのか」を記したマニュアルであり、ドローン運用の“ルールブック”です。


飛行許可後もマニュアル遵守が義務

飛行許可を得たからといって、それで終わりではありません。許可取得後の運用においても、申請時に提出した飛行マニュアルを遵守することが義務となります。

違反すれば、許可の取り消しや、将来的な申請に影響が出る可能性もあります。安全体制は「書類上の建前」ではなく、日常運用に組み込むべきルールとして定着させる必要があります。


自分で作るのは難しい?標準マニュアルという選択肢

「安全体制なんて言われても、何をどう書けばいいかわからない…」
多くの方がそう感じると思います。

そこで、国土交通省が用意しているのが、「航空局標準マニュアル」です。これは、基本的な飛行ルールや点検手順、安全措置などを包括的にまとめたマニュアルであり、そのまま使える“ひな型”として利用可能です。

航空局標準マニュアルの特徴

  • 申請書に「標準マニュアルに従う」と記載するだけで提出可
  • 個別のマニュアル作成が不要(内容変更不要な場合)
  • 主に目視内・昼間飛行を対象とした内容構成

実際、多くの申請者がこの標準マニュアルを使用しています。特に初めて申請する方にとっては、非常に心強い存在です。


ただし、標準マニュアルで対応できない場合も

例えば以下のような飛行を行う場合、標準マニュアルの内容だけでは不十分なことがあります。

  • 夜間の飛行
  • 目視外での飛行
  • 人や建物が密集する市街地上空の飛行
  • 単独での飛行(補助者なし)

こうした場合には、標準マニュアルの内容をカスタマイズして、安全対策を補強する必要があります。つまり、飛行内容に応じた個別マニュアルの作成が求められます。


カスタマイズマニュアル作成のポイント

独自マニュアルを作成する場合、以下のような点に留意する必要があります。

  • 飛行環境に特化したリスク分析
    (例:江東区の高層ビル周辺、那覇市の観光エリアなど)
  • 具体的な安全措置の明示
    (例:夜間に照明機材を使う、安全帯の確保、第三者立入禁止措置など)
  • 飛行ルートや操作方法の可視化
    (図表やチェックリストの活用が効果的)

行政書士などの専門家に依頼すれば、こうしたマニュアルの作成もスムーズに行えます。


実務上の注意点:点検記録と運用実績の保管

飛行マニュアルは「運用中の実施記録」とセットで活用されるべきです。

  • 日々の飛行前・後の点検記録
  • 気象確認結果
  • 補助者の配置状況
  • 使用機体・バッテリーの整備記録

これらの記録は、事故時の証拠や再申請時の信頼性に直結します。ドローン運用者は、飛行マニュアルを“運用日誌”として機能させる意識を持つことが大切です。


江東区・那覇市における地域特性と安全対策

地域によって、安全体制に必要な配慮も異なります。

東京都江東区

  • 高層建物が密集し、電波干渉や強風リスクが高い
  • 観光地・公園・イベント会場など第三者の多い場所が多い
    → 運用時の補助者配置や飛行ルート制御が重要

沖縄県那覇市

  • 観光名所や空港が近くにあり、飛行禁止区域と隣接しやすい
  • 海風の影響を受けやすく、急変する天候への対策が必要
    → 天候確認の徹底と飛行中止判断の基準明記が不可欠

まとめ ドローン申請の“肝”は安全体制にあり

ドローンの飛行許可申請において、最も重要視されるのが「安全をどう確保するか」という点です。そしてその中心となるのが、今回紹介した飛行マニュアルです。

特に申請初期の段階では、標準マニュアルの活用+しっかりとした運用体制の理解が成功のカギとなります。運用を重ねてきた後は、個別マニュアルへの移行を検討するのも一つの選択肢です。

江東区・那覇市にお住まいの方で、ドローンの運用を検討されている方は、ぜひ飛行マニュアルの整備と安全体制の確立を第一歩にしてみてください。

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