高度専門職ビザとはなにか。また高度専門職1号ビザとは、その取得要件とメリットについて

高度専門職ビザは、日本の経済や社会の発展に寄与する高度な知識、技術、能力を持つ外国人材を受け入れるための特別な就労ビザです。このビザは、一般的な就労ビザよりも活動範囲が広く、永住権の申請においても優遇措置がある点で注目されています。

日本は、少子高齢化や労働力不足という課題に直面しており、これに対処するために国際競争力を高める必要があります。そのため、外国人の高度人材を積極的に受け入れる政策を進めており、高度専門職ビザはその象徴的な制度の一つです。

高度専門職1号ビザとは

高度専門職ビザには、1号ビザと2号ビザが存在しますが、1号ビザは特に高度な専門的能力を有する外国人を対象にしており、日本での学術研究や経済発展に寄与することを目的としています。このビザを取得することで、外国人はより自由度の高い活動が許され、日本での滞在が大幅に支援されます。

高度専門職1号ビザは、その活動内容に応じて「イ」「ロ」「ハ」の3つに分類されます。

  • :高度な学術研究活動(該当する就労ビザ:「教授」「研究」「教育」)
  • :高度な専門・技術活動(該当する就労ビザ:「技術・人文知識・国際業務」「企業内転勤」「法律・会計業務」)
  • :高度な経営・管理活動(該当する就労ビザ:「経営・管理」)

これにより、各専門分野での活動が明確に定義され、それぞれの活動に応じたビザが付与されます。

高度専門職1号ビザの取得要件

高度専門職1号ビザを取得するためには、以下の要件を満たす必要があります。

  1. ポイント計算表の点数:申請者は、70点以上のポイントを獲得する必要があります。ポイントは学歴、職歴、年収、年齢、研究実績などによって計算されます。特に、「ロ」「ハ」の活動を行う場合は、年収が300万円以上であることも必要です。
  2. 活動の適合性:申請者が日本で行おうとしている活動が、法令に定められた基準に適合している必要があります。例えば、「教授」「芸術」「宗教」「報道」などの活動がこれに該当します。
  3. 活動の妥当性:申請者が日本で行おうとする活動が、日本の社会にとって妥当であることが求められます。活動が不適切と判断される場合、ビザの取得は難しくなります。

高度専門職1号ビザの取得メリット

高度専門職1号ビザには、以下のような多くのメリットがあります。

  1. 複合的な活動の許可:複数の活動を同時に行うことが可能であり、例えば学術研究と経営活動を並行して行うことが許されます。これにより、幅広い分野での活動が可能となります。
  2. 在留期間5年の付与:初回の在留期間として5年が付与されるため、長期間にわたって日本で活動することが可能です。
  3. 永住許可要件の緩和:一般の外国人が永住権を取得するためには、通常10年の在留期間が必要ですが、高度専門職ビザ保持者は、70点以上であれば3年、80点以上であれば1年の在留期間で永住権を申請することが可能です。
  4. 配偶者の就労機会:配偶者が日本で就労するためのビザ取得が容易になり、家庭全体での日本での生活が支援されます。
  5. 親の帯同が可能:申請者の親を日本に帯同させることが可能であり、これにより家族全体での日本での生活が容易になります。ただし、この措置には一定の要件が必要です。
  6. 家事使用人の帯同が可能:申請者の家庭内でのサポートを行うために、家事使用人を帯同させることができます。この点も、特に富裕層の外国人にとっては大きなメリットです。ただし、これにも一定の要件があります。
  7. 入国・在留手続きの優先化:高度専門職ビザを持つ外国人は、入国時や在留手続きの際に優先的に処理されます。これにより、煩雑な手続きが迅速に行われ、日本での活動がスムーズに進められます。

永住許可要件の緩和について

高度専門職ビザの最大のメリットの一つとして、永住権取得における要件の大幅な緩和が挙げられます。一般的に、外国人が永住権を取得するためには10年の在留期間が求められますが、高度専門職ビザ保持者はポイント計算で70点以上を獲得している場合、3年で永住権を申請することが可能です。さらに、80点以上の場合は、たったの1年で永住権を申請できるため、非常に迅速に永住権を取得することができます。

これは、日本における高度な専門知識や技術を持つ外国人に対する優遇措置として、他国に比べても非常に競争力のある制度となっています。

「技人国ビザ」の「国際業務」と高度専門職ビザの違い

注意すべき点として、「技術・人文知識・国際業務ビザ」(通称「技人国ビザ」)の「国際業務」に該当する職種では、高度専門職ビザへの変更ができない点があります。具体的には、通訳や翻訳、語学教師、デザイナーなどの業務は、外国の文化に基盤を持つ思考や感受性を必要とするため、ポイント計算の対象外とされています。従って、これらの業務を行う外国人は、高度専門職ビザの取得が難しいという現実があります。

まとめ

高度専門職ビザは、日本の経済や社会の発展に貢献する高度な知識、技術、能力を持つ外国人材を受け入れるための重要なビザ制度です。その中でも、高度専門職1号ビザは、幅広い活動を許可し、多くの優遇措置を提供するため、外国人にとって非常に魅力的なビザとなっています。

しかし、その取得には厳格な要件が求められ、特にポイント計算による評価が重要です。また、「技人国ビザ」の「国際業務」からの変更ができない点にも注意が必要です。日本で高度な専門的活動を行いたい外国人にとって、高度専門職ビザは大きな可能性を秘めたビザであり、しっかりとした準備と理解が必要です。

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