車検切れ車両だと自動車税納付書が届かない?その理由と一時抹消の方法について

車を所有している方の中には、長期間車検が切れたまま車を放置しているケースも少なくありません。こうした車両にも自動車税は引き続き課税されるため、所有者としては適切な対応が求められます。しかし、車検切れ車両に自動車税の納付書が届かないことがあり、このことがトラブルを引き起こす可能性があります。この記事では、自動車税の納付書が届かない理由や、未納によるリスク、そして車検切れ車両に対する一時抹消登録の方法について詳しく解説します。

車検切れ車両に自動車税納付書が届かない理由

通常、自動車税の納付書は毎年5月上旬に発送されます。しかし、車検が切れているにもかかわらず、納付書が届かないことがあります。この理由にはいくつかの要因が考えられますが、代表的なものは以下の通りです。

1. 自動車税課税保留制度の適用

一つ目の理由として、「自動車税課税保留制度」が挙げられます。この制度は、車検が切れている車に対して一時的に自動車税の課税が保留される仕組みです。自動車税は、原則として4月1日時点で車を所有している者に課税されますが、年度末(3月末)までに車検が切れ、そのまま車が使用されていない場合、都道府県が「使用されていない」と判断することで課税が一時的に保留されることがあります。

ただし、この「保留」はあくまでも一時的なものであり、免除ではありません。つまり、車検を再度通した場合、保留分を含めて過去の未納税額もまとめて支払う必要があります。車検切れが長期間続いている場合、最大で3年分の税金と当年度分を支払う必要があるため注意が必要です。

また、自動車税課税保留制度は都道府県によって対応が異なります。制度が適用されるかどうか、また納付書が届かない理由については、都道府県の県税事務所や自動車税事務所に確認することをお勧めします。

2. 車検証の住所変更が済んでいない

次に考えられる理由として、車検証の住所変更が正しく行われていないケースがあります。たとえば、引っ越しをしたにもかかわらず、車検証の住所が旧住所のままになっている場合、新しい住所に自動車税の納付書が届かなくなります。

特に、知人から車を譲り受けたり、オークションで購入した場合など、前の所有者が住所変更手続きを行っていないことが原因で、納付書が届かないことがあります。この場合、所有者としての手続きを速やかに進めることが必要です。住所変更の手続きは、普通車であれば運輸支局(陸運局)、軽自動車の場合は軽自動車検査協会で行うことができます。

自動車税未納・滞納による罰則

車検切れの車に対する自動車税の支払いは、車の使用状況にかかわらず義務付けられています。そのため、納付書が届かないからといって、支払いを怠ってしまうとさまざまなリスクが伴います。未納や滞納が続くと、以下のような罰則が科される可能性があります。

1. 延滞金の発生

自動車税を期限内に納付しない場合、延滞金が発生します。延滞金は滞納期間に応じて加算されていくため、支払いを長引かせると最終的に高額な負担となります。特に数年分の税金を滞納している場合、延滞金が大きく膨らむことがあるため、注意が必要です。

2. 財産の差し押さえ

自動車税の滞納が長期間続くと、最終的には財産が差し押さえられるリスクもあります。差し押さえの対象となるのは、車両そのものに限らず、銀行口座や給与なども含まれることがあり、非常に深刻な事態となります。

3. 脱税としての処罰

自動車税の未納が意図的に行われた場合、脱税とみなされることがあります。脱税が認定されると、5年以下の懲役または100万円以下の罰金、またはその両方が科される可能性があります。車検が切れているからといって安心せず、納税義務を果たすことが重要です。

車検切れ車両の一時抹消登録の方法

車検が切れた車を長期間放置している場合、税金の支払いを避けるためには、速やかに抹消登録を行うことが推奨されます。抹消登録には「永久抹消登録」と「一時抹消登録」の2種類がありますが、車を将来的に再度使用する可能性がある場合は、一時抹消登録を行うのが一般的です。

1. 一時抹消登録のメリット

一時抹消登録を行うことで、その車は法的に「使用されていない」状態となり、自動車税の課税対象から外れます。車検切れの状態であっても、抹消登録を行うことでその後の税金の支払いが不要になるため、放置している車両に対して無駄な税金を支払うリスクを回避できます。

また、抹消登録を行うと、既に支払った自動車税の還付を受けることができます。自動車税は通常1年分を一括で支払う仕組みとなっているため、年度内に抹消登録を行った場合、抹消した月の翌月から年度末までの期間に相当する税金が還付されます。例えば、1月に抹消登録を行うと、翌月である2月と3月の2ヶ月分が還付されることになります。

2. 一時抹消登録の手続き方法

一時抹消登録は、車検証やナンバープレートに記載されている「使用の本拠」を管轄する運輸支局で手続きを行います。具体的な手続きには以下の書類が必要です。

  • 車検証
  • ナンバープレート
  • 身分証明書
  • 抹消登録申請書
  • 手数料納付書

手続きの詳細は、国土交通省の公式ウェブサイトで確認することができます。手続きが完了すると、車は正式に抹消登録され、以降の自動車税は課されません。ただし、前年度分や未納分の自動車税が免除されるわけではないため、未納の税金がある場合は必ず納付する必要があります。

まとめ

車検切れの車を所有している場合、自動車税の納付書が届かないことがありますが、それが課税の免除を意味しているわけではありません。自動車税課税保留制度の適用や住所変更手続きの不備などが原因で納付書が届かない場合もありますが、いずれにせよ、車両を所有している限り税金の支払い義務は免れません。

未納や滞納が続くと、延滞金や財産差し押さえ、さらには脱税として処罰されるリスクがあるため、適切な対応が求められます。車検が切れた車を長期間使用しない場合は、一時抹消登録を行い、税金の負担を回避することが賢明です。

一時抹消登録を行うことで、過払い分の自動車税が還付されることもありますので、速やかに手続きを進めましょう。

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