建設業許可取得後、入札に参加するには?入札参加資格審査申請までの流れと準備

公共工事の受注を目指すにあたって、「建設業許可」は基本中の基本ですが、それだけでは入札に参加することはできません。実際に入札の場に立つためには、「入札参加資格審査申請」を行い、自治体や国などの発注機関に登録される必要があります。

この記事では、入札参加資格審査申請の基本的な流れと注意点について、実務的な視点から詳しく解説いたします。特に初めて申請を考えている事業者様や、今後のスケジュールを組み立てたい方にとって参考になる情報をまとめました。


目次

1. 入札参加資格審査とは?

「入札参加資格審査(にゅうさつさんかしかくしんさ)」とは、発注機関(国、都道府県、市区町村など)が、公共工事の発注にあたって、受注者として適切な業者かどうかを判断するための事前審査です。

この審査に合格して登録されることで、はじめてその発注機関の入札に参加することが可能になります。したがって、建設業許可を取得しただけでは不十分で、公共工事を受注したいのであれば、入札参加資格審査申請が不可欠です。


2. 審査の有効期間と申請時期

有効期間は「年度単位」が基本

入札参加資格の有効期間は、原則として「年度単位」で設定されており、多くの場合、4月1日から3月31日までの期間が1年度とされます。

具体的な更新周期は発注機関ごとに異なりますが、以下が一般的です。

  • 国の機関:2年ごと
  • 都道府県・政令市:1〜2年ごと
  • 市区町村・一部事務組合等:1〜3年ごと

申請は登録開始の「半年前〜2ヶ月前」が目安

新たな登録開始日(4月1日)に間に合わせるには、おおよそ6ヶ月〜2ヶ月前に申請を行う必要があります。逆算して準備スケジュールを組むことが重要です。

例:2026年度から参加したい場合(開始日:2026年4月1日)
→ 申請時期:2025年10月〜2026年1月頃


3. 申請時の注意点:自治体ごとに違うルール

ここで注意すべきなのは、申請方法や必要書類、受付期間は自治体や発注機関ごとに異なるという点です。たとえば、東京都と那覇市では提出先や受付時期、書類の様式が異なることがあります。

一部の大手自治体(東京都、沖縄県など)は電子申請に対応していますが、多くの市区町村では紙による郵送や持参が必要です。

対応のポイント

  • 対象自治体をリストアップする
    • 受注を目指す市区町村、都道府県、国機関を洗い出します。
  • 各自治体の公表情報を確認
    • ホームページや公告文などで「受付期間」や「必要書類」を確認します。
  • 早めの事前準備
    • 一部書類(経審の結果通知書など)の取得には時間がかかるため、余裕を持って取り組みましょう。

4. 入札参加資格審査に必要な「経審」とは?

入札参加資格審査の重要な添付書類のひとつに、「経営事項審査(経審)」の結果通知書があります。正式名称は、「経営規模等評価結果通知書」および「総合評定値通知書」ですが、実務上は「経審の結果通知書」と呼ばれています。

この経審の評価が、入札における格付けや参加の可否に直結するため、非常に重要です。


5. 経審を受けるための流れと準備

経審は、建設業許可を持つ企業が受審できる制度で、主に次のような手順で進めます。

決算を確定させる

毎年の事業年度が終了したら、まずは決算処理を行い、確定申告を済ませる必要があります。

建設業許可の「決算変更届」を提出する

決算が確定した後、建設業許可を管轄する行政庁(東京都や沖縄県など)へ「決算変更届」を提出します。

この届出は、許可を更新するためだけでなく、経審を受ける前提条件にもなります。

経審を受ける

指定の評価項目に基づいて、企業の経営状況、技術者の数、過去の実績などを数値化し、総合的な評定値(P点)が与えられます。

経審結果通知書が届く

審査後、**「経営規模等評価結果通知書」と「総合評定値通知書」**が交付されます。これを入札参加資格審査の際に添付します。


6. 全体のスケジュール感(標準モデル)

経審の結果通知書を手元に用意するまでには、決算からおおよそ6〜7ヶ月かかると見込まれます。

以下は標準的な流れです。

時期作業内容
3月末決算終了(例:3月決算の場合)
4〜5月決算確定 → 税務申告 → 決算変更届提出
6〜7月経審申請
8〜9月経審結果通知書が到着
10月〜翌年1月入札参加資格審査の申請期間(自治体による)
翌年4月登録開始、入札参加が可能に

7. 実務上のアドバイス

  • 複数の自治体に登録する場合は、個別対応が必須
    • 一括して申請できるわけではなく、自治体ごとに申請が必要です。
  • 経審に不慣れな場合は専門家に相談を
    • 評価項目が複雑なため、行政書士や建設業専門のコンサルタントに依頼することでミスを減らせます。
  • 提出後の修正依頼に備える
    • 入札参加資格申請は書類不備があると差戻しになるため、予備日を確保しておくと安心です。

まとめ

入札参加資格審査申請は、公共工事を受注するための第一歩です。ただし、手続きは単純ではなく、決算・決算変更届・経審・申請書類の準備と、段階的に整える必要があります。

特に東京都江東区や沖縄県那覇市では、地域独自の要件がある場合も多いため、早めの情報収集と計画的な準備が欠かせません。公共工事の受注を目指す事業者様は、ぜひ本記事のスケジュールを参考に、余裕を持った準備を進めてください。

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