
1. 「登記されていないことの証明書」とは
建設業許可申請に必要な書類の中で、耳慣れない名称のものに「登記されていないことの証明書」があります。
これは、申請者(法人の場合は役員全員、個人の場合は事業主)が「成年被後見人」や「被保佐人」などに該当しないことを証明するための書類です。
言い換えると、この証明書は「欠格要件に該当しないことの証明書」でもあります。
建設業法では、欠格要件に該当する者は許可を受けられません。その一部を客観的に証明するため、法務局で発行されるのがこの書類です。
2. なぜ必要なのか
建設業許可では、許可を受けようとする者や法人役員が一定の条件を満たしているかを厳しく確認します。
特に「成年被後見人」「被保佐人」とされている場合、意思決定や財産管理を自分で行えない立場にあるため、法律上事業の責任者にはなれません。
「登記されていないことの証明書」は、これらの状態に該当していないことを第三者である法務局が証明するもので、建設業許可申請では必須書類の一つです。
3. どこで取得できるか
この証明書は、全国どこの法務局でも取得できるわけではありません。
地方の出張所や支局では発行しておらず、法務局または地方法務局の本局のみでの発行となります。
3-1. 沖縄県那覇市の場合
沖縄県では、法務局本局が那覇市にあります。那覇地方法務局(本局)に出向けば申請可能です。
離島や北部地域からの場合、郵送申請を利用する方も多く見られます。
3-2. 東京都江東区の場合
東京都の本局は東京法務局(霞が関)です。江東区からも公共交通でアクセスしやすく、多くの事業者が直接窓口で申請しています。
4. 取得対象者
登記されていないことの証明書は、許可申請者本人や法人の役員全員について提出します。
- 法人の場合:取締役、代表取締役、執行役、合名会社や合資会社の業務執行社員など(監査役は不要)
- 個人事業の場合:事業主本人
つまり、法人なら役員一人ひとり分の証明書が必要となり、大人数の役員構成の場合はまとめて請求するケースもあります。
5. 記載される内容
証明書には、「成年被後見人」「被保佐人」に関する登記がなされていない旨が記載されます。
建設業許可申請の審査では、これによって欠格要件の一部をクリアしていることが確認されます。
なお、この証明書には「成年後見制度の利用有無」に関する情報しか載らず、他の欠格要件(破産手続開始決定を受けているかなど)は別途確認されます。
6. 申請に必要なもの
6-1. 本人が申請する場合
- 運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなどの本人確認書類
- 申請書(法務局窓口または公式サイトから入手可能)
- 手数料(1通あたり300円〜400円程度)
6-2. 代理人が申請する場合
- 本人の委任状
- 代理人の本人確認書類
- 上記と同じ申請書および手数料
7. 取得方法
7-1. 窓口申請
法務局本局に直接出向き、申請書を提出します。即日交付されることが多く、那覇や東京では当日受け取りが可能です。
7-2. 郵送申請
遠方の場合は郵送も可能です。法務局の公式サイトから申請書をダウンロードし、本人確認書類の写しや定額小為替を同封して送ります。
郵送の場合は、返信用封筒に切手を貼って同封する必要があります。
8. 実務上の注意点
- 有効期限に注意
建設業許可申請では、証明書の発行日から3か月以内のものが有効とされるのが一般的です。古いものは再取得が必要になります。 - 役員変更時の追加取得
法人で役員に変更があった場合、新役員分の証明書を追加で取得しなければなりません。 - 代理取得は委任状必須
行政書士など代理人がまとめて取得する場合は、全員分の委任状をそろえる必要があります。 - 地方では窓口が限られる
沖縄では那覇以外で即日取得できないため、離島の事業者は日程調整が重要です。
9. 那覇市・江東区での取得体験談(事例)
那覇市の事例
那覇市内の中小建設業者が許可更新のため証明書を取得するケース。役員が4人全員那覇在住だったため、代表者が一括で取得しました。窓口では10分ほどで交付され、スムーズに更新申請が進みました。
江東区の事例
江東区の建設会社で、役員の一人が地方在住だったため、その役員分だけ郵送で取得。他の役員分は代表取締役が霞が関の法務局でまとめて申請し、同日に全員分を揃えられました。
10. まとめ
「登記されていないことの証明書」は、名前こそ馴染みが薄いですが、建設業許可申請において欠格要件をクリアしていることを証明する大切な書類です。
那覇市や江東区のような都市部では窓口取得が容易ですが、離島や地方在住の役員がいる場合は郵送利用も視野に入れ、有効期限と日程管理を徹底することがスムーズな申請につながります。