
親が認知症になり、判断能力が低下すると、相続手続きは通常どおりには進みません。特に東京都江東区や沖縄県那覇市では高齢化が進んでおり、認知症に関する相続相談は年々増えています。本記事では、認知症の親がいる場合、相続手続きに着手するための初期ステップを、専門的な視点から分かりやすく解説します。
1 まず「判断能力の有無」を確認する
相続手続きで最初に行うべきは、親に遺産分割協議に参加できる判断能力が残っているかどうかの確認です。
判断能力があるかどうかは医師による診断が最も確実ですが、以下のような状況の場合は注意が必要です。
・日付や場所の認識が曖昧
・財産の内容や金額の把握ができない
・遺産を誰にどう分けるか、自ら意思表示できない
遺産分割協議は「本人の意思」が必要なため、判断能力が不十分な状態で署名押印した協議書は無効になるおそれがあります。
2 判断能力が十分でない場合の対応
親が認知症で判断能力を喪失している場合、そのままでは遺産分割協議が行えません。この場合の一般的な方法が成年後見制度の利用です。
2-1 成年後見制度が必要となる理由
遺産分割協議は財産に関わる重要な法律行為です。そのため、本人の利益を適切に守る代理人を家庭裁判所が選任する必要があります。
2-2 成年後見制度の種類
・後見
・保佐
・補助
認知症の程度に応じて申立て内容が異なりますが、判断能力を大きく失っている場合は「後見」が選ばれることが多くあります。
申立てから選任まで数か月かかることがあるため、早めの対応が重要です。
3 成年後見人が選任されると何ができるか
成年後見人は、本人の財産管理や法律行為を代わりに行います。相続手続きにおいては、次のような行動が可能になります。
・遺産内容の確認
・他の相続人との遺産分割協議への参加
・遺産分割協議書への署名押印
・銀行・法務局などでの手続き
ただし、成年後見人は「本人の利益を守ること」が第一であり、他の相続人に有利な分割内容には安易に同意できません。公平・妥当な案が必要です。
4 成年後見制度以外にできることはあるか
状況によっては、成年後見制度を使わずに進められるケースもあります。
4-1 判断能力が部分的に残っている場合
意思確認が可能なら、医師の診断書や録音・録画を残したうえで遺産分割協議を行うこともあります。ただし、後日トラブルになる可能性があるため慎重な対応が求められます。
4-2 法定相続分での相続
相続人間で「法定相続分どおりで承認する」という場合、協議の必要がないため比較的簡易に手続きできます。ただし、本人の署名押印が求められるため、判断能力がない場合はやはり成年後見人が必要です。
5 遺産の確認(預貯金・不動産等)
相続手続きの開始にあたり、親の財産内容を正確に把握することが重要です。
東京都江東区や那覇市では、
・区役所、市役所での名寄帳取得
・法務局での不動産登記確認
・金融機関での残高証明書取得
などを組み合わせて財産内容を確認するケースが多くあります。
成年後見人がいない場合、金融機関から情報を得ることが難しいため、やはり早めの制度利用が有効です。
6 遺産分割協議を始める際の注意点
認知症の親がいる場合、協議開始前に以下を確認する必要があります。
- 親の判断能力の有無
- 成年後見制度の申立てが必要か
- 財産内容が明確か
- 他の相続人との連絡体制
- 不動産・預貯金など手続きの優先順位
判断能力が不十分な状態で話を進めると、協議全体が無効となり、手続きがやり直しになることがあります。
7 江東区・那覇市で特に多いトラブル例
地域の相談で多いケースを挙げます。
・親の意思確認を曖昧にしたまま協議書を作成し、後で無効扱いになる
・後見申立てに時間がかかり、相続手続きが長期化する
・不動産が絡むため財産分割が複雑になる
・離れて暮らす相続人との調整が難航する
これらは事前の段取りで大部分を回避できます。
8 まとめ
認知症の親がいる場合の相続手続きは、「判断能力の確認」から始まります。判断能力が不十分であれば、成年後見制度の利用が不可欠です。特に不動産や預貯金が多い場合、適切な代理人の選任が手続きの円滑化につながります。
相続は複雑に感じられますが、正しい手順を踏めば確実に進めることができます。
終活・生前相談、遺言の作成、相続手続きについては行政書士見山事務所へご相談下さい。

