建設業許可を取得していないことで発生するトラブルとは、認識不足では済まされない重大なリスク

建設業者であれば、建設業許可の重要性については広く知られています。建設業法では、1件あたり500万円以上(建築一式工事の場合は1,500万円以上)の工事を請け負う場合、許可を取得することが義務付けられています。しかし、現場では「うちは小規模だから」といった理由で無許可のまま工事を続けてしまい、後になって重大なトラブルに発展する例が少なくありません。

さらに近年では、コンプライアンスの意識が急速に高まり、500万円以下の工事であっても発注者や元請企業の基準として「許可業者に限定」されるケースが増えています。東京都江東区や沖縄県那覇市でも同様の傾向があり、許可を持っているか否かで仕事の受注機会に大きな違いが生まれています。

以下では、建設業許可を取得していないことで発生し得る代表的なトラブルを整理します。

目次

1 請負金額が基準を超えてしまったケース

中小の工務店や設備業者でよく見られる事例です。工事当初は小規模の予定で契約したものの、追加工事が発生して最終的に500万円を超えてしまうケースがあります。契約変更の時点で許可がなければ、追加契約そのものが法令違反となり、発注者から契約解除や支払い拒否を受ける可能性があります。

東京都江東区のように大規模マンションの修繕工事や設備改修が増加している地域では、当初予定より工事額が増えるケースは特に多く、許可の有無が契約管理のリスクに直結します。

2 元請企業から突然「取引停止」を求められるケース

現場では、元請会社が内部監査や取引先調査を実施するタイミングがあります。その際、協力業者の許可状況を確認し、許可を持っていなければ取引停止となる場合があります。

沖縄県那覇市では、大型ホテル改修工事や公共工事に関連する案件でこの傾向が強く、許可のない事業者は入札参加や元請契約から排除されることがあります。特に沖縄県の建設業許可は「土木建築部 技術・建設業課」が所管していますが、確認の厳格化が進んでいるため、許可を取得していないだけで取引先喪失につながる例が増えています。

3 建設業ではない業種が知らぬ間に違法状態になってしまうケース

建設業者以外の会社であっても、業務の一部に建設作業が含まれる場合は許可が必要になります。例えば、産業機械の販売会社が、納品時に設置工事まで請け負う場合です。

会社側は「販売業であり工事業ではない」という認識であっても、法令上は設置作業が建設工事に該当すれば許可が必要です。法律の認識不足によって違法状態が継続してしまう例は後を絶ちません。特に那覇市では工場設備や商業施設の店舗什器の設置業務で同様の相談が増えています。

4 下請代金の不払いにつながるケース

無許可の事業者が工事を実施している場合、発注者が支払いを拒否することがあります。理由は、そもそも法令違反状態で締結された契約については、無効とされる可能性があるためです。

実際に、江東区で設備工事を行った事業者が、あとになって許可がないことを理由に元請から支払いを拒否され、民事トラブルに発展した事例があります。最終的には訴訟に至りましたが、無許可工事であったことが大きな争点となり、事業者側は著しく不利になってしまいました。

5 従業員や協力会社との信用問題に発展するケース

許可がない状態で仕事を続けることは、社内に不安を生じさせる大きな要因となります。特に採用や人材確保の場面で「許可のない会社」というだけで求職者の応募が減り、優秀な技術者が集まりにくくなります。

また近年は企業のコンプライアンス体制が取引先選定の基準になっており、許可の有無はその象徴です。許可がないことで、事業規模の拡大や長期契約を締結するチャンスを逃すことにも繋がります。

6 行政指導を受けてしまうケース

無許可で工事を継続している場合、最終的には行政からの指導や調査が入ることがあります。東京都の担当窓口は東京都都市整備局の建設業許可担当で、沖縄県では土木建築部 技術・建設業課が所管しています。指導を受けた場合は直ちに是正する必要があり、その間、受注活動に支障が出ることは避けられません。

行政指導は会社の信用に影響し、取引先にも情報が伝わることがあります。取引停止、契約解除、工事遅延など、連鎖的なダメージが発生するリスクがあります。

まとめ

現代は、法令遵守が当然視される時代です。建設業許可がない状態は、契約リスク、取引停止、支払い拒否、行政指導など、事業継続そのものに大きな影響を及ぼします。

東京都江東区でも、沖縄県那覇市でも、建設業許可のニーズは確実に高まっています。メイン業務が建設業である会社はもちろん、付帯業務に工事要素が含まれる事業者は、早期に許可取得の検討を進めることが重要です。

法令違反の状態を放置すると、後で大きな代償を払うことになります。トラブルが発生してから対応するのではなく、事前に制度を理解し、適切に許可を取得することが、事業と信用を守るための確実な方法と言えます。

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