相続の場面で登場する人物③孫やひ孫、④親のケースを徹底解説

人が亡くなると、その人が生前に持っていた財産は、法律に基づいて相続人へと引き継がれます。亡くなった方を「被相続人(ひそうぞくにん)」と呼び、その財産を承継する立場にある人を「相続人(そうぞくにん)」といいます。

相続人の範囲や順位は民法で定められており、誰がどのように相続人になるのかを正しく理解しておくことが、相続手続きを円滑に進めるために欠かせません。

前回までの記事では、配偶者や子が相続人になる場合を解説しました。今回はその続きを踏まえ、「孫やひ孫」といった下の世代が相続人になるケース、そして「親」が相続人になるケースを詳しく解説していきます。江東区や那覇市で相続を考えている方にとっても身近なテーマですので、ぜひ参考にしてください。

目次

1. 孫やひ孫が相続人になる場合とは?

被相続人に子がいる場合、原則としてその子が相続人となります。しかし、相続の現場では「子がすでに亡くなっている」ケースも少なくありません。このとき、亡くなった子の子ども、つまりが相続人になることがあります。

この仕組みを「代襲相続(だいしゅうそうぞく)」と呼びます。

代襲相続の基本ルール

  • 子が被相続人より先に死亡している、または同時に死亡した場合に発生する。
  • 子に生存している子(孫)がいれば、その孫が親に代わって相続する。
  • 孫もすでに死亡している場合、その孫の子(ひ孫)がさらに代襲して相続する。

つまり、相続の権利は一代下に引き継がれていくという仕組みです。

具体例

例えば、那覇市に住むAさんが亡くなり、相続人として配偶者と2人の子がいるとします。そのうち1人の子がすでに亡くなっていて、その子に2人の子(Aさんにとっては孫)がいた場合、この孫たちが代襲相続人になります。

この場合、配偶者が1/2、存命の子が1/4、亡くなった子の子2人が1/4を分け合うことになります。

注意点

実務上、代襲相続を正しく理解しないまま相続手続きを進めてしまい、後から「実は孫にも権利があった」と判明するケースが少なくありません。江東区でも、マンションの名義変更や金融機関の解約手続きの際に孫の戸籍が必要になることがあります。那覇市でも、親族間の口約束だけで進めてしまい、後から法的に無効とされてトラブルに発展する例が見られます。

代襲相続が発生するかどうかは、被相続人・子・孫の戸籍をしっかり確認することが不可欠です。

2. 親が相続人になる場合とは?

次に、被相続人のが相続人になるケースについて解説します。

親が相続人となるのは、被相続人に子や孫などの直系卑属がいない場合です。順位としては「第2順位」にあたり、配偶者とともに相続する立場になります。

親が相続人となる条件

  • 被相続人に子や孫がいないこと。
  • 被相続人が未婚で子がいない場合、あるいは子がいてもすべて亡くなっている場合など。
  • 被相続人に配偶者がいれば、配偶者と親が相続人となる。

相続割合の例

  • 被相続人に配偶者と親がいる場合:配偶者2/3、親1/3
  • 被相続人に配偶者がいない場合:親が全額を相続

例えば江東区で一人暮らしをしていた独身者が亡くなり、両親が健在だった場合、親が相続人となり財産を承継します。

祖父母に相続が回る場合

被相続人に子も孫もいない、さらに両親もすでに亡くなっている場合には、相続権は一つ上の世代、つまり祖父母へと移ります。

ただし、親世代の相続においては「代襲相続」はありません。祖父母が存命なら祖父母が相続しますが、祖父母が亡くなっていてもその子(つまりおじ・おば)には相続権が発生しない点が重要です。

実務上の注意点

  • 父が亡くなっており母のみが健在の場合、父方の祖父母が存命でも相続人は母のみ。
  • 相続順位は「近い親等を優先」するため、親世代が存命であれば祖父母には相続権がない。

実際に那覇市では「子がいない夫婦の一方が亡くなり、残された配偶者と親が相続人となった」というケースが多くあります。その場合、親と配偶者の間で遺産分割協議を行わなければならず、手続きを放置すると不動産の名義変更などに支障が出てしまいます。

3. 江東区・那覇市でよくある相談事例

  1. 代襲相続の確認不足
    「孫に相続権があると知らずに、配偶者と子だけで遺産分割協議書を作成してしまった」という相談はよくあります。後から孫が相続権を主張すると、協議のやり直しが必要になります。
  2. 高齢の親が相続人となるケース
    子のいない方が亡くなり、90歳を超える親が相続人となる例も見られます。その場合、判断能力に不安があると、相続放棄や遺産分割協議に成年後見制度を利用せざるを得ないこともあります。
  3. 祖父母への相続が発生するケース
    被相続人が若くして亡くなり、親もすでに死亡している場合、祖父母に相続が回ることもあります。沖縄では家系が大きく戸籍調査が複雑になることが多いため、専門家の支援が重要になります。

まとめ

相続の登場人物にはさまざまなパターンがあり、今回解説した「孫やひ孫」「親」が相続人となるケースは、見落としや誤解が起きやすい部分です。

  • 孫やひ孫は「代襲相続」により権利を持つ
  • 親は「第2順位の相続人」として子がいない場合に相続する
  • 親に代襲相続はなく、祖父母が相続することもある

江東区や那覇市で相続を進める際には、戸籍の収集・確認を丁寧に行い、相続人の範囲を正確に確定させることが何より大切です。複雑なケースでは専門家に早めに相談することで、相続トラブルを未然に防ぐことができます。

行政書士見山事務所は終活・生前対策・遺言作成・相続手続きに精通しております、お気軽にご相談下さい。

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