
建設業許可を取得する際、社会保険(健康保険・厚生年金)と並んで重要視されるのが労働保険(雇用保険・労災保険)への加入状況です。
国土交通省と厚生労働省の連携による加入徹底の方針により、労働保険未加入のままでは建設業許可の新規取得や更新が難しくなっています。
本記事では、江東区や那覇市で建設業を営む方々に向けて、労働保険(雇用保険・労災保険)の加入手続きの流れを詳しく解説します。建設業許可申請に備えて、必要な手続きをスムーズに進められるよう参考にしてください。
1. 労働保険とは?
労働保険は、労災保険と雇用保険を総称したものです。
- 労災保険
労働者が業務中や通勤途中に事故や災害に遭った場合に給付される保険。全ての事業者が対象で、従業員を1人でも雇えば加入義務が発生します。 - 雇用保険
労働者が失業した際や育児休業を取得した際に給付を受けられる保険。こちらも従業員を雇う事業所は原則として加入が必要です。
建設業許可を申請する際は、これらの労働保険に適正に加入していることを証明する資料の提出が求められます。
2. 労働保険加入の流れ(全体像)
労働保険加入の流れは次のようになります。
- 事業所設立 → 労働保険の新規適用手続き
- 労災保険の成立手続き(労働基準監督署)
- 雇用保険の適用手続き(ハローワーク)
- 保険料の申告・納付
それぞれのステップを、江東区・那覇市での実務を想定して詳しく説明します。
3. 労災保険の加入手続き(労働基準監督署)
① 提出先
建設業者の所在地を管轄する労働基準監督署。
- 江東区 → 江東労働基準監督署
- 那覇市 → 那覇労働基準監督署
② 提出書類
- 労働保険 保険関係成立届
- 労働保険 概算保険料申告書
これらを提出して、労災保険関係を成立させます。
③ 保険料の支払い
概算保険料を納付します。建設業は労災リスクが高いため、業種ごとの保険料率に基づいて算定されます。
4. 雇用保険の加入手続き(ハローワーク)
① 提出先
事業所の所在地を管轄するハローワーク。
- 江東区 → 木場公共職業安定所(ハローワーク木場)
- 那覇市 → ハローワーク那覇
② 提出書類
- 雇用保険適用事業所設置届
- 雇用保険被保険者資格取得届(従業員ごとに提出)
- 出勤簿、賃金台帳、労働者名簿(確認資料として)
③ 注意点
週20時間以上勤務する労働者や31日以上の雇用見込みがある労働者は、原則として雇用保険に加入させる必要があります。パート・アルバイトであっても条件を満たせば対象です。
5. 保険料の申告と納付
労働保険料は「労災保険」と「雇用保険」を合わせて一括して申告・納付します。
① 概算保険料と確定保険料
- 概算保険料:翌年の見込み賃金総額を基に算出し、年度の初めに納付
- 確定保険料:実際の賃金総額に基づいて精算(年度末に申告)
② 納付先
金融機関または労働基準監督署を通じて納付します。事務処理が煩雑な場合は、労働保険事務組合に委託する方法もあります。
6. 建設業特有の注意点
① 一人親方の扱い
建設業には「一人親方」と呼ばれる立場の方も多く存在します。自ら雇用されていないため雇用保険には加入できませんが、労災保険の特別加入制度を利用できます。
② 複数現場での作業
下請として複数現場に従業員を派遣する場合も、労災保険は一括して事業所単位で加入します。
③ 保険加入の確認資料
建設業許可申請では、労働保険の加入を確認するために次のような資料が必要になります。
- 労働保険概算・確定保険料申告書と領収書の写し
- 保険料納入通知書と領収書(労働保険事務組合に委託している場合)
7. 江東区・那覇市での実務上の流れ
例えば江東区で新規に建設業を始めた場合は、
- 江東労働基準監督署で労災保険の成立届を提出
- ハローワーク木場で雇用保険適用事業所設置届を提出
- 保険料を納付
という流れになります。
那覇市でも同様に、
- 那覇労働基準監督署で労災保険の手続き
- ハローワーク那覇で雇用保険の手続き
という順番で進めます。
8. よくあるトラブルと回避策
- 加入手続きが遅れた
→ 遡及して保険料を支払う必要があります。罰則や延滞金が発生する場合もあるため、早めの加入が必須です。 - パート従業員を未加入にしていた
→ 労働時間や雇用見込みを確認し、条件を満たせば必ず加入させる必要があります。 - 書類不備による申請差し戻し
→ 出勤簿・賃金台帳・労働者名簿など、労働条件を示す書類を整えてから提出しましょう。
まとめ
労働保険(雇用保険・労災保険)の加入は、建設業許可を取得・更新する上で欠かせない要件です。
- 労災保険 → 労働基準監督署で手続き
- 雇用保険 → ハローワークで手続き
- 保険料は概算と確定で精算
- 加入状況を示す資料は建設業許可申請時に必要
江東区・那覇市で建設業を営む方は、必ず早めに労働保険の手続きを進め、適正な体制を整えてから建設業許可申請に臨むようにしてください。
建設業許可申請に精通した行政書士見山事務所までお気軽にご相談下さい。