相続の登場人物についての続き、⑤兄弟姉妹・⑥甥姪の相続権を徹底解説

人が亡くなると、その人が所有していた財産は法律に基づき、相続人へと引き継がれます。亡くなった方を「被相続人(ひそうぞくにん)」、財産を承継する立場にある人を「相続人(そうぞくにん)」と呼びます。

相続人には配偶者や子、親などがよく知られていますが、場合によっては兄弟姉妹や甥姪が相続人となることがあります。実務に携わっていると、このケースは決して珍しくありません。特に江東区や那覇市のように高齢化が進む地域では、子や親がいないために兄弟姉妹や甥姪が相続人となる例が少なくないのです。

今回は相続手続・遺言に関わる「登場人物」として、⑤兄弟姉妹、⑥甥姪の相続について詳しく解説していきます。

目次

1. 兄弟姉妹が相続人になる条件

兄弟姉妹が相続人となるのは、被相続人に直系卑属(子や孫)も直系尊属(親や祖父母)もいない場合です。つまり、相続順位としては「第3順位」となります。

具体例

  • 被相続人が独身で子がいない場合
  • 結婚していたが子がなく、親もすでに亡くなっている場合

このようなケースでは、被相続人の兄弟姉妹が相続人として財産を承継します。

さらに、被相続人に配偶者がいる場合は、配偶者と兄弟姉妹が共同で相続人になります。

相続割合

民法では、配偶者は常に相続人となります。その上で、兄弟姉妹と配偶者が相続人となる場合の割合は以下の通りです。

  • 配偶者:4分の3
  • 兄弟姉妹:4分の1

兄弟姉妹が複数いる場合は、その4分の1を人数で等分します。

2. 兄弟姉妹の範囲と異父母兄弟姉妹

兄弟姉妹には「全血兄弟姉妹」と「半血兄弟姉妹」がいます。

  • 全血兄弟姉妹:父母が同じ兄弟姉妹
  • 半血兄弟姉妹:父または母のどちらか一方のみ同じ兄弟姉妹

例えば、被相続人の父が再婚して前婚の子がいる場合、その子は被相続人から見ると「異母兄弟姉妹」にあたり、相続権を持ちます。

ただし、相続分に差があります。

  • 全血兄弟姉妹:均等に分ける
  • 半血兄弟姉妹:全血兄弟姉妹の相続分の2分の1

この違いは実務上よくトラブルになります。江東区の相談事例では「父の前妻の子も相続権を持つのか」と驚かれるケースが多いです。那覇市では大家族制度の影響もあり、異母兄弟姉妹が多数登場して相続が複雑化することがあります。

3. 甥姪が相続人となる条件(代襲相続)

兄弟姉妹が相続人となる場合でも、その兄弟姉妹がすでに亡くなっていることがあります。その際、亡くなった兄弟姉妹の子、つまり甥や姪が代襲して相続することになります。

代襲相続とは

代襲相続とは、本来相続人となるはずだった人が被相続人より先に死亡していた場合に、その人の子が代わりに相続する制度です。

  • 代襲相続は兄弟姉妹にも適用される
  • ただし、甥姪の代で止まり、さらに次世代(またいとこなど)には広がらない

具体例

那覇市での例を挙げると、被相続人が亡くなり、相続人は配偶者と兄弟2人のはずでした。しかし、兄弟の1人はすでに亡くなっており、その子(被相続人からみて甥)が2人いたため、この2人が代襲相続人となりました。結果として、配偶者が4分の3、残る4分の1を生存している兄弟と甥2人で分け合いました。

4. 甥姪が相続人となる現実的な場面

被相続人が高齢で亡くなる場合、兄弟姉妹もすでに高齢であることが多く、先に亡くなっているケースは珍しくありません。そのため、甥や姪が相続人となる場面は現実に頻発しています。

甥姪からすると「まさか自分が相続人になるとは思わなかった」というケースが多く、突然金融機関や法務局から手続きに参加するよう求められて驚かれることもあります。

江東区の事例では、相続登記の必要書類に甥姪の戸籍を揃えることになり、準備に数か月かかったケースがありました。那覇市の事例では、相続財産に土地が含まれており、甥姪が複数いて意見がまとまらず、遺産分割協議が難航しました。

5. 実務上の注意点とトラブル回避策

兄弟姉妹や甥姪が相続人となる場合、次のような注意点があります。

  1. 戸籍の調査が複雑になる
    被相続人の出生から死亡までの戸籍をすべて取り寄せ、兄弟姉妹や甥姪の存在を確認する必要があります。特に那覇市では戸籍が本籍ごとに複数の役所に分散していることがあり、収集に時間がかかります。
  2. 人数が多く協議がまとまりにくい
    兄弟姉妹や甥姪は人数が多くなりがちで、遺産分割協議で全員の署名押印が必要です。一人でも反対すれば合意が成立しません。
  3. 感情的な対立が起きやすい
    「日頃ほとんど交流のない親族が突然相続人として登場する」ことから、納得感のない相続になりがちです。
  4. 遺言の有無で大きく変わる
    遺言書があれば、誰にどの財産を渡すかが明確にされているため、トラブルを大幅に回避できます。

6. 江東区・那覇市での対策と専門家の活用

兄弟姉妹や甥姪が相続人となるケースは、法的にはっきりしている一方で、実務的には煩雑さとトラブルのリスクを伴います。

  • 相続人の範囲を正しく確定するために戸籍調査を徹底すること
  • 遺産分割協議を円滑に進めるため、早めに専門家に相談すること
  • 被相続人が存命のうちに遺言を作成しておくこと

特に江東区ではマンションや預貯金の名義変更、那覇市では土地の相続登記が重要な課題です。こうした手続きを放置すると、後々の売却や活用に支障が出ます。

まとめ

相続人⑤兄弟姉妹、⑥甥姪について整理すると次の通りです。

  • 兄弟姉妹は相続順位第3位で、子や親がいない場合に相続人となる
  • 異父母兄弟姉妹にも相続権があるが、相続分は全血兄弟姉妹の半分
  • 甥姪は兄弟姉妹の代襲相続人となる
  • 甥姪の代で代襲は止まり、それ以上の世代には広がらない
  • 実務上は戸籍調査や人数の多さから手続きが複雑になりやすい

江東区や那覇市で相続手続きを進める際には、こうしたルールを理解した上で、専門家に相談しながら進めることで、相続トラブルを防ぎ、円滑な財産承継が可能になります。

行政書士見山事務所は終活・生前相談・遺言作成・相続手続きに精通しております、お気軽にご相談下さい。

目次