在留資格申請における「理由書」の重要性とその書き方について

在留資格申請において提出が求められる書類は、公式に定められた必須書類が中心ですが、実務上重要な役割を果たす「理由書」は、任意書類として位置付けられています。しかし、ビザ申請のプロセスにおいて、理由書の役割は非常に大きく、実際には必須といえるほどの重要性を持っています。この記事では、理由書の目的や内容、書き方について詳しく解説し、効果的な理由書作成のポイントを紹介します。

理由書とは?

理由書とは、在留資格申請の際に添付する詳細説明書です。申請者が希望する在留資格にどのように該当するのか、またはなぜその在留資格が必要であるのかを、入管の審査官に対して詳しく説明するための書類です。公式には任意の書類とされていますが、理由書が適切に作成されているかどうかが、ビザ申請の成否に大きな影響を与えるため、実務上は事実上の必須書類といえるのです。

理由書で記載すること

理由書に記載すべき内容は、以下の主要な視点から構成されます。

  1. 在留資格該当性
    • 在留資格には様々な種類があり、それぞれに活動内容が定められています。申請する在留資格の活動内容と、申請者が実際に行う予定の活動内容が一致していることが必要です。例えば、就労系ビザの場合は、雇用先企業での業務内容を具体的に記載し、それが申請する在留資格で許可されている活動と一致するようにします。身分系ビザの場合は、日本人配偶者ビザであれば、二人の出会いから結婚に至るまでの経緯を時系列で具体的に記載することが求められます。
  2. 基準省令適合性
    • 在留資格を取得するためには、基準を定めた省令に適合していることが必要です。この基準には報酬、学歴、実務経験年数などが含まれます。例えば、技・人・国ビザの場合、申請者の学歴や職歴、報酬の詳細などを記載し、基準に適合していることを示します。
  3. 雇用の安定性・継続性
    • 外国人が日本で安定的かつ継続的に暮らすためには、雇用先企業の資本金や売上高などの企業規模、または身分系ビザの場合は日本人配偶者の職業や収入などの経済面を記載します。就労系ビザでは、外国人を雇用するまでの経緯や企業としてその人材の必要性なども具体的に説明します。

理由書には2種類がある

就労系ビザの場合、理由書には主に2種類があります:

  1. 雇用理由書
    • 雇用先企業が提出するもので、企業側の視点から、なぜその外国人を雇用する必要があるのか、企業としての具体的な理由や背景を説明します。
  2. 申請者自身の理由書
    • 外国人申請者が提出するもので、自身のスキルや経験がどのように企業や日本での生活に役立つか、または在留資格取得の目的や背景について詳しく説明します。

それぞれの理由書は、A4用紙1~2枚程度で簡潔に、しかし入管の審査官が知りたいと思われる内容を含めて作成することが求められます。これにより、審査官が申請内容を理解しやすくなり、適切な判断が下されることが期待されます。

理由書作成のポイント

  1. 具体的な情報提供
    • 理由書には、申請者の活動内容や経緯、企業の状況などを具体的に記載し、審査官が一目で理解できるようにします。
  2. 整然とした構成
    • 理由書は整然とした構成で、見出しや箇条書きを使って情報を整理し、読みやすくします。
  3. 正確な情報の記載
    • 事実に基づいた正確な情報を記載し、虚偽の記載や誤解を招くような表現は避けます。
  4. 説得力のある説明
    • 申請者の必要性やその資格取得の目的が説得力を持つように、論理的かつ具体的に説明します。

おわりに

理由書は在留資格申請において、申請者の状況や資格に対する理解を深めるための重要な書類です。適切に作成された理由書は、申請の成功に大きな影響を与える可能性があります。理由書の作成に関して不明点やお悩みがある場合は、幣事務所までご相談ください。プロの視点から、効果的な理由書の作成をサポートいたします。

目次