浚渫(しゅんせつ)工事とは、河川や港湾などの水底にたまった土砂を取り除くための工事です。土砂をすくい取り、海底や川底の深さや形状を整えることで、航行の安全性向上や、浸水対策などに貢献します。例えば、船の通行に支障が出るほど海底が浅くなった場合や、洪水対策として河川の流れを改善する必要がある場合に行われます。この記事では、浚渫工事業の建設業許可を取得する際に必要な知識や要件について詳しく解説します。
浚渫工事の工法
浚渫工事には、主に「ポンプ浚渫」と「グラブ浚渫」という2つの方法があります。
- ポンプ浚渫
- これは、ストローで吸い上げるように土砂と海水を一緒に吸い上げる方法です。広範囲の土砂を一度に処理できるため、大規模な海底の浚渫工事に向いています。
- グラブ浚渫
- この方法では、クレーンの先端に「グラブバケット」という大きなつかみを装着し、つかみ取って海底を掘り下げます。岸壁や港の狭い場所でも作業が可能で、固い地盤に向いています。
浚渫工事業の建設業許可
浚渫工事業の建設業許可は、500万円以上の工事を請け負う際に必要です。この許可を取得することで、工事を円滑に進め、トラブルを回避できます。浚渫工事業の許可は専門工事業の一つであり、他の建設業許可(例:土木一式工事業)ではカバーされないため、注意が必要です。
専任技術者の要件
浚渫工事業の建設業許可を取得するには、専任技術者を配置することが求められます。専任技術者には、次の資格または実務経験が必要です。
資格要件
- 一級土木施工管理技士
- 二級土木施工管理技士(土木)
- 技術士(建設)
- 監理技術者資格者(浚渫)
特定建設業許可の場合は、一級国家資格が必須です。
実務経験要件
資格がない場合でも、以下の条件を満たすことで専任技術者となれます。
- 浚渫工事の実務経験が10年以上ある方。
- 指定学科(機械工学や土木工学)を卒業後、一定年数(高校卒業後5年、大学卒業後3年)浚渫工事の実務経験がある方。
指定学科を卒業していれば、必要な実務経験の期間が短縮される場合もあります。
実務経験証明に必要な書類
実務経験により専任技術者の要件を満たす場合、その経験を証明する書類が必要です。具体的には以下の書類が求められます。
- 被保険者記録照会回答票 – 過去の年金記録を確認するための書類。
- 建設業許可通知書の写し – 建設業許可を受けた企業での実務経験を証明。
- 専任技術者証明書 – 申請者の資格や実務経験を記載。
- 実務経験証明書 – 担当した工事について具体的な内容と期間を記載。
- 健康保険被保険者証の写し – 申請企業に常勤であることを証明するための書類。
また、許可を持たない企業での経験も証明可能で、その場合は工事請負契約書などが必要です。
申請時の注意点
申請書類の作成や提出には多くの準備が必要です。企業が建設業許可を保持していたかどうか、申請書類の内容が正確かなど、すべての書類が整っているか確認しましょう。また、許可の有効期限が切れている場合、その期間の経験が認められない場合があるため、事前に確認することが重要です。
まとめ
浚渫工事業の許可取得には、資格や経験の証明が重要です。浚渫工事を担う企業として信頼されるためにも、適切な許可の取得と更新を行いましょう。那覇市や江東区などでも、専門的な許可を取得することで円滑な浚渫工事が可能になり、地域の発展や安全に寄与できます。