相続対策として利用されている資産管理会社とは?その形態について

資産管理会社について、前回はメリットとデメリットについて見てきました。

相続対策として利用されている資産管理会社のメリットとデメリットについて – 行政書士 見山事務所 (miyamashinji.jp)

今回はその形態について解説していきます。資産管理会社は、不動産の所有・管理の方法により3つの形態に分類できます。その選択は、不動産の立地や価格、資産管理会社運営の手間等を考慮する必要があります。

目次

➀ 不動産所有方式

不動産所有方式は、オーナーさんが所有する不動産を資産管理会社に売却し、資産管理会社が不動産を所有する形態です。「売却方式」と呼ばれるもので、資産管理会社を活用する相続対策としては主流となっています。

管理会社が土地・建物ともに所有する「土地建物所有方式」と、建物だけを所有する「建物所有方式」とがあり、後者は土地はオーナーさんが所有し続けて管理会社に貸し付ける形です。

資産管理会社がオーナーさんから不動産を買い受ける場合には金融機関から資金を借り入れ、オーナーさんは不動産の売却代金で個人の借入金を返済し、債務を個人から会社へ移行できます。

不動産所有方式では、不動産による収益が資産管理会社のものとなるため、オーナーさんの財産の蓄積を抑える効果があります。

ここで注意しなくてはいけないのは、不動産の売買価格や建物所有方式での地代です。

不動産の売買価格が世間一般の相場からあまりにも乖離している場合には、時価との差額を課税されることがあります。

また建物所有方式では、土地を無償で貸し付けた場合に資産管理会社が借地権を無償で譲り受けたとみなされて課税されることになります。そうならないよう、管理会社からオーナーに権利金を支払う、管理会社がオーナーに年間6%程度の相当の地代を支払う、管理会社とオーナーとの連名で税務署に「土地の無償返還に関する届出書」を提出する等の方法をとっておきましょう。

② 管理会社方式

管理会社方式は、オーナーさんが個人で不動産を所有したままで設備の管理等を資産管理会社へ委託する方式です。不動産の売却手続きがなく手軽に利用できるメリットがありますが、相続対策としての節税メリットは期待できない点はデメリットといえます。

不動産による収益はオーナーさんのもとに入りますが、その中から管理費を資産管理会社へ支払うことで、オーナーさんの財産の蓄積を抑える効果があります。しかしあまりにも高額な管理費であると税務上の必要経費として認められない恐れがあります。税務上の問題を回避するため、一般的な管理会社と同程度の管理費としておくべきです。目安は家賃収入の5~8%程度といわれています。

③ サブリース方式

サブリース方式は、オーナーさんが所有する不動産を資産管理会社に一括貸付する方式です。

不動産による収益は資産管理会社のもとに入り、管理会社はそのうち80%から90%を賃料としてオーナーさんに支払います。空室に対するリスクを管理会社が負うことで、オーナーさんは安定した収入が得られるという仕組みです。

サブリース方式も相続対策としての節税効果は小さいですが、不動産の相続税評価額を低くできるメリットがあります。一括貸付するので、実際は空室があっても賃貸割合を常に100%として評価額を計算できるわけです。

相続対策は様々なはやり方があります、提携する税理士と相談しながらお客様にとって最適な方法をご一緒に考え実現してまいります。

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