婚姻届は出していないが内縁関係にあった妻に相続分はあるのか、ないのか

内縁の夫・妻という身分関係は、法律に規定はありません。過去の判例を基にその身分を理解することになります。

内縁関係が成立をするには、内縁の夫・妻の両者に婚姻の意思があること、夫婦としての婚姻生活の実態があることが必要です。その2つの要件が成立することで、内縁の夫・妻という身分が確証されることになります。

では内縁の妻は内縁の夫が亡くなった時に相続をし得るのでしょうか。これについて、内縁の妻としての身分を持つ者も遺産を相続し得ます。それは、法定相続人がおらず、また被相続人の遺言もない状態にある際です。

民法では、被相続人の遺産相続が開始された時点で、法定相続人がおらず、また遺言がない場合にはその遺産は特別縁故者または国庫の財産とみなすと規定がされています。

内縁の妻は、この特別縁故者に含まれます。

家庭裁判所が一定期間に相続人としての権利を主張できる公告を出し、その猶予期間をとります。

この猶予期間内に相続人の権利を主張する者が現れなかった場合に、特別縁故者は家庭裁判所に申立てをすることになります。その期間は家庭裁判所が公告を設けたことが終了した時から3カ月以内と定められています。

申立てをした特別縁故者の主張が家庭裁判所に認められれば、特別縁故者である内縁の妻が、被相続人の財産の全部または一部を相続することになります。

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