「出戻り」でも企業内転勤ビザの在留期間更新はできるのか、できないか

(問題)

トーマスは、Y国の大学商学部を卒業(商学位を取得)し、Y国の大手商社に入社しました。

その会社で経理担当として勤務していましたが、入社12年目に日本支社の経理部への転勤を命じられました。

辞令では転勤期間は5年で、日本支社での勤務後はY国の本社へ戻ることになっていました。

しかし、日本のとある企業から経理部長としてのヘッドハンティングの話しがあり、提示された好待遇に惹かれたトーマスは、今の会社を退職してしまいました。

トーマスは「技術・人文知識・国際業務」ビザにおいて「人文知識」が経理業で満たしているので(大学商学部卒業で実務経験10年以上)、「企業内転勤」ビザから「技術・人文知識・国際業務」ビザへ在留資格を変更して、その日本企業に転職しようと考えていました。

ところが正式に転職する前に、その日本企業が突然倒産してしまい、ヘッドハンティングの話しはなかったことになってしまいました。

困ったトーマスは、元の会社に頼み込んで、出戻りとしてなんとか復職することができました。

トーマスの在留資格は「企業内転勤」ビザのままで、そのまま日本支社で勤務していました。

まもなく在留期間更新の時期となります。トーマスは「企業内転勤」ビザで在留期間更新が可能でしょうか?

(答え)

できません。

企業内転勤の基準として、継続して1年以上派遣元に所属していなければならないからです。

短期間とはいえども、一度派遣元を退職しています。その時点で在籍期間は継続していません。そもそも、派遣元を退職した時点で、「企業内転勤」ビザに該当していません。そのまま知らぬ顔で「企業内転勤」ビザで在留を続けていると許可を超えた就労にあたり、当然ながら在留期間の更新はできません。

トーマスは、「技術・人文知識・国際業務」ビザの要件は満たしているので、在留したまま「技術・人文知識・国際業務」ビザへの在留資格変更の許可申請を行なうことができます。許可されれば、日本支社の従業員として勤務可能となるでしょう。

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