先祖供養をお願いしたい、祭祀財産は相続財産に含まれるのか含まれないのか

祭祀財産には、系譜や位牌、仏壇、墓地・墓石等があります。そして祖先の祭祀を主宰する者を祭祀承継者といいます。沖縄ではトートーメーの話がありますが、では誰が祭祀承継者となるかというと、第一には被相続人(亡くなった人)の指定により決まり、これは書面でも口頭でもかまいません。第二に被相続人の指定がない場合には、その地方の慣習によることとなり、第三に慣習も明確でない場合には、家庭裁判所が決定します。

祭祀承継者は1人とされ、必ずしも相続人でなくてもよいとされています。また祭祀承継者に指定された者は拒むことができないとされています。

目次

祭祀承継にかかる費用について相続財産として主張できるのか

最初に申し上げれば祭祀財産は相続財産に含まれません、祭祀承継は相続財産とは無関係な話なのです。

よって祭祀財産を承継したからといって、相続分が増えたり、逆に減らされたりすることはありません。

昔の家の家督相続のようなものと異なり、祭祀承継は誰が仏壇やお墓を守り、法事を主宰するかの意味合いしかありません。したがって、祭祀承継した者が祭祀財産やお墓の管理をしなくても、誰も文句が言えないのです。あくまで祭祀承継者しての道義上の問題です。

祭祀承継者の指定と配慮について

祭祀承継者の指定としては、お墓の管理や法要等の行事を誰がよくやってくれるかという視点で選ぶのも一つかと思います。また今後の祭祀主宰について任せることになるわけですから、祭祀に係る費用は祭祀承継者が負担することになりので、指定する者に多くの財産を残したいと考える時に大切なのが、遺言できちんと形にして残しておくことです。

遺言者が祭祀承継者を遺言で指定するとともに、承継者に対して遺贈または生前贈与をしておくことができます。

なお、長男を祭祀承継者として指定し、加えて相続全財産も相続させる旨を遺言とすることはできますが、他の相続人から遺留分侵害請求がなされ、相続人間でトラブルとなることが考えられます。遺留分にも配慮しながら、適切な祭祀承継者の指定と相続人間の財産の分配について遺言で残すことで、相続人の意思を実現できるかと思います。

目次