自分が亡きあとに遺言の内容を実行してくれる人、遺言執行者について

遺言の執行とは、被相続人の死後に遺言の内容を実現する手続きのことであり、そして遺言の内容を実現するために相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為を有する者が、遺言執行者です。

つまり、遺言執行者は遺言の内容を実現する担い手であるといえます。

遺言者は、遺言で一人または数人の遺言執行者を指定できます(民1006➀)。なお未成年および破産者は遺言執行者となることはできません。

遺言者が、相続をさせる旨の遺言を作成していた場合に、遺言者の死亡時には直ちに特定の相続人が相続により特定の遺産を承継することから、遺言執行者として執行の余地はないように思われます。

しかし「遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理、その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有し」(民1012➀)、「遺言執行者がある場合には、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げる行為をすることができない」(民1013➀)とあり、遺言執行者を遺言で指定しておくことは、円滑に遺言の内容を実現するために重要となります。

銀行実務においても、遺言書に遺言執行者が指定されている・されていないで、銀行所定の書類に署名押印する者を区別しています。当然ですが指定されている方が負担が少なく、原則は遺言執行者のみの署名と実印の押印で手続きが可能となっています。

また、遺言執行者は複数指定しておくことが望ましいです。ただし、複数の執行者がある場合には、遺言執行はその過半するで決する(民1017➀)ので、例えば2名の遺言執行者を指定した場合には、2名共同で執行しなくてはならなくなり、遺言執行が非効率となってしまいます。

そこで、複数の遺言執行者を指定する場合には「遺言執行者らに、単独でこの遺言を執行するための権限を授与する」といったような単独で遺言執行が可能となる遺言執行者の権限について記しておくとよいでしょう。

ちなみに、公正証書遺言では、遺言執行者に関して

➀ 住所

② 氏名

③ 生年月日

④ 職業

を記載することになります。

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