遺産分割協議の作成時に、相続人の範囲を決めるために相続人調査が行われます。稀に、被相続人に家族には知らない認知している子がいたり、養子縁組しているケースがあり得ます。見落とやすい落とし穴がありますので解説します。
認知事項について
婚姻外の子については、認知があってはじめて法律上の父子関係が認められます。しかし認知によって被認知者(子)の戸籍が新戸籍を編製したり、他の戸籍に入るような変動はしません。
認知された場合には、認知者(父)の身分事項に被認知者(隠し子)の本籍・氏名が記載されます。一方、被認知者(隠し子)の戸籍にもその身分事項に認知者(父)の本籍・氏名が記載されます。しかし認知している隠し子がいるにも関わらず、現在の戸籍だけを見て、子が認知されている情報が記録されていないケースが存在します。
その原因は、認知者(父)が何らかの理由で、認知情報が記載されていた前の戸籍の本籍地を現在の本籍地へ移すという、ようは本籍地を移動させると認知や離婚などの特定の身分事項については移記されないようになっています。
この点ですが、認知者(父)が転籍をしたかどうかは現在の戸籍の「戸籍事項」の欄を見るとわかります。もし転籍していると「転籍」と記載されており、その横欄に「転籍日」と「従前本籍」が記録されています。
したがって、相続が開始し、被相続人の最終戸籍に認知事項の記載がなくても、認知した隠し子がいないと即断するには注意が必要です。
転籍をしている場合には従前本籍の戸籍を取り寄せて、その戸籍に認知事項がないか調べる必要があります。またその戸籍にも転籍を繰り返しているようであれば、さらに前の戸籍を取り寄せて、その戸籍に認知情報がないかを調べていくようになります。
これは養子縁組事項でも同じです、相続人調査で見落としやすい点ですので注意しましょう。