管工事業の建設業許可を取得する、その工事内容や許可要件について

管工事とは、冷暖房や給排水、空気調和設備などの設置を行う工事のことを指します。特に、金属製や樹脂製の管を用いて、水や油、ガス、水蒸気などの配管設備を行う工事が該当します。これに加え、管工事には冷媒配管工事やフロン類漏洩防止工事といった専門的な工事も含まれます。

この記事では、管工事業の許可が必要なケース、具体的な工事内容、専任技術者の要件、そして実務経験の証明方法について詳しく解説します。特に、これから管工事業の建設業許可を取得しようと考えている方に向けた内容です。

管工事業の許可が必要なケース

管工事業の許可が必要となるのは、500万円以上の工事を請け負う場合です。建設業法では、工事の請負金額が500万円以上の工事を行うためには、各専門工事業に応じた許可を取得することが求められています。管工事業も例外ではなく、許可を取得せずにこの基準を超える工事を行うと法的な罰則の対象になる可能性があります。

さらに、元請業者として管工事を請け負い、下請業者に合計4,500万円以上の発注を行う場合には、管工事業の特定建設業許可が必要になります。特定建設業許可は、下請業者に大規模な工事を発注する場合に求められる許可で、発注元としての責任を持つことが重要となります。

管工事の具体的な内容

管工事は、以下のような具体的な工事が該当します。

  • 冷暖房設備工事:建物の温度を調整するための空調設備の設置
  • 冷凍冷蔵設備工事:冷蔵庫や冷凍庫のための配管設置
  • 空気調和設備工事:換気や空調を行うための配管設備の設置
  • 給排水設備工事:水の供給および排水を行うための設備
  • 衛生設備工事:トイレや洗面所の設備
  • 厨房設備工事:商業用の厨房に関する配管設備

これらの工事は一般的な建築工事の一環としても行われることが多く、特に住宅や商業施設での利用が一般的です。

管工事業の専任技術者要件

管工事業の建設業許可を取得するためには、営業所に専任技術者を配置する必要があります。専任技術者は、資格や実務経験によってその地位を得ることができます。

1. 資格を持つ専任技術者

専任技術者として認められる資格は以下の通りです。

  • 一級管工事施工管理技士
  • 二級管工事施工管理技士(3年以上の実務経験が必要)
  • 給水装置主任技術者
  • 技術士(上下水道、衛生工学に関連する分野)

これらの資格を取得することで、管工事業の許可申請に必要な技術者として認められます。

2. 実務経験による専任技術者

資格を持っていない場合でも、10年以上の管工事の実務経験がある場合には、専任技術者として認定されます。また、指定学科を卒業している場合には、実務経験年数が短縮されることがあります。たとえば、高校を卒業していれば5年、大学を卒業していれば3年の実務経験で専任技術者になることができます。

実務経験の証明方法

専任技術者として認められるためには、実務経験を証明する書類を準備する必要があります。実務経験を証明するために、主に以下の書類が求められます。

1. 許可あり企業での経験

許可を受けている企業での経験の場合、以下の書類が必要です。

  • 被保険者記録照会回答票:これは年金事務所で取得する書類で、過去にどの企業に勤めていたかを確認するためのものです。
  • 建設業許可通知書の写し:申請する企業が建設業許可を取得していたことを証明する書類です。
  • 実務経験証明書:企業が発行する、過去の実務経験を証明する書類です。

2. 許可なし企業での経験

許可を持っていない企業での経験も実務経験として認められますが、その場合には追加の書類が必要です。

  • 工事請負契約書:実際にどのような工事を請け負っていたかを証明する契約書。
  • 健康保険被保険者証の写し:健康保険の記録から在籍期間を確認します。

許可を持たない企業での経験を証明するには、これらの書類をしっかりと準備することが必要です。

実務経験証明のポイント

実務経験を証明するためのポイントとして、特に注意すべき点は、企業が建設業許可を取得しているかどうかです。許可を持つ企業での経験は、比較的簡単に証明できますが、許可を持たない企業での経験の場合、工事請負契約書などの書類をしっかり保管しておくことが重要です。

また、企業の許可が失効している場合や、実務経験を証明する書類が不足している場合には、事前に申請先の自治体に相談することをお勧めします。許可の有効期限が切れている場合でも、実務経験が認められるケースがあるため、諦めずに確認してみてください。

特定建設業許可の専任技術者

特定建設業許可を取得する場合は、専任技術者として認定される資格が一級管工事施工管理技士や監理技術者資格者などに限られるため、特に注意が必要です。特定建設業許可を取得しようとしている企業は、大規模な工事を請け負うことが多いため、専任技術者の選定にも厳しい基準が設けられています。

まとめ

管工事業の建設業許可を取得するには、一定の資格や実務経験を持つ専任技術者を配置する必要があります。さらに、実務経験の証明には正確な書類の準備が求められ、特に許可を持たない企業での経験を証明するためには、工事請負契約書などの証拠が不可欠です。許可取得を目指す方は、早めに必要な書類を整え、自治体の指示に従って申請を進めることが成功への鍵となります。

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