日本で働く外国人の増加に伴い、日本人と外国人のカップルも増えています。特に職場での出会いや知人の紹介などを通じて、日本人と結婚する外国人も多くなっています。
日本で働く外国人は、主に就労系の在留資格(いわゆる「就労ビザ」)を取得して日本に滞在しています。しかし、日本人と結婚した場合には「日本人の配偶者等」への在留資格変更を検討することが一般的です。本記事では、就労ビザから「日本人の配偶者等」への変更の必要性やメリット、手続きの流れについて詳しく解説します。
1. 就労ビザのままでも問題はないが…
日本人と結婚したからといって、必ずしも「日本人の配偶者等」に変更しなければならないわけではありません。現在持っている就労ビザの在留期限が有効である限り、就労ビザのまま日本に滞在することも可能です。
しかし、就労ビザには就労の範囲に制限があるほか、以下のようなデメリットもあります。
① 就労制限がある
就労ビザでは、許可された職種・業務の範囲内でしか働くことができません。たとえば、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持っている場合、ITエンジニアや翻訳・通訳の業務は可能ですが、飲食店や販売業の仕事に就くことはできません。
② 仕事を辞めると在留資格を失う可能性
就労ビザを持っている外国人が現在の仕事を辞め、転職活動中に新たな雇用先が見つからない場合、在留資格を維持できなくなる可能性があります。3ヶ月以上就労実態がないと「在留資格取消対象」になり得るため、注意が必要です。
③ 永住・帰化申請のハードルが高い
永住権(永住者ビザ)や日本国籍の取得(帰化申請)を考えている場合、就労ビザのままだと審査基準が厳しくなります。特に永住許可の要件として「原則10年以上の在留」が必要ですが、「日本人の配偶者等」の場合は、婚姻後3年の在留で申請可能になるなど、大幅に緩和されます。
2. 「日本人の配偶者等」に変更するメリット
① 就労の自由度が高まる
「日本人の配偶者等」になると、業種・職種を問わず、自由に働くことができます。アルバイト・パート、フリーランス、個人事業主としての活動も可能です。
② 仕事を辞めてもビザの影響を受けない
就労ビザの場合、会社を辞めると在留資格の問題が発生しますが、「日本人の配偶者等」ではその心配がありません。転職やキャリアチェンジもしやすくなります。
③ 転職時の入管手続きが不要
就労ビザで転職する場合は、新たな就労先が現在の在留資格に適合しているか審査を受ける必要があります。しかし、「日本人の配偶者等」の場合は転職時に入管の許可を得る必要がなくなります。
④ 永住申請がしやすくなる
「日本人の配偶者等」の場合、婚姻後3年経過し、かつ1年以上継続して日本に住んでいれば永住申請が可能です。就労ビザでは原則10年の在留実績が必要となるため、圧倒的に有利です。
⑤ 帰化申請の要件が緩和される
日本に帰化する場合、通常は「5年以上日本に居住」「3年以上の納税・社会保険の納付実績」が求められますが、「日本人の配偶者等」の場合は「3年以上の婚姻関係+1年以上の居住」で申請可能となります。
⑥ 会社設立がしやすくなる
日本で会社を設立する場合、通常「経営・管理ビザ」が必要となり、最低500万円の資本金が求められます。しかし、「日本人の配偶者等」の場合はこのような制約がないため、自由に事業を開始できます。
3. 「日本人の配偶者等」への在留資格変更手続き
① 必要書類
以下の書類を準備し、管轄の入国管理局に申請します。
- 在留資格変更許可申請書(入管HPでダウンロード可)
- パスポートおよび在留カード
- 戸籍謄本(配偶者のもの・発行後3ヶ月以内)
- 婚姻届受理証明書(または婚姻記載のある住民票)
- 質問書(結婚の経緯などを詳しく記載)
- 夫婦の写真(2〜3枚)(結婚式や日常の写真)
- 配偶者の収入証明書(源泉徴収票や課税証明書など)
- 住民税の納税証明書(配偶者のもの)
申請の際、結婚の実態が問われるため、夫婦の関係を証明する資料(LINEのやり取り、旅行の写真など)を添付するとスムーズに進むことがあります。
② 申請の流れ
- 必要書類を揃え、管轄の入管へ申請
- 追加書類の要求があれば対応
- 1〜3ヶ月の審査期間を経て結果通知
- 許可が下りたら新しい在留カードを受領
4. まとめ
日本人と結婚した後も、就労ビザのまま日本に滞在することは可能ですが、「日本人の配偶者等」に変更することで、就労の自由度が高まり、永住・帰化申請が容易になります。
特に、将来的に永住や会社設立を考えている方は、早めに変更することをおすすめします。東京都江東区や沖縄県那覇市で在留資格変更を検討している方は、お気軽に行政書士にご相談ください。