
「どうせ補助金がもらえるなら、あれも買いたい!」「これも経費にできるんじゃないか?」――そんなふうにワクワクしながら補助金の活用を考える方も多いかと思います。
確かに、積極的な設備投資や事業拡大は、中小企業や小規模事業者にとって大切な経営戦略です。補助金を上手に活用することで、資金負担を抑えながら新しい取り組みに挑戦することができます。
しかし、補助金には「使っていいお金」と「使ってはいけないお金」が明確に区分されています。
この記事では、東京都江東区および沖縄県那覇市の事業者の皆さまに向けて、補助金申請で「何に使えるのか(補助対象経費)」、そして「何に使えないのか(補助対象外経費)」を、実務経験のある行政書士の視点から詳しくご説明します。
1. 補助金で使える経費とは? 〜基本の考え方〜
まず大前提として、補助金は「採択された事業計画の目的に必要な支出」に対して支給されます。
以下の3つの条件を満たす必要があります。
(1)事業計画に必要であることが明確である
補助金は、単なる設備購入資金ではありません。補助対象となる経費は、「事業計画の遂行に必要なもの」として明確に特定されている必要があります。
たとえば、以下のような事業と経費は相性が良いです。
事業内容 | 補助対象となり得る経費の例 |
製造業の新商品開発 | 新しい製造機械の購入費用、開発用ソフトウェア導入費用 |
飲食店のECサイト立ち上げ | Web制作費用、カメラ・パソコンなどの機材費 |
美容サロンの高付加価値化 | 新型美容機器、内装リニューアル費用 |
(2)「交付決定日」以降に支出された経費である
補助金は、申請してすぐに使えるお金ではありません。
申請が受理され、「採択(さいたく)」された後、「交付決定通知書」が送られてきます。この交付決定日以降に発生し、対象期間内に支払いを完了した経費でなければ、補助対象にはなりません。
よくある失敗例
- 採択される前に急いで機械を発注してしまった → 対象外
- 見込みで先に支払いを済ませた → 対象外
採択通知は「合格のお知らせ」、交付決定通知は「正式な許可証」と考えてください。
(3)証拠書類で支払いが確認できる経費である
補助金は後払い(精算払い)方式が一般的です。
つまり、申請者がまず自己資金で支払いを済ませ、その証拠を「実績報告書」として提出し、それが審査されたうえで補助金が支払われます。
この実績報告に必要となる主な書類は以下のとおりです:
- 見積書
- 発注書または契約書
- 請求書
- 領収書
- 振込明細書などの支払い証拠
- 完了報告書(作業報告や写真など)
これらが整っていないと、「採択されたのにお金がもらえない」事態になりかねません。
2. 補助対象経費の具体例
補助金の種類によって若干の違いはありますが、多くの補助金制度で共通して認められる主な経費項目をご紹介します。
① 機械装置・設備費
- 製造機械、調理機器、美容機器など
- 付帯する設置工事費や電気工事費も含まれることあり
② 広報費・広告宣伝費
- チラシ・パンフレットの制作費
- ECサイトやSNS広告、Webページ作成費用など
③ 外注費・委託費
- ホームページの制作委託
- デザインやロゴ作成、動画撮影の外注など
④ ソフトウェア導入費
- POSレジシステム、予約管理ソフトなど
- クラウドサービスの導入料(ただし年払い以上が原則)
⑤ 賃借料・リース料(補助金によっては対象)
- 製品展示用のスペース賃借料
- 一部のIT機器リース料(短期不可)
⑥ 開発費・試作費
- 新製品の試作品作成に必要な材料費・加工費など
3. 補助対象外となる経費とは?
一方で、補助金ではいかなる事情があっても補助対象にならない経費もあります。ここでは代表的なものをご紹介します。
① 補助金事業に直接関係ない経費
- 通常の仕入れ商品
- 既存事業と関係のない備品(例:社長の個人PCやテレビ)
② 交付決定日前の支出
- 補助金の審査結果を待たずに先に契約・支払いをしてしまったもの
- 一部例外はあるが、原則対象外
③ 従業員の人件費・役員報酬
- 常勤・非常勤を問わず、社内の人件費(給与・賞与)は対象外
- ただし外部委託者への支払いは外注費として対象になることあり
④ 飲食代、交通費、交際費などの経費
- 接待費・会食費などは一切対象外
- 展示会参加などでも、移動費・宿泊費は認められない場合が多い
⑤ 支払い証拠が不十分な経費
- 現金払いで領収書のみ(振込明細なし)
- 見積書や契約書がない発注
4. 補助金を活用する際のポイント
● 申請前に「どの経費を補助対象にするか」を明確にしておく
申請書の段階で、どの経費をどの目的で使うのかを整理しておくと、採択後の実行や実績報告がスムーズになります。
● 交付決定日まで絶対に支払い・契約を行わない
交付決定通知が届くまでは「計画」であって「許可」ではありません。
発注書や振込など、少しでも支払いが先行すると、後から取り返しがつかないことがあります。
● 書類はすべて保管・整理する
領収書や請求書はもちろん、銀行振込明細や、完了後の写真なども必要になるケースがあります。
5. 江東区・那覇市で補助金活用をお考えの皆さまへ
当事務所では、東京都江東区および沖縄県那覇市を中心に、補助金申請に関するご相談を多数承っております。
「この経費、補助金で通るの?」「交付決定の前に契約しちゃったけど大丈夫?」といったご不安にも、申請前から実績報告までしっかりサポートいたします。
まとめ
- 補助金は「申請した事業目的に必要な支出」のみに使えます
- 「交付決定日」以降の支出でないと補助対象になりません
- 書類(見積書・契約書・領収書・振込明細など)が必須です
- 補助金を確実に受け取るためには、実績報告の精度がカギになります
補助金の仕組みを正しく理解し、最大限に活用しましょう。
行政書士見山事務所(江東区・那覇市)では、補助金申請の事前相談から採択後のサポート、実績報告書の作成支援まで、ワンストップで対応しております。お気軽にお問い合わせください。