
建設業許可申請において重要な要件のひとつが「社会保険への適正加入」です。
かつては未加入のままでも許可が下りるケースがありましたが、現在は国土交通省と厚生労働省が連携して社会保険加入の徹底を強力に進めており、未加入のままでは新規許可の取得や更新が認められない状況になっています。
本記事では、建設業者の方が社会保険に加入する際の具体的な手続きの流れを、法人・個人事業主の場合に分けて詳しく解説します。江東区や那覇市で建設業を営む皆さまがスムーズに準備できるよう、必要書類や注意点も整理しました。
1. 社会保険加入が必要となる事業者とは?
社会保険とは、健康保険と厚生年金保険を指します。
- 法人事業者
法人である場合、役員1名だけでも社会保険への加入が義務付けられます。 - 個人事業者
常時使用する従業員が5人以上いる場合は社会保険加入が必要となります(建設業は強制適用業種のため、5人未満でも実質的に加入を求められるケースが多いです)。
つまり、江東区や那覇市で建設業許可を申請する際は、ほとんどのケースで社会保険加入が必須だと考えて差し支えありません。
2. 社会保険加入の手続きの流れ(法人の場合)
法人を設立して建設業を営む場合、次のような流れで社会保険に加入します。
① 会社設立登記後に年金事務所へ届出
法人登記が完了したら、所轄の年金事務所に「新規適用届」を提出します。
【主な提出書類】
- 健康保険・厚生年金保険 新規適用届
- 法人登記事項証明書(登記簿謄本)
- 法人設立届出書(税務署提出控え)
- 事業所の印鑑(会社印)
② 被保険者の資格取得届の提出
役員や従業員を加入させるため、「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届」を提出します。
【添付資料】
- 住民票やマイナンバー確認書類(個人番号カード、通知カードなど)
- 賃金台帳や雇用契約書(給与額の確認用)
③ 保険料の算定
標準報酬月額をもとに保険料が決定されます。会社と個人で折半して支払う仕組みです。
④ 保険料の納付開始
金融機関口座から毎月納付します。建設業許可申請時には、この保険料納付済み領収書などを提出資料とすることがあります。
3. 社会保険加入の手続きの流れ(個人事業主の場合)
個人事業主でも従業員を雇用している場合は、社会保険加入が必要となります。
① 年金事務所に相談
まず所轄の年金事務所に相談し、加入義務があるかを確認します。従業員の雇用形態や人数によっては適用が異なることもあります。
② 必要書類の提出
法人と同様に「新規適用届」や「被保険者資格取得届」を提出します。
③ 保険料の納付
個人事業の場合も、保険料は事業主と従業員で折半します。
4. 手続きの窓口と提出先
江東区と那覇市での社会保険手続きは、それぞれ所轄の年金事務所が窓口となります。
- 江東区
江東年金事務所(江東区亀戸など管轄エリア) - 那覇市
那覇年金事務所
事業所所在地を管轄する年金事務所に直接出向くか、郵送・電子申請で手続きを行います。
5. 社会保険手続きと労働保険の並行準備
社会保険の手続きと同時に、労働保険(労災保険・雇用保険)の加入手続きも必要です。
- 労災保険 → 労働基準監督署
- 雇用保険 → ハローワーク
建設業許可申請の際には、社会保険だけでなく労働保険の加入状況も必ず確認されますので、同時進行で進めることが重要です。
6. よくあるトラブルと注意点
- 役員報酬をゼロにして加入を逃れるケース
役員であっても法人の登記役員である限り、原則として社会保険加入が必要です。無報酬であっても、実態として業務に従事していれば加入義務があります。 - 短時間労働者(パート)の扱い
所定労働時間が週20時間以上など一定条件を満たす場合はパートでも加入対象になります。 - 遡及保険料の発生
調査で未加入が判明すると、過去2年分の保険料を請求される可能性があります。早めの加入手続きが経営リスクを軽減します。
7. 建設業許可申請との関係
社会保険の加入が確認できない場合、建設業許可は認められません。申請書類には次のような確認資料を添付することが一般的です。
- 健康保険・厚生年金の被保険者資格取得通知書
- 保険料納付済領収書
- 標準報酬決定通知書
これらの資料が整っていないと、申請が受理されない場合もあります。
まとめ
社会保険の加入は、建設業許可を取得・維持するための必須条件です。
- 法人は役員1名でも強制加入
- 個人事業でも従業員がいれば加入義務あり
- 年金事務所で「新規適用届」と「被保険者資格取得届」を提出
- 保険料は会社と従業員で折半
- 建設業許可申請には加入状況を示す資料が必要
江東区・那覇市で建設業を営む皆さまは、必ず早めに社会保険加入の手続きを進め、安定した経営基盤を整えてください。
建設業許可申請に精通した行政書士見山事務所までお気軽にご相談下さい。