伝説的な政治家である田中角栄元首相は、選挙に出ると決心した後輩に対して戸別訪問3万軒、辻説法5万回をやって初めて当選が見えてくると言ったといわれています。様々に出版されている選挙必勝本を読んでも戸別訪問の重要性が説かれており、戸別訪問をやるというのが選挙における王道のような言われ方をされていますが、実際はどうなのか私の実体験を交えて考えたいと思います。
戸別訪問を1万軒行なってみた
議員秘書を経験していましたが、3バンがひとつもない中で唐突に選挙に出馬することを決心したので、実際に自分自身が選挙に出馬する候補者となるとまったくわからないことばかりであり、試行錯誤の連続でした。
(3バンについては以下の記事を参考:お金もコネのない人が、選挙に当選するのにもっとも大切なポイントについて – 行政書士 見山事務所 (miyamashinji.jp))
まず日々のルーティンとしてやることと決めたことが、毎朝の選挙区内での駅立ちと戸別訪問でした。戸別訪問とは、知らない家を一軒一軒回ってごあいさつすることで、要するに飛び込み営業です。
これから先に述べることは、あくまで私の選挙区が東京23区内であり、都会であったことを念頭に置いて読んでいただければと思います。
実際にゼンリン地図を片手に一軒一軒訪問していくわけですが、田舎と違って玄関が開いているわけでもなく、インターフォンを押して返答してもらい、カギを開けて玄関先に出ていただき、初めてお会いすることができます。ここでよく考えてみてください。普通に考えて見知らぬ人がインターフォンを押してきてカメラ超しに「〇〇選挙に立候補を予定している〇〇です。ごあいさつに上がりました。お時間頂戴できますか?」と言われて玄関を開ける人がいるでしょうか。そうです、普通の人なら防犯上、見ず知らずの人が訪ねてくれば気持ち悪くて玄関を開けません。通常の対応はインターフォンをガチャ切りするか、話だけ聞いてポストに名刺やらビラでも入れといてと言われるのが関の山です。
しかし、当時の私は選挙必勝本にそう書かれているのだから我慢してこれを続けていき、件数をこなすことが勝利への道なのだと思い込んでいました。来る日も来る日も実行し、1万軒ほどをクリアした時にデータを集計してみました。なんと1万件歩いて在宅率は40%、そのうち実際に玄関を開けてもらい目の前で会えたのが2%という衝撃的な数字でした。どう考えても自己満足でしょ…と気が付き、戸別訪問を重視した戦略を改めたのです。
都会で戸別訪問は有意義な方法でない
ある程度の都市化された地域においての戸別訪問は、知名度を上げていくことの方法のひとつとして考えた時には飛び込み営業を繰り返すようなもので、あまりにも非効率です。会って、見てもらって、実際に知ってもらうために取るべき方法はもっと他にあるかと思います。戸別訪問は、ある程度の知名度がある現職議員や有名人が行なう、地域の有力者に引き回してもらって一緒に回る等、他の要素があって効果が上がる作戦であるかと思います。