土木一式工事とは 建設業許可取得のポイントと専門工事との違いについて

建設業許可は日本国内で土木工事や建築工事を請負う際に必要となる許可であり、その中でも「一式工事」と「専門工事」に分類されます。本記事では、沖縄県那覇市と東京都江東区の皆様を対象に、「土木一式工事」の建設業許可について、その概要や専門工事との違い、さらに必要な要件を詳しく解説していきます。

一式工事と専門工事の違いとは?

建設業許可は、大きく分けて以下の二つの区分に分かれています。

  • 一式工事:大規模かつ総合的な企画・指導・調整のもとに行う工事
  • 専門工事:特定の施工を行う工事で、27種類に分類されています

一式工事はさらに「土木一式工事」と「建築一式工事」に分かれます。土木一式工事は、複数の工程や技術を必要とする大規模な土木工事全般を含み、例えばトンネル建設や道路工事、堤防工事など、施工内容が複雑なプロジェクトが該当します。

土木一式工事を請け負うには?

500万円以上の土木一式工事を請け負う場合、土木工事業の建設業許可が必要となります。これは、施工規模が大きい工事であるため、技術力や信頼性が求められるためです。特に、元請業者として土木一式工事を請け負い、下請業者に合計4,000万円以上を発注する場合には「特定建設業許可」が必要です。特定建設業許可を取得することで、大規模な下請業者管理も含めた工事の請負が可能となります。

土木一式工事の具体的な例

土木一式工事には、多種多様な工事が含まれます。具体的には以下のような工事が例として挙げられます。

  • 道路工事:公共交通のための道路や高速道路の建設
  • トンネル工事:山岳地帯などにおけるトンネルの掘削・建設
  • 護岸工事:海岸や河川の護岸や堤防の建設
  • ダム工事:水資源のためのダムの建設
  • 港湾工事:港湾施設や護岸の整備
  • 地下鉄工事:都市の地下鉄道の建設

これらの工事は、それぞれが特有の技術や管理を必要とする大規模なプロジェクトであるため、一式工事の許可が適用されるものとなります。

よくある誤解 土木工事業許可で何でもできる?

土木工事業の建設業許可を取得している場合、土木一式工事として舗装工事や水道施設工事などを一部含めることができます。ただし、「土木一式工事」として扱われるためには、それらの工事が大規模でかつ総合的な工事の一環として組み込まれている必要があります。

例えば、舗装工事のみを単独で請け負う場合、その工事の金額が500万円を超えるときには、「舗装工事業」の建設業許可を別途取得する必要があるため注意が必要です。他にも、橋梁工事や水路工事といった専門工事も、金額が500万円を超える単独工事として請け負う場合には、それぞれに応じた専門工事業の許可が求められます。

土木工事業の専任技術者の要件

土木工事業の許可を取得するには、専任技術者の配置が必要です。専任技術者とは、その業種において十分な知識と経験を有している技術者を指します。土木一式工事では、下記の資格を持つ技術者が必要です。

1. 資格による要件

土木工事業の専任技術者として認められるには、以下の資格を保持していることが条件となります。

  • 1級または2級建設機械施工技士
  • 1級または2級土木施工管理技士
  • 技術士(建設、農業、水産、森林の各部門に限る)
  • 監理技術者資格者証を保持し、土木工事業の監理技術者として認定されていること

注意:特定建設業許可を取得する場合は、上記の1級資格者・技術士・監理技術者のみが専任技術者の対象となります。

2. 実務経験による要件

資格を有していなくても、土木一式工事における10年以上の実務経験があれば専任技術者として認められる場合もあります。また、土木関連学科を卒業している場合は、実務経験年数が短縮されます。

  • 高校卒業:卒業後5年以上の実務経験
  • 大学卒業:卒業後3年以上の実務経験

土木工事業の指定学科とは?

土木工事業の建設業許可を取得するにあたり、専任技術者として実務経験年数を短縮できる「指定学科」があります。指定学科とは、土木工学や農業土木、森林土木など、土木工事に関連する分野の学科です。具体例として、造園デザイン科、環境土木科、地域開発科学科などが該当します。

指定学科に該当しない場合

上記に記載されていない学科でも、履修内容が土木に関連していれば、卒業証明書や成績証明書などを提出し、指定学科とみなしてもらえるケースもあります。学科が不明確な場合は、事前に申請先で相談するとよいでしょう。

土木工事業の実務経験証明に必要な書類

土木工事業の専任技術者要件を実務経験で満たすためには、その経験を証明するための書類が必要です。書類の内容は、土木工事業の建設業許可を取得していた企業に在籍していたかどうか、または、許可がない企業であっても実際に土木一式工事を担当していたかどうかで異なります。

【許可あり企業での経験の場合】

  1. 被保険者記録照会回答票:年金事務所で取得し、常勤であったことを証明
  2. 建設業許可通知書の写し:会社が許可を有していたことを示す
  3. 専任技術者証明書:資格や経験を記載した書類
  4. 実務経験証明書:担当した工事内容を証明する書類

【許可なし企業での経験の場合】

  1. 工事請負契約書等:土木一式工事を請け負ったことを証明する契約書
  2. 注文書や請求書:工事の発注実績や入金の証拠として活用

土木工事業の建設業許可の重要性

土木一式工事業の許可は、ただの工事許可ではなく、大規模で複雑なプロジェクトを取りまとめる総合的な業種としての「信頼」を示します。特に公共工事の入札においては、土木工事業の許可が参加資格とされる場合も多く、舗装工事などの専門工事においても、土木工事業の許可が必要条件となるケースが一般的です。

また、特定建設業許可を取得していれば、大規模プロジェクトで下請業者に数千万円規模の発注を行うことも可能になり、さらにビジネスの幅を広げることができるでしょう。

まとめ

  • 土木一式工事は、複雑で大規模な工事を請け負う際に必要な建設業許可
  • 専任技術者の配置、特定建設業許可の要件などがクリアするためのポイント
  • 指定学科や実務経験証明など、詳細な要件に応じた準備が必須

以上の要点を押さえて、許可取得の計画を進めていきましょう。

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