遺産分割協議書とは?作成方法とメリット・デメリット、不要なケースを解説

遺産分割協議書は、被相続人(亡くなった方)の遺産分割内容をまとめた書類です。相続人の誰が、どの財産をどのような割合で相続するかを明記し、全員が同意することで、相続手続きを円滑に進めるための重要な役割を果たします。沖縄県那覇市や東京都江東区にお住まいの方が、この協議書を正しく理解し、円滑に相続手続きを進められるよう、協議書の基本から作成方法、さらに不要なケースについてわかりやすく解説します。

遺産分割協議書の必要性と作成義務

協議書が必須となるのは、相続人が複数いる場合や相続財産の中に金融機関への預貯金が含まれている場合です。次のようなケースでは、協議書を作成しなくても良いこともあります。

  1. 相続人が1人だけの場合
    相続人が一人しかいない場合は、遺産分割協議が不要となるため、協議書も必要ありません。
  2. 遺言書に従って相続する場合
    被相続人が遺言書を残していて、その内容通りに相続する場合は、協議書を省略できます。ただし、遺言書の内容に不満がある場合は遺留分(最低限の取り分)を主張することも可能です。
  3. 遺言書で遺産分割協議が禁止されている場合
    遺言書で「相続開始から5年の間は遺産分割を行わない」と明示されている場合も、協議書の作成はできません。
  4. 預貯金の名義変更など手続きが不要な場合
    遺産が現金だけの場合など、金融機関での相続手続きが不要な場合も協議書は不要です。しかし、将来的なトラブル防止の観点から、協議書を作成するのが望ましいでしょう。

遺産分割協議書の役割とメリット・デメリット

遺産分割協議書を作成するメリットには、以下が挙げられます。

  • トラブル防止
    協議書を残しておくことで、相続人同士の「言った・言わない」といったトラブルを防ぎやすくなります。
  • 証拠としての効力
    金融機関や法務局での相続手続きにおいて、協議書は証明書の役割を果たします。特に不動産の名義変更や金融資産の引き継ぎには協議書が求められるため、手続きを円滑に進めるために欠かせません。

一方、デメリットとして、協議書を自作する場合は不備が生じやすく、専門家に依頼する場合は費用がかかる点が挙げられます。行政書士など専門家に依頼すると、費用が68,000円前後かかるのが一般的です。また、公証役場で公正証書として作成する場合は、費用が高額になることもあります。

遺産分割協議書を作成する3つの方法

協議書を作成するには以下の方法があります。

  1. 自分で作成する
    自身で協議書を作成すると、費用がかかりません。しかし、書式や内容に不備があると後々トラブルになりやすいため、正確な記載が求められます。
  2. 専門家に依頼する
    行政書士や司法書士に作成を依頼すると、内容の正確性が保証され、不備が生じるリスクが少なくなりますが、依頼料が発生します。
  3. 公正証書として作成する
    公証役場で公正証書として作成すると、公的な証拠力が高まり、協議書は20年間公証役場に保管されます。作成には費用がかかりますが、より高い証拠力を得たい場合に適しています。

遺産分割協議書が必要な手続き

協議書は、以下のような相続手続きに必要とされます。

  • 不動産の名義変更
    相続した不動産の登記を変更する際には協議書が必要です。これにより、不動産の所有者を正式に変更できます。
  • 金融機関での預貯金相続
    被相続人名義の預貯金を引き継ぐ際も協議書が求められることが多く、金融機関が手続きを進めるための重要な書類となります。

協議書作成の流れと必要事項

協議書を自作する場合は、以下の流れに沿って作成します。

  1. 遺言書の有無を確認
    被相続人が遺言書を残しているかを確認します。遺言書が発見された場合、内容を尊重するか協議が必要です。
  2. 法定相続人の調査・確定
    戸籍謄本などで相続人の身分関係を調査し、相続人全員の住所や連絡先を確認します。
  3. 相続財産の調査・確定
    被相続人の遺産内容を確認します。金融資産や不動産のほか、仮想通貨などのデジタル資産も含めて調査します。
  4. 遺産分割協議の実施
    相続人全員で遺産分割の話し合いを行います。不動産や株式などは、どのように分割するかで複雑な協議になることが多いため、分割方法(現物分割・換価分割・代償分割・共有分割)を考慮します。
  5. 協議書の作成
    話し合いの結果に基づき協議書を作成します。主な記載事項は、被相続人の氏名や住所、相続する財産の詳細、分割方法、相続人全員の氏名や住所、署名・捺印(実印)などです。

協議書が不要な場合でもトラブル防止に作成を推奨

協議書は、相続人同士のトラブル防止のために非常に重要です。協議書が不要なケースであっても、相続人が複数いる場合には作成をおすすめします。また、相続人が複数いる際には、協議書に不動産や金融資産の取り扱いを明記し、後々のトラブルを未然に防ぎましょう。

終わりに

遺産分割協議書は、遺産分割の内容を法的に証明し、相続手続きをスムーズに進めるための大切な書類です。協議書の作成には手間がかかることもありますが、専門家の力を借りることで確実に作成でき、相続後のトラブルを防止することが可能です。那覇市や江東区で相続についてお悩みの方は、安心して相続手続きを進めるために協議書の作成を検討されることをおすすめします。

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