小規模事業者持続化補助金の補助対象経費とは?代表例と注意点を行政書士が詳しく解説

小規模事業者にとって、販路拡大や業績改善のための取り組みは重要です。しかし、これらの取り組みには費用がかかります。そうした事業者を後押しするのが「小規模事業者持続化補助金」です。

本記事では、東京都江東区や沖縄県那覇市で事業を営む皆さま向けに、補助対象となる代表的な経費の内容と、注意すべきポイントを行政書士の視点からわかりやすく解説します。


目次

小規模事業者持続化補助金とは?

「小規模事業者持続化補助金」は、商工会・商工会議所が支援する補助金制度で、小規模事業者が販路拡大や業務効率化のために行う取り組みに対して、その経費の一部を補助してくれる制度です。
主な特徴は以下のとおりです。

  • 補助率:対象経費の2/3(※条件によっては3/4)
  • 補助上限額:50万円(※特例事業者等で100万円以上の場合もあり)
  • 対象者:常時使用する従業員が5人以下(商業・サービス業)または20人以下(製造業その他)の小規模事業者

補助対象経費の基本的な考え方

小規模事業者持続化補助金の対象となる経費は、「販路開拓のために直接必要な経費」であることが前提です。
業務の維持費や事業の本来の運営費とは異なり、あくまで「売上を伸ばすための新たな取り組みに要する費用」が対象となります。

具体的には、公募要領に記載されている「対象経費区分」に沿って申請を行う必要があります。以下では、代表的な3つの経費区分とその内容について解説します。


1.広報費(チラシ・広告・ウェブサイトなど)

広報費は、商品の販促やサービスの認知拡大のために使用される経費で、もっとも多くの事業者が申請する代表的な項目です。

対象となる例

  • 新商品のチラシ作成・配布費用
  • ウェブサイトの新規作成やEC機能追加
  • ネット広告(Google広告・SNS広告など)
  • 店頭用・路上設置用の集客看板の製作
  • 商品カタログ・DMの印刷・発送

対象外となる例

  • 自社の紹介のみを目的とした「会社案内パンフレット」
  • 求人広告(人材募集は販路拡大と無関係とされる)
  • SEO対策やアクセス解析ツール等で、成果が不明瞭なもの
  • 単なるコーポレートサイト(企業紹介目的のみ)

ポイント

特にウェブサイトについては、「商品販売につながるECサイト」や「集客用ランディングページ」など、販路開拓の具体的な目的があることが重要です。ただの会社紹介ではなく、売上に直結する設計になっているかが審査の焦点となります。


2.外注費(業務委託・工事など)

自社で対応できない業務を第三者に依頼する場合に認められる経費です。ただし、「誰でもできる作業」や「日常的な業務」は対象外になることが多く、業務の特殊性や必要性が問われます。

対象となる例

  • 店舗の改装工事(レイアウト変更や外観改善)
  • バリアフリー化(高齢者顧客の取り込みなど目的が明確な場合)
  • トイレ改修(利用者満足度向上を図るもの)
  • キッチンカー内装工事(移動販売事業の開始)

対象外となる例

  • 単なる店舗移転に伴う建物の解体や工事
  • 閉店・事業廃止に伴う撤去工事や廃材処理
  • 内製可能な軽作業を外注化しただけのもの

ポイント

たとえば、飲食店がキッチンの配置を変更して回転率を上げる、または通行人の目を引くような外観改修を行う場合には、販路拡大の一環とみなされやすくなります。一方で、ただの老朽化に伴う補修や通常のメンテナンスは補助対象外です。


3.専門家謝金(コンサルティング・指導など)

第三者の専門家に指導・助言を依頼するために支払う謝礼も、補助対象経費として認められることがあります。

対象となる例

  • ECサイト構築に関する専門家のアドバイス
  • 商品パッケージ開発におけるデザイナーの指導
  • SNSマーケティングに関する専門家の訪問指導
  • 補助事業遂行の戦略設計に関するコンサルタントの訪問

対象外となる例

  • 外部セミナーや講習会への参加費
  • 書籍購入・オンライン講座の受講料
  • 商談会や展示会に出展する際の入場料・参加費

ポイント

あくまで「自社に専門家を呼び、個別の指導・助言を受けた場合」に限られます。汎用的なセミナー等に参加するだけでは「個別性」がなく、補助対象にはなりません。


実際に申請する際の注意点

補助金の申請では、「目的が明確であること」「経費が補助対象であること」「証拠資料が整っていること」が非常に重要です。特に、次のような点には注意しましょう。

計画書の整合性

申請には「経営計画書」「補助事業計画書」を作成しますが、ここに記載する「取り組みの内容」と「申請経費の中身」が一致していなければ、審査でマイナスになります。

見積書・契約書・納品書の準備

すべての経費について、見積書や契約書が必要です。補助金の交付が決まる前に発注・支払・納品を済ませてしまうと、対象外になるので注意しましょう。

地域密着型の取り組みも評価される

江東区や那覇市など、地域の特性に応じた取り組み(例:観光需要を取り込むための案内パンフレット、地域イベント出展用のブース装飾など)は加点されることもあります。地元商工会・商工会議所との連携も積極的に行いましょう。


まとめ 補助対象経費を正しく理解して効果的な活用を

小規模事業者持続化補助金は、うまく活用すれば事業拡大の大きな力になります。しかし、補助対象となる経費の範囲や条件には細かいルールがあるため、思い込みで申請を進めると不採択になるおそれもあります。

江東区・那覇市をはじめとする地域の事業者の皆さまにおかれましては、ぜひ早めに準備を進め、必要に応じて専門家に相談しながら確実な申請を目指しましょう。

目次