
沖縄県が発注する公共工事に参加するためには、「沖縄県建設工事等競争入札参加資格者名簿」に登録される必要があります。この名簿に登載されて初めて、県発注の工事や業務委託等の入札に参加することができます。
申請は定期的に受け付けており、通常は2年に1回の定期審査と、新規・変更用の随時受付があります。
1.沖縄県の入札参加資格審査の区分
沖縄県の入札参加資格は、大きく以下の区分に分かれています。
- 建設工事(業種別)
- 建設コンサルタント等業務
- 物品・役務の提供
この記事では、「建設工事」に絞ってご説明します。
2.対象業者と主な要件(建設工事)
沖縄県の建設工事入札参加資格審査を受けるには、以下の要件を満たしている必要があります。
主な要件
要件 | 内容 |
建設業許可 | 有効な建設業許可(一般または特定)を取得済みであること。該当する工事業種に限る。 |
経営事項審査(経審) | 有効な経審結果通知書を提出できること(P点あり)。原則、有効期限内であること。 |
納税義務の履行 | 県税、消費税・地方消費税を完納していること(証明書提出)。 |
欠格事項がないこと | 指名停止中でないこと、反社会的勢力でないことなど |
県内業者区分あり | 本店または主たる営業所が沖縄県内にあるかにより、県内業者と県外業者が区別される。 |
3.沖縄県における申請の時期と手続き方法
定期受付
- 隔年(2年に1回)実施される本審査。
- 登録の有効期間は 2年間(例:令和5・6年度分)
- 通常、受付は前年の 11月頃~12月上旬 に行われます。
随時受付(新規・変更)
- 定期受付以外の期間にも新規申請は可能ですが、制限付きの名簿登載となる場合があります。
- 名簿掲載タイミングが限られるため、原則は定期受付に間に合わせるのが理想です。
4.沖縄県の建設工事区分と等級
沖縄県では、業種ごとに「A等級」「B等級」「C等級」「D等級」といった等級区分があります。
この等級は、主に経審の評点(P点)と営業実績などをもとに決定されます。等級によって、参加できる工事の規模や種類が変わってくるため、非常に重要です。
たとえば、
等級 | 主な受注対象工事規模 |
A等級 | 数億円規模の大規模工事 |
B等級 | 数千万円~1億円規模の工事 |
C等級 | 数百万円規模の工事 |
D等級 | 小規模修繕や簡易工事など |
なお、「小規模修繕等契約希望者登録制度(いわゆる小規模業者向けの制度)」も別枠で用意されています。
5.提出書類の代表例(建設工事)
申請時には、以下のような書類が必要となります。
- 入札参加資格審査申請書(様式第1号)
- 建設業許可通知書の写し
- 経営事項審査結果通知書(P点記載)
- 納税証明書(沖縄県税事務所発行)
- 納税証明書(消費税・地方消費税分:税務署発行)
- 商業登記簿謄本(法人の場合)
- 委任状(代理人が申請する場合)
- 誓約書(反社会的勢力でない旨)
提出は紙申請ではなく、オンライン申請(電子申請システム)を活用する方式が主流になりつつあります。操作が不慣れな場合は、事前にシステムの使い方を確認する必要があります。
6.審査結果と通知
審査完了後、申請者には「資格審査結果通知書」が交付されます。ここに業種区分、等級、名簿搭載期間などが記載されています。あわせて、沖縄県の公式ウェブサイトにも資格者名簿が公表されます(透明性の確保のため)。
7.よくある質問(沖縄県の場合)
Q1. 経審の評点が低いと登録できませんか?
→ 経審結果がなければ登録できませんが、評点が極端に低い場合はC等級やD等級になる可能性があります。どの等級で登録されるかに影響するため、事前にP点を確認しておくと安心です。
Q2. 那覇市や他市町村の工事にもこの申請で参加できますか?
→ できません。那覇市をはじめとする市町村にはそれぞれ独自の入札参加資格審査制度があり、別途申請が必要です。那覇市の登録申請は那覇市役所が所管しています。
Q3. 審査時期に間に合わなかったらどうなりますか?
→ 定期審査を逃した場合でも随時申請は可能ですが、名簿掲載のタイミングや工事規模に制限がかかることがあります。
まとめ
沖縄県で公共工事を受注するには、建設業許可+経審+入札参加資格申請という三本柱の整備が不可欠です。
とくに入札参加資格審査申請は、提出時期や書類の整合性が重要であり、一度不備があれば再提出が認められないケースもあるため注意が必要です。
今後、那覇市や沖縄県内の他市町村での登録もお考えの場合、それぞれの要領に対応した申請スケジュールを整理することが重要です。