相続手続きはいつから何をする?死亡直後~完了までの流れをわかりやすく解説

相続手続きは、ある日突然やってきます。

「何から始めればいいのか分からない」
「手続きに期限があるって聞いたけど、何がいつまで?」
「うちの場合、相続税は関係あるのか?」

ご家族が亡くなった直後は、悲しみとともに葬儀の準備や各種の手続きに追われます。その中でも相続手続きは、時間的制約があり、かつ法律上のルールが複雑です。何も対策をせずにいると、思わぬトラブルや金銭的な損失につながることもあります。

この記事では、相続手続きについて、「いつから」「何を」「どうやって進めるのか」を時系列で丁寧に解説していきます。東京都江東区や沖縄県那覇市など、都市部・地方問わず共通の流れに基づいて整理していますので、ご参考にしてください。


目次

相続手続きの全体像を把握する

相続手続きには大きく分けて、次の5つのステップがあります。

  1. 【死亡直後~7日以内】死亡届の提出・葬儀・初期対応
  2. 【~3か月以内】相続人の確定・財産の把握・相続放棄の検討
  3. 【~4か月以内】準確定申告(必要な場合)
  4. 【~10か月以内】遺産分割・相続税申告(必要な場合)
  5. 【1年以内を目安】名義変更・資産移転などの手続き完了

以下、それぞれの時期にやるべきことを、期限や注意点を交えて解説します。


【ステップ1】死亡直後~7日以内にやること

死亡届の提出(7日以内)

病院で死亡診断書を受け取ったら、これを添えて死亡届を提出します。提出先は故人の住所地または死亡地の市区町村役所です。通常は葬儀社が代行してくれることが多いです。

火葬許可証の取得・葬儀の準備

死亡届と引き換えに火葬許可証が交付されます。これがないと火葬ができないため、重要です。

年金・保険証の返納

故人が国民健康保険・介護保険・後期高齢者医療などに加入していた場合、それぞれ保険証を返納し、葬祭費・埋葬料などの給付金の申請も行います。


【ステップ2】相続の開始 ~ 3か月以内にやること

この時期が相続手続きの最初の山場です。期限付きの判断も含まれるため、落ち着いたらできるだけ早く取りかかりましょう。

相続人の確定(戸籍の収集)

故人の出生から死亡までの戸籍謄本を収集し、相続人を全員確定させます。これには本籍地の役所に請求が必要で、遠方に本籍がある場合は郵送や代行が必要になります。

※江東区、那覇市などでは戸籍のデジタル化が進んでいますが、改製原戸籍・除籍謄本など古い書類が必要な場合は手続きに時間がかかることもあります。

相続財産の把握

  • 預貯金
  • 不動産(土地・建物)
  • 有価証券・株式・投資信託
  • 自動車
  • 借金やローンなどの負債

これらをリストアップし、プラスの財産・マイナスの財産の両方を確認します。相続税の有無や、相続放棄の判断材料となります。

相続放棄または限定承認の検討(3か月以内)

相続は「受ける」だけではありません。借金が多い、家族と関わりたくないなどの事情がある場合、「相続放棄」や「限定承認」という選択肢があります。

  • 相続放棄:一切の相続権を放棄し、最初から相続人でなかったことに
  • 限定承認:プラスの財産の範囲で負債を支払う

これらの申述は、家庭裁判所に対し、原則として3か月以内に手続きを行う必要があります。


【ステップ3】必要に応じて準確定申告(4か月以内)

被相続人が個人で事業をしていた場合や、不動産収入・年金収入がある場合、死亡した年の1月1日から死亡日までの所得について「準確定申告」を行う必要があります。

これは、被相続人の代わりに相続人が行う所得税の申告で、死亡日から4か月以内が期限です。

例:5月20日に亡くなった → 9月20日が申告期限

複数の相続人がいる場合は、連名で提出する必要があります。


【ステップ4】遺産分割・相続税の手続き(10か月以内)

遺産分割協議

相続人全員で話し合い、財産の分け方を決めます。この合意内容を文書化したものが遺産分割協議書です。

  • 協議書には全員の署名と実印、印鑑証明書を添付
  • 一人でも欠けると無効になるので注意
  • 海外にいる相続人がいる場合は、サイン証明など追加対応が必要

→ 遺産分割協議は、相続税の申告までに終わらせることが望ましいです。

相続税の申告と納税(10か月以内)

相続税の課税対象になるのは、基礎控除(3000万円 + 法定相続人1人あたり600万円)を超える財産がある場合です。

例:相続人が配偶者と子2人 → 3000万 +(600万×3人)= 4800万円

課税対象になる場合:

  • 被相続人が江東区・那覇市の市街地に土地・不動産を持っているケース
  • 預貯金・有価証券・生命保険金が多額にあるケース
  • 生前贈与を受けていた相続人がいるケース

申告期限は、被相続人の死亡から10か月以内です。


【ステップ5】財産の名義変更・相続完了

相続税の申告と並行して、次のような名義変更手続きを進めます。

  • 預貯金の解約・名義変更(銀行によって必要書類は異なる)
  • 不動産の登記変更(法務局への申請)
  • 自動車・株式・有価証券などの名義変更
  • 公共料金・契約書の解約・変更など

手続きが煩雑で時間がかかるものも多いため、協議書ができた段階で速やかに着手するのが望ましいです。


相続手続きの注意点・よくある落とし穴

  • 相続放棄の期限を過ぎてしまい、借金を背負ってしまう
  • 相続人の一部が音信不通で協議が進まない
  • 遺言書が見つかったが無効(記載不備・日付なし)
  • 相続税の申告を忘れて追徴課税
  • 不動産の名義変更をせず放置 → 固定資産税だけが課税され続ける

これらは実際に多くの方が陥っている事例です。早めの着手と、必要に応じた専門家のサポートが重要です。


まとめ 相続手続きは“段取り”がすべて

相続手続きは、やること自体は決して難しいものではありませんが、期限管理と全体の流れの把握がとても重要です。

  • まずはスケジュールを意識し、できることから確実に
  • 書類の収集・作成は時間がかかると認識しておく
  • 判断に迷うときは、早めに専門家に相談するのが賢明

江東区や那覇市のように、不動産の価格が高い地域や相続人が都市と地方に分散しているご家庭では、特に相続手続きの複雑さが増す傾向にあります。この記事を通して、少しでもご自身の状況を整理するきっかけになれば幸いです。

目次