一番安心な遺言方法は結局どの方法がよいのか、公正証書遺言について

遺言の保管の悩みや偽造等のおそれがなく一番安心な遺言は、やはり公正証書遺言です。

公正証書遺言は、公証人が遺言者からの遺言の内容を口述で受け、それを筆記して作成する方法です。原本は公証役場で保管されるので、改ざんや偽造等がおこなわれることはありません。ただし、遺言作成後に遺言内容の一部変更や撤回をしたいと思った場合には、新たに遺言を作成しなくてはなりません。遺言の撤回については、自筆証書遺言でも可能ですが、問題を残さないようにするためには同様の公正証書遺言を新たに作成する方がよいでしょう。

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公正証書遺言は公証役場で保管される

公正証書遺言は通常2、3部作成され、このうち公証役場で保管されるのは原本で、正本・謄本が遺言者に交付されます。

原本は、公正証書作成時に遺言者と証人が署名押印したものです。正本は原本とほぼ同じものですが、遺言者の署名押印が省略されていて、公証人が「これは正本である」と記載し署名押印したもので、遺言者が死亡後の手続きは正本に基づいて行ないます。

謄本は、原本の写しです。これは遺言執行者を指定した場合、正本は遺言執行者、謄本は遺言者が保管します。

ちなみに正本・謄本を紛失した場合には、再交付が可能です。

公証役場での原本の保管期間は、20年間という規定があります(公証人法施行規則27条1項)。ただし、保管期間満了後でも、特別の事由により保存の必要がある場合は、保存しなければならないという規定があります。

公正証書遺言は、遺言者の死亡まで保管しておく必要があるものですが、具体的な保存期間は公証人の判断となりますので、若い方が遺言をする場合には事前に公証人と相談されることをおすすめします。

なお、公正証書遺言は家庭裁判所の検認は不要です。

公正証書遺言があることは伝えておこう

公正証書遺言を作成したら、相続人に伝えておきましょう。それは公証役場から遺言があることを通知することはないからです。遺言の存在を誰にも知らせておかないと遺言がないとされかねませんが、相続人は公正証書遺言が存在するかを、公正証書遺言検索システムで検索できます。これは遺言者が死亡後、全国どこでも最寄りの公証役場で確認するができます。

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