遺言に法的な効力を持たせるにはどのような内容を記載すればいいのか、その12項目について

遺言に関する民法の規定には、内容についての規定はありません。よって何を書いても自由なのですが、そのことが遺言として効力を持つのかは別問題です。遺言として効力を持つのは次に触れる12項目で、しかしその内容が法令に違反する内容であると無効となる場合があります。

目次

➀ 法定相続分と異なる相続分割合にする遺言

第三者に委託することも可能です。なお遺留分を侵害する内容であっても無効とはならず、侵害された相続人は遺留分侵害請求ができるとされています。

② 財産の全部または一部を遺贈する遺言

特定遺贈では、遺産が特定されずにどの遺産かがわからなければ無効となります。遺留分侵害については➀と同じです。負担付贈与(財産を受け取るためには一定の義務を負うことになる贈与)も可能です。

③ 特別受益者の持ち戻しを免除する遺言

特定の相続人へ生前贈与があり、被相続人(亡くなった人)が遺言で持ち戻しの免除をしたことで他の相続人への遺留分侵害となれば、侵害された相続人は遺留分侵害請求が可能です。

④ 遺産分割方法を指定し、または指定を第三者に委託し、一定期間の遺産分割を禁止する遺言

相続の開始から5年を超えない期間にかぎり、遺産分割を禁止することが可能です。ただし相続人全員の合意があれば遺産分割が可能であるとされています。

⑤ 推定相続人の廃除または排除を取り消す遺言

遺言執行者による家庭裁判所への排除の請求が必要です。よって遺言で遺言執行者を指定しておく必要があります(指定がない時には家庭裁判所が選任します)。

⑥ 共同相続人間における担保責任を指定する遺言

遺産分割によって、ある相続人が取得した財産に瑕疵(欠陥)がある場合、他の相続人は担保責任を負いますが、この責任を遺言によって変更することが可能です。遺留分が侵害される場合には、侵害請求の問題が生じます。

⑦ 遺言執行者の指定および指定を委託した遺言

遺言者を未成年および破産者とすることは無効となります。また遺言執行者を複数名にもできます。

⑧ 相続人以外の者への遺贈・寄付する遺言

相続人は遺留分を侵害されれば、侵害請求することができます。

⑨ 遺贈による遺留分侵害で、民法の減殺割合と異なる意思表示をする遺言

複数の遺贈が他の相続人の遺留分を侵害する場合には遺贈の価格に比例して減殺されますが、遺言者が別段の意思表示をしていた時にはその意思に従うことになります。

⑩ 死後認知する遺言

被相続人の死亡後に、遺言執行者が役場や届け出ることになります。認知された子は非嫡出子の身分を得ます。

⑪ 未成年後見人、後見監督人を指定する遺言

未成年者、被後見人、破産者に対して訴訟した者は、後見人・後見監督人となることはできません。

⑫ 信託遺言

遺言により信託を設定することができます。公益目的のために財産を一部を活用したい場合や、死後に遺族等への給付を行なう内容などにするものです。

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